カズはどうしてオフシーズンにニュースの中心になり続けられるのか? 宮澤ミシェル「真っ赤なスーツで現れた頃から、意識して続けてきたと思う」

カズについて語った宮澤ミシェル
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第234回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したことや、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、カズ(三浦知良)について。毎年、自主トレのスタートが話題となるカズだが、彼がオフシーズンにこれだけの注目を集め続けられる理由はなにか? 新天地である鈴鹿ポイントゲッターズへの移籍についても合わせて宮澤ミシェルが語った。

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年が明けてもオフシーズンの主役は、やっぱりカズだったね。

カズが新年1月2日から自主トレーニングをスタートさせて、その様子をさまざまなメディアが伝えたけど、今年2月で55歳になるカズが現役を続ける意義は、こういうところにもあるよな。

サッカー選手なら誰だってオフシーズンに練習はしているよ。でもさ、それがニュースで報道されたりして話題になるかっていったら、カズ以外は残念ながらそうはならないんだよな。

カズが取り上げられるのは、2022シーズンにどこのクラブでプレーするかが注目されたからっていう理由だけじゃないよね。年齢を重ねることでクローズアップしやすいというのはあるにしろ、カズの注目度の高さはJリーグが始まってからずっと続いていることだから。

1993年のJリーグアウォーズで風船のなかから真っ赤なスーツで現れたでしょ。あの頃から日本サッカーの年明けはカズから始まるっていうくらいの存在感だったよね。きっとカズ自身もそれを意識して、ずっとやってきていると思うよ。

カズは『サッカーが好きだからやっているだけ』というスタンスを崩さないけど、国内でサッカーがまったく人気のなかった時代を知る男だからね。オフシーズンにサッカーが話題になることの重要性を理解していて、だから継続しているんだと思うよ。

そんなカズのお陰もあって、オフシーズンの間もJリーグや日本サッカーの話題が多くの人の目に触れる。カズがいなかったら国内サッカーの話題が、ネットニュースにランキングされることはほとんどないんじゃないか?

プロ選手がひたむきに、一生懸命にプレーをするっていうのは当たり前のことでさ、それ以外のところで多くの人にどれだけアピールできるか。そこもプロ選手としての大事な存在意義なんだよ。

そのカズは、昨季のJ1出場は1試合でわずか1分、ルヴァンカップは3試合に途中出場。今季はJ2を戦う横浜FCから契約延長の打診があったようだけど、出場機会を求めて移籍先を探してきた。

多くのクラブが獲得に手をあげたよね。これは想像でしかないんだけど、カズの年俸はだいぶ安いんじゃないかな。そうじゃなければ多くのクラブが獲得に乗り出せないからね。もちろん、ただ安いからということではなく、カズを獲得するメリットがちゃんとあるから獲得に動いたんだろうけどね。

それがあのストイックさだよな。サッカーにあれほど真摯に打ち込む姿を間近にみたら、クラブや選手がどんなレベルにあろうとも、大いに刺激を受けるのは間違いないよ。

そのなかで新天地は兄の三浦泰年氏がGMをつとめるJFL(日本フットボールリーグ・4部相当)の鈴鹿ポイントゲッターズになるとされている。正式発表は、1月11日の午前11時11分とのことで、この記事が配信されるのと同じくらいのタイミングでの発表になるね。

それにしても、分まで11にこだわるってのはすごいな(笑)。カズは背番号『11』にちなんで、昨年までは横浜FCとの契約更改を1月11日に発表してきたから、たぶん発表されるのはこの日じゃないかとは予想はしていたけどね。

カズの新天地での活躍はもちろん楽しみなんだけど、心配なのはJFLのサッカーはフィジカル勝負の側面が強いことだよな。国内サッカーは上からJ1、J2、J3、JFL、地域リーグとあるけれど、下のカテゴリーに行くほど技術よりは、蹴って走って蹴るサッカーが増える。体力勝負、フィジカル勝負の色合いは濃くなるなか、55歳のストライカーがどういうプレーを見せるのか。

フィジカルや体力的にはきついだろうけど、カズも国内外のクラブでいろんなサッカーを経験をしてきているからね。我々のイメージを打ち破る新たな引き出しを披露してくれるんじゃないかと期待しているんだ。

まあ、カズが現役を続けることに賛否両論が言われているけれど、ボクは55歳になろうとしている今年も現役を続けられることを尊重したいなって思うよ。カズがやっていることは、ほかの選手が望んでも出来ないことだからね。2022年シーズンこそ、ゴール後のカズダンスのパフォーマンスが見られることを楽しみにしていますよ!

構成/津金壱郎 撮影/山本雷太

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