「窮地は若手のチャンス」日本代表に故障者続出で宮澤ミシェルが久保建英の躍動に期待!

日本代表について語った宮澤ミシェル
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第235回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したことや、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、日本代表について。1月27日(木)からのW杯アジア最終予選再開を前に、故障者が続いている日本代表。そんな時こそ、若手にはチャンスだと宮澤ミシェルは語る。

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「おいおいおい、聞いてた話とまるで違うじゃないか!」って言いたい気分だよ。

もし私が日本代表監督だったら間違いなく言うんだけどさ(笑)。でも、森保(一)監督は我慢強い男だからね。弱音は吐かずに目的に向けてブレずにやっているよな。

日本代表は1月27日からW杯アジア最終予選が再開になるけど、主将のCB吉田麻也(サンプドリア)、古橋亨梧(セルティック)、三笘薫(サンジロワーズ)の欠場が決まった。なかでも、吉田の欠場は痛すぎる。冨安健洋(アーセナル)だって万全ではないようだし、吉田を欠く初戦の中国戦でつまずいたら、ズルズル行っても不思議はないからね。

年明けのW杯アジア最終予選で日本代表の起爆剤になってほしいと期待した3選手のうちの古橋と三笘も故障でしょ。もうひとりの堂安律(PSV)は眼窩底骨折からようやく復帰したけど、どこまで調子を上げられるのか。それ次第で日本代表招集もあるだろうね。

攻撃陣も守備陣も窮地に置かれている日本代表だけど、若手選手にしたらここは絶好のチャンスだよな。彼らはなにもベンチを温めるために日本代表に来ているわけじゃないだろうからさ。

そのなかで期待しているのは、やっぱり久保建英(マジョルカ)だよ。今年6月で21歳。日本の感覚では若手なんだけど、サッカーの国際的な感覚で言えば、16歳、17歳にしてトップレベルで活躍する選手だって少なくないから、実は若手でもないんだよな。

久保は東京五輪代表で堂安とともに攻撃陣を牽引した。でも、日本代表ではまだ交代カードのひとつに過ぎないよな。

「ポテンシャルがすごい」のは誰もが認めるところだけど、ポテンシャルだけで飯が食えるのは新陳代謝の激しいサッカー界だと、もうそろそろ終わりだよな。ここからは本物になれるかが問われていく。

久保が世界的に超一流選手になろうとするなら、やっぱり11月のW杯カタール大会は日本代表のレギュラーとして臨まないとダメだよな。そのためには、いまはレギュラー獲得のビッグチャンス。きっと久保ほどのクレバーさを持つ選手ならば、そのことは十分に気づいていると思うよ。

久保は4−2−3−1なら2列目は右でも左でもトップ下でもいいし、4−3−3ならインサイドハーフでもプレーできるはずだよ。ポジションはどこが得意などはあるだろうけど、いまはそれをどうこう言うよりは、まずはスタメンで試合に出てゴールという結果を示すことが大事。そのなかで結果を残し続けていけば、自然と久保のやりやすい形にチームは変形していくものだよ。

久保が日本代表でレギュラーを手にするためのポイントがフリーキックだよな。1月15日にあったスペイン国内カップ戦で直接FKからゴールを決めたけど、日本代表でもFKを蹴ってほしいね。

日本代表はFKのキッカーが弱いからね。中村俊輔にしろ、遠藤保仁にしろ、あれほど人材が揃っていたのが幻だったのかってくらいだよな。こうもいなくなっちゃうかって思うけど、上手な選手が長く君臨したから反動でもあるんだよな。

そのFKに久保は違いを見せられる力量は持っていると思うよ。あとは数をこなすことと、そこが自分の仕事場だっていう責任感とプライドが強まれば、誰もが認める選手になれるはずだよ。

久保っていう選手は、何でも卒なく上手にできちゃう。ドリブルができて、左利きで、フェイントもうまくて、スピードもそこそこある。判断力は早くて正確で、視野も広く、戦術理解度も高いし、守備も成長してきた。だけど、何かひとつ際立った武器ってなると、どれもこれもパンチに欠ける。クラブレベルで世界のトップに行こうとするなら、これは重要なところでもあるんだよな。

ドリブルしか武器はないんだけど、ドリブルなら久保より上手いっていう選手の方が重用されるのが世界のサッカーでもあるわけ。長いタームで考えれば、久保の方が安定感は間違いなくあるんだけど、なかなかそうはならない。だからこそ、久保にはまずFKで圧倒的な違いを見せられるようになってもらいたいんだ。

安定して先発で使われて、まわりとのコンビネーションが確立されていけば、久保ほど上手な選手は日本代表にはいないわけだからね。そうなれば、間違いなく今年11月のW杯で日本代表の主軸を担っていると思うよ。

そうした未来を切り拓くためにも、1月27日の中国代表戦、2月1日(火)のサウジアラビア代表戦では、久保がしっかりプレーで格の違いを見せてくれることを楽しみにしているよ。

構成/津金壱郎 撮影/山本雷太

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