福西崇史が予想する日本代表のW杯GLでの勝敗内訳「1勝1敗1分」を解説

日本代表の予想勝敗内訳「1勝1敗1分」をフカボリ!
不動のボランチとしてジュビロ磐田の黄金期を支え、2006年開催のドイツワールドカップには、日本代表の中心メンバーとして出場。日本サッカーが世界水準へと飛躍していく瞬間をピッチの中央から見つめていた福西崇史。 

そんな福西崇史が、サッカーを徹底的に深掘りする連載『フカボリ・シンドローム』。サッカーはプレーを深掘りすればするほど観戦が楽しくなる! 

第22回目のテーマは、ワールドカップの日本代表の勝敗予想について。11月より開幕するW杯カタール大会。日本代表はどのような成績を収めるのか? 福西崇史が勝敗とその内訳を予想する。

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こうやって11月のW杯開幕に向けた準備が始まってくると、W杯機運が少しずつ濃くなっていくのですが、メディアの仕事をしているとW杯のたびに困ってしまうことがあります。それがW杯グループリーグの展望。単刀直入にいえば、勝敗予想ですよね。これが本当に難しいんですよね(苦笑)。

より多くの人たちにW杯を通じてサッカーに興味・関心を持ってもらえるように発信したいという考えが根底にあって、我々は日本代表がグループリーグを勝ち上がるように予想するわけです。だって、純粋に実力だけをみたら、ドイツとスペインが勝ち上がる可能性が一番高いわけですからね。それを「日本代表はグループリーグで勝てません」なんて言ったら、もともとサッカーへの興味の薄い人は試合を見なくなっちゃう可能性があるので(笑)。

でも、ひとりのサッカー人としては、冷静に世界における日本の立ち位置を踏まえると、正直な気持ちは別にあったりもしますし、ポジティブな面だけを発信していてもどうなんだという気持ちもあるんですよね。

こうした気持ちはボクだけが抱えているわけではなくて、きっとメディアでサッカーを伝える仕事をされている方の中には、ほかにもいるんじゃないかなって思います。その狭間に立って予想をするから、W杯グループリーグの勝敗予想が似てしまうのだと思います。

W杯カタール大会での日本代表のグループリーグ勝敗予想の多くは、1勝1敗1分だったり、1勝2分だったりします。この予想の気持ちはよくわかりますし、ボクだって同じように1勝1敗1分の予想を出します(笑)。この勝敗なら、みなさんが期待感を持てると思うので。

その内訳をボクがどう考えているかというと、まず今回のW杯グループリーグで日本代表がマークする1勝は、大陸間プレーオフを勝ち上がるニュージーランドかコスタリカからです。前回も触れていますが、この両国から勝ち点3を奪うのは容易ではないです。でも、日本代表が決勝トーナメント進出という前提に立てば、ここから1勝をあげるしかありませんからね。

では、1敗と1分の内訳はといえば、1敗はドイツ戦、引き分けはスペイン戦と考えています。W杯組み合わせ抽選会ではスペイン代表がポッド1で、ドイツ代表はFIFAランキングの上位8ヵ国から漏れた形になりましたが、日本代表にとって戦いにくい相手はとなると、やはりドイツ代表だと思いますね。

ドイツ代表は昨年のEURO2020でベスト16で敗退し、ストライカー不在の課題が浮き彫りになりましたよね。その後にバイエルン・ミュンヘンを指揮していたハンジ・フリックが新監督に就任し、世界最速でカタール行きを決めました。ただ、同組だったのがリヒテンシュタイン、アイスランド、アルメニア、ルーマニア、北マケドニアですから恵まれた部分はあります。そのためドイツ代表が課題のストライカー問題を解消できたかは微妙なところではありますね。

とはいえ、ドイツ代表に勝負を決められるストライカーがいなかったとしても、それ以外のところでのレベルは高い。日本代表が苦手にするフィジカルコンタクトも厭(いと)わないですからね。その部分を踏まえると、日本代表にとってはドイツ代表よりは、スペイン代表の方が戦いやすい相手になると思います。

だからといって、スペイン代表がドイツ代表よりも格下ということではないですよ(笑)。両国とも日本代表にしたら気が重い相手なのは間違いないのですが、あえて戦いやすい方を選ぶならという程度のことです。

日本代表が国際Aマッチでスペイン代表と戦ったことは、2001年に0−1で敗れた1試合しかありませんが、昨年の東京五輪では五輪代表が対戦しました。両国のメンバーにもA代表選手が多くいたので、参考にはなるかなと思います。

五輪前の強化試合では1−1のドロー。五輪準決勝では延長後半に1点を奪われ0−1で敗れました。強化試合の重点は勝敗にはないので、結果は鵜呑みにできませんが、それでも準決勝の結果は守備面を考えれば、W杯でも通用する部分はある気がします。

ただ、相手の圧力は東京五輪の比ではないでしょうからね。スペイン代表もドイツ代表と同じくストライカー不在に困っているチームですが、パスの精度やスピード、動き出し、戦術眼、そして、なによりとれそうでとれないところにボールを置く彼らの体の向きや、ポジショニング。相手にボールを持たれて振り回される展開が続いたなかでも、日本代表はどれだけ集中力を切らさずに守り切れるかが、スペイン戦で引き分け以上の結果を手にするためのポイントですよね。

グループリーグ3戦目というのもカギですよね。相手の星取り次第の部分はありますが、そこは考慮せずにいえば、4−3−3で日本代表が臨むとするなら、中盤3枚の選手がどれだけ試合前に疲れを抜いた状態になっているか。そして、試合中になるべく疲弊せずに済む戦い方ができるか。これができれば引き分けも現実味を帯びてくる気がします。

東京五輪では暑さがあったとはいえ、準決勝や3位決定戦では、中盤のキーマンである遠藤航がベストのパフォーマンスではなかったですよね。原因は疲労でした。今回は空調の効いたスタジアムで行われますが、それでも試合間隔は短く、攻守で運動量が求められる中盤3枚への負荷は大きい。疲れを溜め込んだ状態で試合を迎えれば、途中で足が止まり、相手に多くのチャンスをつくられることは目に見えていますからね。

ここから11月の本番まで代表活動の時間は限られていますが、対策はいくらでも練ることはできます。そのためにも、まずはブラジル代表の攻撃力を封じて自信を深めてもらいたいなと思っています。

構成/津金壱郎 撮影/鈴木大喜

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