冨安健洋のバックアッパーになれるか? 代表初招集の伊藤洋輝に宮澤ミシェルが注目

日本代表の招集メンバーについて語った宮澤ミシェル
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第253回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したことや、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、日本代表の招集メンバーについて。親善試合やキリンカップに向けての招集メンバーが発表されたが、その中でも宮澤ミシェルは代表初招集の伊藤洋輝(いとう・ひろき)に期待しているという。

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冨安健洋(アーセナル)はなにがあってもW杯に連れて行くっていう覚悟を感じるね。

5月20日にブラジル代表とパラグアイ代表との国際親善試合、その後のキリンカップ2試合に臨む日本代表が発表されたけど、そこに冨安の名前があった。

冨安は1月に両足のふくらはぎを痛めて3ヶ月ほど戦線離脱していてさ。日本代表のアジア最終予選も冨安抜きで戦うハメになったわけだけど、4月末にようやく復帰したと思ったら、5月16日のリーグ戦で負傷交代。この怪我の程度はわからないけど、ハムストリングは厄介でさ、無理をすると癖になりやすいんだよ。そこをかばってほかに影響が出たのなら、長引く可能性があるから心配だよな。

守備の大黒柱だから、いまは無理して呼ぶ必要もないなかで、森保監督は「練習できる、試合をできる見通しがある」と説明したんだよね。ポイントは「練習できる」ってところなんじゃないか。

冨安を試合に使えなくても、練習段階でほかの選手たちとしっかりコミュニケーションを取らせたいんだと思うよ。森保監督のチームは、メンバーが大きく入れ替わることはないけど、新たに伊藤洋輝(シュツットガルト)が選ばれたように、まったく同じメンバーというわけではないからね。限られた時間しかない代表活動で、ましてやW杯が控えているなかでは、そういうマネージメントは大切だよな。

その伊藤は今シーズンにドイツ2部で急成長。森保監督はこれまで、新たに招集した選手をなかなか試合に使わない傾向にあるけど、今回は試合で試してもらいたね。冨安が11月に戻ってこられない場合に備えたバックアッパー探しは重要なミッションだからな。

伊藤は身長188cmあるし、ドイツでプレーしている経験値は大きいよ。4年前のW杯ではベルギー戦は高さでやられた。それを踏まえれば、11月のW杯で対戦するドイツ代表にも高さ対策は不可欠だからね。伊藤が使えるという目処が立つことを期待しているんだ。

攻撃陣ではJリーグで得点ランク4位につける鈴木優磨(鹿島)が招集されるかに注目していたけれど、見送られたね。Jリーグからは同じ鹿島の得点ランク1位の上田綺世が選ばれたけど、好調な鹿島を牽引する2トップが日本代表でどんな働きをするかは見たかったね。まあ、でも、ちょっと活躍した程度で選ばれる場所ではないからね、日本代表ってのは。鈴木にはここから誰の目にもわかるような圧倒的な結果を残してほしいよな。

その点で言えば、久しぶりに代表復帰となった鎌田大地だよな。フランクフルトをヨーロッパリーグ王者に導いてさ。今シーズンの海外組のなかでは、間違いなくナンバーワンの結果を残したよね。

ただ、鎌田をどう使うのか。日本代表の4−3−3で鎌田が生きるポジションがあるのかは気がかりだよな。鎌田はこの2、3シーズンで守備の強度も高くなったし、しっかり走れるようになった。インサイドハーフで使えば、それなりにプレーすると思うよ。でも、本来の鎌田が持つ特長は生きるのかっていうところだよな。そこを森保監督も試したいんじゃないか? 

堂安律もオランダリーグでPSVのリーグ優勝に貢献して、久しぶりの代表復帰。いまや右サイドは"戦術・伊東純也"ってくらい伊東が確固たるものにしているから、堂安がW杯にスタメン出場しようとするなら、相当なインパクトのある仕事をしないと厳しいよな。ただ、堂安は中盤の中央でもプレーできるだろうから、試合展開やチーム状況次第ではいろんなポジションで出場する機会はあると思うよ。

いずれにしろ、ブラジル代表戦だよな。ネイマール(パリSG)やクーニャ(アトレティコ・マドリード)が来るんだぜ。彼らに変幻自在のポジションをとられて、高い個人技からのドリブルやパスで、日本代表は翻弄されて自陣に張り付く展開になると思うよ。

ブラジル代表のサッカーは、W杯グループリーグで戦うドイツ代表やスペイン代表とスタイルは違うけれど、日本代表が自陣に押し込まれるという点では、W杯を想定した戦いになるよ。まず守りをどうするのか。そこからどうカウンターを仕掛けて行くのか。そこをしっかり見たいよね。

W杯の本番まであと半年あるけど、日本代表として活動できるのは今回のほかに、直前合宿を含めて1、2回あるかどうか。新たな選手が出てくることも大事だけど、チームとして成熟度を深めることも重要な時期だから、実りの多い試合にしてくれることを期待していますよ!

構成/津金壱郎 撮影/山本雷太

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