CL制覇のレアル・マドリードに宮澤ミシェル「アンチェロッティの手腕はさすがだった」

レアル・マドリードについて語った宮澤ミシェル
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第254回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したことや、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、レアル・マドリードについて。見事にチャンピオンズリーグを制覇したレアル・マドリード。宮澤ミシェルは、監督を務めるアンチェロッティの手腕はさすがだったと語った。

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レアル・マドリードがチャンピオンズリーグを制覇したよ! 今シーズンが始まったときは決勝に進むなんて予想できなかったし、リヴァプールとの決勝戦も厳しい展開になるんだろうなと思っていたんだけど、それでも結果を手にしちゃう。やっぱりレアル・マドリードだよな。

それにしてもリヴァプールの攻撃はすごかったよね。プレミアリーグではマンチェスター・シティーに勝ち点1及ばずに優勝は逃したけれど、勝ち点を92も積み重ねた実力は存分に見せてくれた。

とはいえ、だよ。23本ものシュートを打たれはしたけど、ファインセーブを連発したGKクルトワをはじめ、レアル・マドリードの守備陣は素晴らしかった。並のチームならあれだけ攻め込まれたら根負けしちゃうもんだけどね。

プレミアリーグ勢の躍動で存在感が薄らいでいたところはあったけど、やっぱりレアル・マドリードなんだよな。"銀河系軍団"と言われた頃のような派手さはないけれど、世界有数のタレントが集結しているチーム。大一番に萎縮するのではなく、それをモチベーションに変えられる選手たちばかりが揃っていたよね。

決勝点を決めたFWビニシウスにしても、準決勝でラッキーボーイになったロドリゴにしてもそう。ただ、彼ら若い力が躍動できたのは、幹になっているベテランの存在があればこそだったね。

中盤のルカ・モドリッチ、カゼミーロ、トニ・クロースが、今季は溌剌(はつらつ)とプレーしていた。昨シーズンまでは衰えが感じられるところもあった彼らだけど、カルロ・アンチェロッティ監督のマネージメント力もあって再生したよな。

若手に切り替えるっていうのは簡単なんだよ。勝敗を度外視して若い選手を起用すればいいんだからね。だけど、それができないクラブだってある。レアル・マドリードなんてのはその代表格でしょ。世界の頂点に君臨するためには、つねに結果を残さなくてはいけないわけだからさ。

その難しい状況のなかで、経験値の高いベテランをやる気にさせて、もう一度火をつける。言葉にするのは簡単だけど、実際にそれができるのも百戦錬磨の経験則を持つアンチェロッティ監督だからこそなんだろうね。

ただ、来シーズン以降を見据えたときに、レアル・マドリードはさらに変化していかないといけない時期なのは間違いないよな。2010年代の躍進を支えた主将のマルセロが退団するけれど、ここがターニングポイントになるんじゃないかな。

DF陣のメンツは少し弱さも感じるけど、なんとかやれている。もう1枚、圧倒的な選手が獲れたら盤石だけどね。

攻撃陣のところも、エムバペ(パリ・サンジェルマン)に最後の最後で袖にされたのは痛かったけど、レアル・マドリードには今季MVP級の働きをしたベンゼマがいるからね。最前線で圧倒的な選手がいることで、バルベルデやビニシウスも成長してきて存在感を高めることができた。この夏にどういう補強をするかわからないけれど、最悪いまのメンツでも十分にやっていける気はするよ。

問題は中盤だよ。モドリッチはもう1シーズン、レアル・マドリードでプレーすることが決まったようだけど、ここに軸となれる選手が獲れるかどうかだよな。ベテランを押さえ的に使いながら、若い選手たちに経験を積ませていくことができれば、ここからの5年、10年というタームでのレアル・マドリードも期待できるんだけどね。

注目は久保建英がここに入っていけるのか、だよな。現状のままだと厳しいよな。右サイドはバルベルデがいるからね。でも、久保のプレースタイルを考えると、ゲームテンポを変える存在としての価値を高めることができれば、レアル・マドリードでの中盤ならつとまる可能性はあるよ。

ただ、そのためにはフィジカル強度がやっぱり課題だよな。リーガでプレーするようになって強くなっているのは間違いないんだけど、それが世界基準に照らし合わせたときにどうかってことだからね。中盤で相手のプレッシャーを受けてあっさりボールを奪われるとなると、監督としては使いづらくなる。逆に、そこで強さをアピールできれば、久保が来季はレアル・マドリードに戻っても出番はあるかもしれないよね。

いずれにしろ、来季のレアル・マドリードからも目は離せないよな。エムバペに逃げられたことで、どんな補強をするかも注目だしさ。来季は11月にW杯での中断があるから、もしかすると1月の冬の移籍期間で世間を驚かせる仕掛けがあるかもしれないよね。

なんだかなんだ言っても、今季のチャンピオンズリーグで世界のサッカー界の主役を張るに値するチームってことを証明したレアル・マドリードからは、来シーズンも目が離せないってことですよ。

構成/津金壱郎 撮影/山本雷太

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