明暗分かれたサッカー日本代表「欧州組アタッカー陣」の今季を総括!!

日本代表のエースとなりつつある伊東は、ベルギーリーグで個人賞2冠に輝くなど活躍。より高いレベルのリーグへの移籍も噂される

今年11月21日に開幕するカタールW杯に向け、いよいよ再始動する日本代表。すでに6月に予定される4試合の代表メンバーが発表されたが、そこに名を連ねた攻撃陣を見ると、鹿島アントラーズのFW上田綺世以外は、ヨーロッパのクラブに所属する選手ばかり。当然ながら、日常的に世界で戦う彼ら欧州組に、ファンは大きな期待を寄せている。

とはいえ、終わったばかりの2021−22シーズンを振り返ってみると、今回招集された欧州組の中には、活躍した選手とそうでない選手が混在するのが実情だ。果たして、誰が実り多きシーズンを送り、誰が期待外れのシーズンを過ごしたのか。あらためて、その明暗を確認してみる。

まず、最も目覚ましい活躍を見せたのが、フランクフルト(ドイツ)の主軸FWとして活躍し、欧州チャンピオンズリーグに次ぐ価値を持つヨーロッパリーグの優勝に大きく貢献した鎌田大地だ。

今シーズンの鎌田は、昨夏の移籍志願が悪影響を及ぼし、序盤戦は出場機会が限られていた。その上、日本代表でも森保一監督の布陣変更のあおりを受けて、代表メンバーからも外れるなど不遇の時期を過ごしていた。

しかし、ヨーロッパリーグでの活躍ぶりが評価され、秋口にはレギュラーの座を奪取し、持ち味のテクニックとセンスを武器に攻撃の核として君臨。

終わってみれば、国内リーグ戦で4ゴール3アシスト、ヨーロッパリーグでも5ゴール1アシストを記録するなど、キャリア最高ともいえる充実のシーズンとなった。今回の代表復帰は、その成果のたまものといっていい。

もうひとり、素晴らしいシーズンを送ったのが、所属のゲンク(ベルギー)で4年目を迎えた伊東純也だ。

最新のリーグランキング(22年2月19日発表)で、ベルギーリーグはヨーロッパ13位に位置し、今シーズンのゲンクはリーグ8位(レギュラーシーズン)。それを考えると、同ランキング4位のドイツ・ブンデスリーガで活躍し、ヨーロッパリーグのタイトルを手にした鎌田には及ばないかもしれない。

それでも、開幕からレギュラーとしてプレーして計49試合に出場し、公式戦8ゴール、19アシストをマーク。リーグのアシスト王に輝き、「年間最優秀ゴール」のタイトルも手にした伊東の活躍ぶりは目を見張るものがあった。

何より、ベルギーリーグの年間最優秀選手賞候補にノミネートされた事実が、その充実ぶりを証明している。

日本代表としても、W杯アジア最終予選で4試合連続ゴールを決め、本大会出場に貢献したことは周知のとおり。W杯本番でも活躍が大いに期待される選手だ。

そのほか、ベルギーリーグのレギュラーシーズンで首位になったユニオン・サン=ジロワーズで活躍(リーグ戦7得点3アシスト)した三笘 薫や、長期の負傷離脱を強いられながら公式戦20ゴールを決め、セルティック(スコットランド)のリーグ優勝に貢献した古橋亨梧も、今シーズンに活躍した日本代表欧州組アタッカーといっていいだろう。

スペイン3年目の久保は、十分に出場機会を得ながら公式戦2ゴール。不完全燃焼のシーズンを過ごしたが、日本代表で活躍なるか

一方、厳しいシーズンを送ることになったのが、ヨーロッパ最高レベルのリーグでプレーするリバプール(イングランド)の南野拓実と、マジョルカ(スペイン)の久保建英だ。

ただし南野が所属しているのは、リーグ3度目の得点王に輝いたモハメド・サラー(エジプト代表)ら世界屈指のタレントをそろえ、世界的名将のユルゲン・クロップ監督が率いる強豪中の強豪クラブ。

プレミアリーグで最後まで熾烈(しれつ)な優勝争いを繰り広げ、チャンピオンズリーグ決勝戦にも駒を進めたチームでレギュラーの座をつかむのは至難の業だ。それは、大前提として理解しておきたい。

そんな限られた出場機会で、リーグ戦で3ゴール、2つの国内カップ戦で計7ゴールを記録したことは称賛に値する。それこそが、クロップ監督が南野を高く評価する理由だ。

とはいえ、プレミアリーグにおける先発は1試合のみ。チャンピオンズリーグの決勝トーナメントの試合では一度も出場機会を得られず、控えメンバーから外れることもあり、苦い経験を味わったシーズンといえる。

そういう意味では、カタールW杯に万全の状態で臨むべく、出場機会を求めて今夏に移籍する可能性もある。

その南野と違って、スペインのラ・リーガで3年目を迎えた久保は、リーグ戦出場28試合のうち17試合に先発するなど、負傷離脱期間を除けば、十分ともいえる出場時間を手にすることはできた。しかも、最終節までもつれ込んだ残留争いでライバルに競り勝ったため、降格を免れることもできた。

ただ、久保自身のパフォーマンスは決して満足のいく内容とはいえず、アタッカーとして最も重要とされるゴール数は、国内リーグ戦と国内カップ戦でそれぞれ1ゴールのみ。アシストも2に終わり、昨シーズン(ビジャレアルとヘタフェでプレー)の公式戦における個人成績を下回る結果となってしまった。

もちろん、久保の年齢を考えれば、3シーズンにわたってラ・リーガの舞台でプレーしていること自体が、日本人選手としては画期的なこと。そこは評価に値するが、10代の頃から注目を浴びてきた久保への期待値は大きいだけに、今シーズンのプレーに物足りなさを感じてしまうファンも少なくない。

それは、常に高みを望む久保自身も痛感しているはずで、来シーズンをどのチームで、どのように過ごしてW杯を目指すかが重要になる。久保の奮起に期待したい。

取材・文/中山 淳 写真/アフロ

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