成績不振の神戸が監督交代で3連勝も宮澤ミシェル「今のイニエスタを見ているとラウドルップを思い出す」

ヴィッセル神戸について語った宮澤ミシェル
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第260回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したことや、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、ヴィッセル神戸について。ロティ―ナ監督が解任され吉田孝行氏が監督に就任。就任後は3連勝を飾りはしたが、クラブの対応には疑問が残ると宮澤ミシェルは語る。

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ヴィッセル神戸が7月9日のJ1リーグでジュビロ磐田に勝利。連勝を3に伸ばしたんだけど、あれほど勝てなかったのが不思議なくらいだよな。

もともとのメンバーや実力を考えれば、3連勝することなんて珍しくもないチームなんだよ。それが、そう思えないくらい泥沼にはまりこんでいた。3連勝でなんとか16位に浮上して自動降格圏は脱したけど、まだまだ予断は許さないよな。

そもそも今シーズンの神戸の不振は、アツ(三浦淳寛)監督をクビにしたのが早すぎたからじゃないかって思うよ。チームがうまくいかないときに、素早く手を打つスピード感は大事だよ。だけどさ、次の策もないのに、監督のクビだけすげ替えても結果なんて出るわけないんだから。

実際、アツの次は、下部組織のコーチだったリュイス監督が暫定でつとめて、そこから20日くらい経ってミゲル・アンヘル・ロティーナ監督を招聘した。不足の事態はいつ起きるかわからないから、リスクマネージメントっていう言葉があるわけでしょ。でも、神戸の対応を見ると、「去年3位だから大丈夫だろう」って思っていたのは明白だよね。

しかも、そのロティーナ監督も、成績不振によって6月末にクビにするわけだけど、その理由が「守備的だった」っていうんだもの。ロティーナが初めてJリーグで指揮したのなら、そんな言い訳も鵜呑みにするけど、彼にはJリーグでの実績が十分にあるわけだからさ。これまで率いたチームでどんなサッカーをやっていたかを本当に知らなかったら大問題だよ。

真相はわからないけど、アンドレス・イニエスタの起用法などで監督との間で問題があったような報道があったよね。それをフロントとしては言及しにくかったのは理解できる。たださ、こういう部分も、もとをたどればツギハギだらけの監督交代が招いたことなんだと思うよね。

それで結局、吉田孝行が3度目の監督就任だよ。こんな展開になるのなら、そもそも吉田がずっと継続してやっていたらよかったんじゃないかって思っちゃうわけだよ。

まあ、それをしたくてもできないのが神戸なんだよな。ネームバリューが監督にも求められちゃうからさ。

それに、フロントがどっちの方向を見て仕事をしているかって言えば、現場を強くすること以上に、最優先に三木谷浩史会長の顔色をうかがっているように見えちゃう。成績不振になれば、監督に責任を押し付けちゃうわけだからさ。

確かに三木谷会長がいるから、イニエスタが神戸でプレーしているわけだけど、このままだとイニエスタがいるっていうだけのチームになっちゃうよな。ポドルスキがいて、イニエスタが来て、ビジャが加わった頃の熱量は、遠い昔のことのように感じるのは、私だけかい?

それでも昨季まではベルギー代表CBのトーマス・フェルマーレンがいて、イニエスタ以外にも世界レベルの選手がチームを支えていた。でも、彼が現役引退しちゃったら、ほかの外国籍選手はやっぱり見劣りしちゃうわけだよ。

サンペールにしても、ボージャンにしても、いい選手なのは間違いないよ。だけど、実際のところバルセロナの下部組織で育ったというだけで、世界的な選手ではないし、Jリーグでも圧倒的な違いを見せていたかと言えば、そこまでの存在ではなかった。彼らに求められているのは、年齢を重ねたイニエスタが衰えた部分を補えることだから、力不足な面はあるわけでしょ。

いまのイニエスタを見ていると、1996−1997年に神戸に在籍したミカエル・ラウドルップを思い出すよ。リーガ・エスパニョーラのMVPにも選ばれた世界的な選手だったけれど、その高いレベルの選手を生かせる味方がいなくて、宝の持ち腐れ感があったんだよ。

イニエスタはラウドルップよりもチームメイトのレベルは恵まれているかもしれないけれど、イニエスタ本来の能力がフルに発揮できているかと言えば、そうじゃない。どんなに優れたサッカー選手でも、ひとりの力じゃチームを劇的には変えられるものではないからね。

そう考えると、やっぱりイニエスタらしい攻撃力を発揮してもらうには、もう一人二人、世界的な選手がほしいわけですよ。

いっそのことさ、イヴァン・ラキティッチ(現セビージャ)や、アルトゥール・ビダル(インテル)を連れてきてほしいよな。ふたりとも元バルセロナだし、イニエスタの課題である中盤での守備のところを補ってくれるのは間違いないんだから。あのレベルの選手が獲れたら、もっと多くの人たちも神戸の試合が観たいとなるのは間違いないわけだからさ。

まあ、言うのは簡単だけど、実際には一流選手の獲得は簡単ではないからね。たださ、神戸に低迷してもらったら困るわけですよ。なぜなら、彼らはJリーグでは大きな存在だからね。世界に向けてJリーグを発信するための取っ掛かりになりやすいイニエスタだっているわけだしさ。

今季はもう上位に食い込むのは相当難しい状況になっているから、ひとまず目先の目標は残留に置いてもらうとしてもだよ、来シーズンはしっかりと戦える選手を集めてもらいたいよな。それも中途半端な選手ではなく、世界的な一流選手をあとふたりくらい。

だって、イニエスタだってもう38歳なんだぜ、神戸にいつまでもいるわけじゃないし、イニエスタがいる間に、神戸が優勝争いする姿を見たいじゃない。そう思っている人が多くいることを忘れずにやってもらいたいよな。

構成/津金壱郎 撮影/山本雷太

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