「JリーグvsKリーグでもある」福西崇史が語るE-1選手権の韓国戦の意味

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不動のボランチとしてジュビロ磐田の黄金期を支え、2006年開催のドイツワールドカップには、日本代表の中心メンバーとして出場。日本サッカーが世界水準へと飛躍していく瞬間をピッチの中央から見つめていた福西崇史。 

そんな福西崇史が、サッカーを徹底的に深掘りする連載『フカボリ・シンドローム』。サッカーはプレーを深掘りすればするほど観戦が楽しくなる! 

第32回目のテーマは、E-1選手権の韓国戦について。EAFF E-1選手権の最終戦となる韓国戦が本日開催されるが、この一戦が持つ意味とは? 福西崇史が解説する。

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いよいよ今夜はEAFF E-1選手権のクライマックス、韓国代表との一戦です。前回2019年はアウェーで負けているので、今回はしっかりやり返してもらいたいです。

海外組がいないことで日本代表とはいえ注目度は低く、パリ・サンジェルマン戦の観客動員に遠く及ばないことが残念でなりませんよね。でも、ここに選ばれている選手たちにとっては大事な試合であることに変わりはありません。

今回はJリーグ組で日本代表を編成していますが、多くの選手たちが日の丸を背負うことを体験できる。これが一番の収穫点ですよね。

日本代表のユニフォームの重みは、経験しないとわからないものです。僕も日本代表としての最初の試合は、プレーについて断片的にしか思い出せないんですね。これは緊張していたからなんでしょうね。

若い選手が代表経験を積むことは、W杯カタール大会の先を見据えたときにも重要なこと。試合に出るだけではなく、練習などを通じて代表活動を経験することで、選手の意識は一段も二段もレベルアップするものです。「またここに招集されたい」という意識を持った選手が、この大会後に大きく成長していくことを期待しています。

そうした前提があったうえで、W杯カタールの日本代表入りへのアピールという点で見れば、日本代表でまだ確定していないポジションの選手はチャンスがあります。

とはいえ、なにもワールドカップ・カタールの日本代表へのサバイバルと、闇雲に煽る気はないですよ(笑)。森保一監督にすれば、国内組からW杯日本代表に名乗りを上げる選手がでてきてくれるに越しませんが、現れなくても問題はないですからね。

だから、サバイバルではないけれど、それでもここから1人でもふたりでも、日本代表として先々につながるプレーを見せてもらいたいなと思います。

日本代表で確定していないポジションの筆頭が1トップですよね。そこに名乗りを上げられれば、W杯への道は開けるわけです。E-1選手権では初戦の香港戦で、町野修斗(湘南)や西村拓真(横浜FM)がゴールを決めました。

「相手は格下の香港でしょ」という意見もありますが、それでもゴールを決めるのは重要なことです。格下相手にゴールが奪えない選手が、相手のレベルが上がれば得点できるかといえば、そうじゃないですからね。

町野にしろ、西村にしろ、それぞれに浮き彫りになった課題はあれど、まず最初のステップに合格したと評価したいですよね。両選手とも香港戦、中国戦と出場しているので、体力的にはキツイなかで迎える韓国戦ですが、これも日本代表としてやっていくためには不可避な部分でもあります。そのうえでレベルの上がる韓国戦でも結果を残したとなれば、評価はさらに高まるわけです。

もうひとり注目したい選手が、橋本拳人です。この夏にヴィッセル神戸からスペイン2部のウエスカへの移籍が決まりましたが、E-1に出場してからスペインに向かう決断をしました。それは彼が、この大会がW杯生き残りへの正念場だと理解しているからですよね。

橋本はコロナ禍以前の日本代表に名を連ね、一時はレギュラー獲得に迫った時期もありましたが、結局獲得しきれなかった。ポテンシャルは高いので、ぜひ代表争いに再び名乗りを上げれるようなプレーを見せて欲しいと思っています。

ただ、橋本のいるインサイドハーフは日本代表では激戦区。橋本の持ち味は強い守備力から相手ゴール前に入っていく躍動感。韓国戦で相手ゴール前にどれだけ橋本が攻め上がっていけるか。ここが9月の日本代表活動に招集されるかのポイントになると思います。

もちろん、谷口彰悟や山根視来のように6月の日本代表にも招集されていて、9月の代表活動でも招集されそうな選手にも注目してほしいですよね。海外組は来月からシーズンが開幕しますが、何が起きるかわからない。不測の事態が起きたときは、やっぱり彼らの力が必要になるわけですから。

韓国代表も日本代表と同じく国内組が中心で、海外組はガンバ大阪のDFクォン・ギョンウォンしかいません。それでも香港代表や中国代表とは違って日本代表にとっては厄介な相手です。なぜなら彼らがW杯代表入りするためには、日本代表に勝ったというアピールが必要不可欠なものですからね。目の色が違うわけです。

視点を変えれば、ある意味でJリーグvsKリーグでもあるわけです。どちらのリーグのレベルやクオリティーが高いかが見えるわけです。もちろん、1試合だけで判断できるものではないんですけど、それでも勝敗が評価につながる部分があるのも事実ですからね。その点でも今夜の一戦は、Jリーグ代表としてのプライドを見せてもらいたいと思っています。

構成/津金壱郎 撮影/鈴木大喜

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