「リーグ・アンに移籍したふたりが気になる」福西崇史が注目する南野拓実と伊東純也の新シーズン

南野拓実と伊東純也をフカボリ!
不動のボランチとしてジュビロ磐田の黄金期を支え、2006年開催のドイツワールドカップには、日本代表の中心メンバーとして出場。日本サッカーが世界水準へと飛躍していく瞬間をピッチの中央から見つめていた福西崇史。 

そんな福西崇史が、サッカーを徹底的に深掘りする連載『フカボリ・シンドローム』。サッカーはプレーを深掘りすればするほど観戦が楽しくなる! 

第36回目のテーマは、南野拓実と伊東純也。ともに今シーズンよりリーグ・アンに移籍したふたりが気になると福西崇史は語る。

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ヨーロッパ各国で新シーズンが始まりましたね。日本選手の多くがいいスタートを切った印象を受けていますが、気になる選手がふたりいます。それが今季から新たにフランスのリーグ・アンに移籍した南野拓実と伊東純也です。

南野はプレミアリーグのリヴァプールからモナコへ、伊東はベルギーリーグのゲンクからスタッド・ランスへと移籍しました。両選手とも日本代表がワールドカップで躍動するためには不可欠な選手ですからね。どうしても所属クラブでのパフォーマンスが気になるというわけです。

まず南野について言うと、第3節で今季のリーグ戦初出場をスタメンで飾りましたが、本領発揮とはなりませんでした。それでも決定機を呼び込んでいるところは評価したいですよね。南野はチャンスメイクをするタイプというよりは、フィニッシュのところに顔を出してこその選手ですからね。そこで決めきれる精度は、コンディションが上がってくれば追いついていくのかなと見ています。

それよりも気がかりは、やっぱり試合を通じてコンスタントに存在感を発揮できないことですよね。消えてしまう時間帯があるのですが、これは日本代表でも見られることでもあります。

もともと南野がそういうタイプかというと、そうではないんですよね。リヴァプールに移籍する前に所属したザルツブルク時代は違いましたから。リヴァプールという世界屈指のタレントが揃うチームで、試合出場の機会がまわってこないなかで、そうなってしまったように思います。

もちろん世界トップレベルのクラブに所属して練習していれば、能力自体はレベルアップできます。ただ、やはり選手というものは、試合に出ていなければコンディションを含めたパフォーマンスは落ちてしまうものです。

南野の場合も、試合感覚のところでこの影響が大きかったと思います。局面だけを切り抜けばいいプレーはあるけれど、1試合を通じて見ると物足りなさが残ってしまう。だから、存在感が消えてしまう時間帯が目についてしまうわけです。

それをまだモナコでも払拭できていないのでしょう。ただ、この課題は南野自身もたぶん感じているはずですよ。だからこそ、ワールドカップが控える新シーズンに新天地を求めたのだと思います。

モナコでもまだ課題は解消できていませんが、あまり心配はしていません。リヴァプール時代よりも試合に出られる可能性が高い環境にありますからね。南野が本来のポテンシャルを発揮できるようになれば、おのずとポジションは手にできるのかなと見ています。

とはいえ、南野がリヴァプールでポジションを争った選手に比べたら、モナコに所属する選手たちは見劣りするものの、決してレベルが低いわけではないので、悠長に構えているほどの時間はないですよね。ただ、南野も競争の激しさを理解しているでしょうし、もともとは1試合通じて存在感を発揮していた選手ですから、試合出場を重ねていくなかで、本来の姿を取り戻すと信じています。そうなったときに日本代表に還元されるものは小さくないでしょうね。ザルツブルク時代の南野が、日本代表で躍動していた姿がもう一度戻ってくると期待してしまうわけです。

もうひとりの伊東は、ステップアップとなるリーグ・アンでどうかなと気がかりでした。でも、第3節で初先発して"らしさ"全開のプレーを見せてくれたので、一安心しています。

伊東はいまや日本代表の攻撃で不可欠な選手ですからね。万が一、ステップアップとなる移籍に適応できずにベンチ要員が続いてしまうと、ワールドカップへの影響は否めないだけに心配していましたが、それが杞憂に終わりそうだなと思うパフォーマンスを第3節では見せてくれましたね。

伊東の場合は、ワールドカップだけを考えれば、ベルギーリーグに残る道もありました。でも、やっぱり来年3月で30歳になることを踏まえれば、ここでステップアップして勝負したかったんでしょうね。彼自身のサッカーキャリアを考えても、ベルギーリーグ以外のサッカーを知ることは、引退後も含めた彼の今後のサッカー観を豊かにしてくれるはずですよ。

もちろん、彼のプレーはまだまだ引退なんて考える必要のないものですけどね(笑)。あの圧倒的なスピードはプレーするリーグやクラブが変わっても揺るぎなく、どんな相手にも通用する武器だということを知らしめてくれました。右サイドからの伊東の突破力は、ここから先のリーグ・アンでもっともっと注目されていくことでしょうね。ワールドカップでの伊東のパフォーマンスをいまから楽しみにしているだけに、ケガだけはしないことを願っています。

リーグ・アンの注目度は、メッシ、エムバペ、ネイマールのいるパリ・サンジェルマンに集まってしまうのは仕方ないとは思いますが、そのリーグには日本代表の主力選手ふたりがプレーしていることも忘れないでもらいたいですし、彼らのパフォーマンスもしっかりチェックしてほしいですね。

構成/津金壱郎 撮影/鈴木大喜

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