神戸、千葉、新潟。Jリーグ序盤の相次ぐ監督交代に宮澤ミシェル「新シーズンに向けて積み重ねてきた時間はなんだったのか」

宮澤ミシェル氏が相次ぐ監督交代に「残念」 ヴィッセル神戸など3チームで交代

記事まとめ

  • ヴィッセル神戸、ジェフ千葉、アルビレックス新潟の3チームで監督が交代となった
  • サッカー解説者・宮澤ミシェル氏はこの状況を「残念」と語っている
  • 「チームづくりが、監督交代で白紙に戻るわけだから」と説明した

神戸、千葉、新潟。Jリーグ序盤の相次ぐ監督交代に宮澤ミシェル「新シーズンに向けて積み重ねてきた時間はなんだったのか」

神戸、千葉、新潟。Jリーグ序盤の相次ぐ監督交代に宮澤ミシェル「新シーズンに向けて積み重ねてきた時間はなんだったのか」

監督交代について語った宮澤ミシェル


サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第93回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したこと、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、Jリーグの監督交代について。シーズンが始まってまだ序盤といえるこの時期に、ヴィッセル神戸、ジェフ千葉、アルビレックス新潟とJ1とJ2合わせて3チームで監督が交代。この状況を宮澤ミシェルは残念だと語った。

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ヴィッセル神戸には驚かされっぱなしだね。フアン・マヌエル・リージョ監督を解任して、新指揮官には吉田孝行が再登板することになった。大物外国籍選手の獲得はまだまだあると睨んでいたけど、まさか監督交代劇が起きるとはね。予想外の展開だったよ。

それにしても、Jリーグが開幕してから2ヶ月あまりで、神戸を含めて、すでにJ1とJ2の3チームで監督交代劇が起きた。これは残念なことだと思うよ。

昨年11月にシーズンが終わってから進めてきたチームづくりが、監督交代で白紙に戻るわけだからね。2019年シーズンに向けてキャンプなどで積み重ねた時間はなんだったのか。「この監督のもとで2019年を戦うんだ」と決断したクラブ側は、開幕2ヶ月程度の成績不振であっさり方向転換する。シーズン前に下した判断が間違っていたという責任を、監督の首のすげ替えだけで終わらせるのか。そこは気になるところだよね。

リージョ監督辞任の報が流れた3日前に、アルビレックス新潟でも監督交代があった。J2ではジェフユナイテッド千葉が4節終了時点でエスナイデル監督から江尻篤彦監督へと交代したのに次いで2例目。両クラブともに成績不振が理由だけど、新潟の場合はどうなんだっていうのはあるよね。

解任された片渕浩一郎監督は、昨季途中の8月に就任して7勝3分5敗。今季も3勝3分3敗で9位。ただ、チームの流れとしては上昇気流をつかみかけていたタイミングだったんだよな。

解任2節前の第8節は前半に先制したものの、ファジアーノ岡山に後半4分までに3点を奪われて1‐3。こういう展開はふたたび自分たちに流れを呼び込むのは難しいんだけど、そこから粘ってアディショナルタイムで追いついて引き分け。解任直前の4月13日のモンテディオ山形戦でもアディショナルタイムに同点弾を決めて引き分けに持ち込んだ。

2戦連続での劇的な同点ゴールでの引き分けでしょ。本調子にならないチームが、「さあ、ここからだ!」と変わる転機だったと思うんだ。そのタイミングでの監督交代だから、選手たちは、「なんで?」という気持ちになったと思うんだよな。片渕監督で継続していてもよかったんじゃないかな。

新たにチームを率いている吉永監督は、2017年からの2シーズンをアルビレックス新潟シンガポールで監督をしていた。9チームで争うリーグ戦を2連覇し、年間2度あるカップ戦も2年間で3度優勝している。片渕監督が堅守速攻型だったのに対して、吉永監督は攻撃的なサッカー。選手にとってはキャンプから準備してきたものが真逆になる可能性は高いから戸惑うかもしれないよね。

ただ、片渕監督のものとでは、出場機会の限られていた攻撃力に特長のある外国籍選手は、よろこんでいるんじゃないかな。

今季の新潟は開幕前に外国籍選手を刷新して、新たに7選手を獲得したけれど、片渕監督がレギュラー起用していたのはカウエだけ。シルビーニョやレオナルドの出場は限られていたし、ほかの4人はほとんど使われない状況だった。それが攻撃重視に舵が切られたことで、外国籍選手の出場機会も増えるだろうし、それでカウエの良さがもっと生かせれば、得点力は間違いなく上がっていくと思う。

一方、古巣のジェフは深刻だな。江尻監督に代わって頑張っているけれど、得点力不足は相変わらず。ただ、これは江尻監督の責任というよりは、クラブ側にあると言っていいだろうね。

ジェフは2017年からの2シーズンで結果を残せなかったエスナイデル前監督に2019年も任せた。すべての問題はここに集約されているんだよ。監督を代えれば得点力が劇的に増えるなんてことは、ほとんどない。キャンプからしっかり攻撃と守備をつくり、それをシーズンのなかで微調整しながら成長させていくものだからね。

もし監督交代で責任を取ったと考えていたとしたら、それは残念なことだよ。しっかりとプロサッカークラブとしての体制へと変わってもらいたい。サポーターだけじゃないんだよ。古巣がJ1に戻るのを待っているのは。

クラブが監督交代を決断するには、目に見える成績だけではない、複雑な要素が絡み合っているもの。だけど、チームを応援するサポーターにとっては、その交代劇に納得できるかはやっぱり成績なんだよ。ジェフも新潟も神戸も、まだまだシーズンは長い。今回の監督交代が良手だったのか、愚策だったのかは、ここからの成績次第。それだけに新たな監督のもとで、どんな戦いを見せてくれるのか注目していくよ。

構成/津金壱郎 撮影/山本雷太

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