堅守速攻にスタイルチェンジでJ1優勝を果たしたヴィッセル神戸。福西崇史が考える今シーズンのMVPとは?

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AIざっくり要約

  • ヴィッセル神戸が初優勝した今季は堅守速攻スタイルが成功した。守備力と前線の大迫勇也、武藤嘉紀によるカウンターがチームを牽引した。
  • 第29節の横浜FM戦は神戸が2-0で勝ち6ポイントマッチを制し、士気と自信を大きく上げた。山口蛍や酒井高徳はベテランとしてチームを引っ張った。
  • 今季の神戸を象徴する存在はMVPの大迫勇也だった。来季も優勝意識を持って戦い、チーム力と個人力の向上でリーグを牽引していく可能性が期待される。

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ヴィッセル神戸の今シーズンをフカボリ!
ヴィッセル神戸の今シーズンをフカボリ!
不動のボランチとしてジュビロ磐田の黄金期を支え、2006年開催のドイツワールドカップには、日本代表の中心メンバーとして出場。日本サッカーが世界水準へと飛躍していく瞬間をピッチの中央から見つめていた福西崇史。

そんな福西崇史が、サッカーを徹底的に深掘りする連載『フカボリ・シンドローム』。サッカーはプレーを深掘りすればするほど観戦が楽しくなる!

第80回のテーマは、J1リーグを初優勝したヴィッセル神戸について。今季の神戸の戦いぶりと優勝の要因、印象に残った選手、そして来季に向けて期待することを福西崇史が解説する。

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先日の第33節ヴィッセル神戸対名古屋グランパスで神戸が2-1で勝ち、クラブ初のリーグ優勝を達成しました。ここまで長い道のりの中で、さまざまな選手の入れ替えやサッカーのスタイルの試行錯誤などを繰り返し、ようやく優勝という形で実を結びました。

今季の神戸の戦いぶりを振り返ると、やはり特筆すべきは守備だと思います。チーム全体で集中力高く、前から強度の高いハイプレスでプレシャーをかけ、奪ったら前線のタレントを生かした素早いカウンターは本当に迫力がありました。

シーズンを通してそのスタイルを一貫して崩さず、他を圧倒しながら優勝まで駆け抜けたと思います。神戸の躍進のポイントとなったのは、やはりポゼッションスタイルから守備にベースを置いた堅守速攻へ変更したことだと思います。

それによってアンドレス・イニエスタの居場所がなくなるという側面もありましたが、それでも優勝したことでこのスタイルを貫いた価値があったとことを証明しました。ベテランの選手がハードワークで走り切り、若手の選手がそれに引っ張られて成長し、一体感のある良いチームを作り上げたと思います。

印象に残っているのは、第29節のアウェイで行われた横浜FMマリノスとの頂上決戦。日産スタジアムに3万人以上の観客が駆けつけ、最高の雰囲気の中で神戸が2-0で6ポイントマッチを制しました。

神戸の優勝へ懸ける思いが凝縮されたような試合で、内容的にも最後まで走り切って横浜FMを上回りました。ポイント差を広げたことだけでなく、ライバルを直接叩けたことでチームの士気、自信は大きく上がったと思います。逆に横浜FMにとっては非常にダメージの大きく、終盤戦に向けて優勝を占う上で決定的な試合だったと思います。

MVPを挙げるとするならば、今季全試合に出場し、前線でチームを牽引し続けた大迫勇也でしょう。とにかくチームのためにやるべきことやり続けたと思います。

攻撃では前線で体を張ってボールをキープしてカウンターの起点を作る。あるいは全体のラインを押し上げる時間を作る。ゴール前ではここまで22得点と得点ランキング1位の結果を残し、それだけでなく7アシストで味方へのチャンスを作りました。

守備でもハイプレスをサボることなく、常に相手に制限をかけて後ろの選手たちを助け、体を張って攻守においてチームを引っ張る存在であり続けたと思います。

武藤嘉紀も大迫と並んで、前線でチームを引っ張る存在だったと思います。とくに持ち味であるフィジカルの強さとスピードを生かして、サイドからのチャンスメイクというところで大きな役割を担っていました。

また守備においても凄まじい勢いでプレスをかけて、それが1度ではなく、2度追い、3度追いと相手にとっては非常にやりづらさを与え、味方にとっては非常に助けられたと思います。

二人でボールをキープし、点を取り切れる大迫・武藤という代表クラスのコンビは、今季を象徴する存在感がありました。それがシーズンで欠けることなく、出続けていたということも神戸の強さの大きな要因だったと思います。

もちろん、彼らだけではなく、山口蛍や酒井高徳というベテランの経験に裏打ちされた振る舞い、プレーはチームを支えていたと思います。とくに山口はイニエスタからキャプテンを引き継いで大きなプレッシャーもあったと思いますが、第30節まで全試合フル出場でプレーの中で自分がチームを引っ張るという意識、責任感を感じました。

アカデミー出身の佐々木大樹、山川哲史の成長と活躍、本多勇喜、井出遥也、齊藤未月ら新加入組の活躍も欠かせないもので、今季のチームに見事にフィットしていたと思います。そのほかの選手もチームへのコミットメントは素晴らしかったし、その一体感もまた神戸の強さの要因でした。

長く続いた横浜FMと川崎フロンターレの2強時代も崩れ、神戸が頂点に立ったことはJリーグにはどのクラブにも優勝のチャンスがあるということを改めて証明してくれました。

その一方で、リーグには抜きん出た存在も必要だと思います。神戸は来季、優勝を意識しながら戦うことで、チーム力はもちろん、選手個々のレベルもより上がると思います。補強という面でも大いに期待できます。

また、吉田孝行監督はこれまでピンチヒッターという役回りが多かったですが、今季はようやくひとシーズン通して指揮を執り、初優勝をもたらしました。結果を出した吉田監督が、今度は結果を出さなければいけないチャンピオンチームをどのように発展させていくのか。そして神戸がリーグを牽引する存在になれるのか、楽しみにしたいと思います。

構成/篠 幸彦 撮影/鈴木大喜

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