セ・リーグで登板数の上位を独占。優良すぎる外国人中継ぎ投手たち

セ・リーグで登板数の上位を独占。優良すぎる外国人中継ぎ投手たち

セ・リーグの登板数ランキング上位には外国人投手がズラリ。彼らが優勝争いのカギを握る? ※写真はイメージです

ハフ、マクガフ、エスコバー、ジョンソン、フランスア、レグナルト......ズラッと並ぶカタカナの名前は、プロ野球セ・リーグの登板数ランキング上位6人(6月10日現在)である。

対するパ・リーグは、同上位24人までで外国人投手はふたりだけ。なぜこのような珍現象が起きているのか? セ・パ両リーグで中継ぎ投手として活躍した経験を持つ正津英志氏(中日スカウト)は、こう証言する。

「私は中日と西武でプレーしましたが、パ・リーグは比較的ラクなんです。セ・リーグは投手が打順に入るので、打順の巡りが予測しづらい。『ピッチャーに代打が出たら、次の回から行くぞ』と言われて準備していても、結局ピッチャーに打順が回らなくて出番が来ない......というケースもよくありました。パ・リーグはDH制なので、そういうことはありませんから」

自分の出番が予測しづらく、気持ちのオン・オフを頻繁に切り替えなければならないセ・リーグでは、中継ぎ投手の負担が大きい。それゆえ人材が枯渇し、タフな外国人投手の力に頼らざるをえない。外国人中継ぎの登板過多現象の背景には、そんな要因があるのではないだろうか。

リーグ3連覇中の広島は、かつて「リリーフ左腕不足」が弱点と指摘されていた。だが、昨季はヘロニモ・フランスアが1軍戦力となり、今季は新加入のカイル・レグナルトが27試合の登板で防御率0.30の大活躍。9年目の中村恭平も開花の兆しを見せていることから、一転して"左腕王国"を築きつつある。

レグナルトは身長188cm、体重103kgの厚みのある体から、150キロ前後の剛速球を投じる剛腕。縦に鋭く曲がり落ちるカーブは「ハンマーカーブ」と呼ばれ、三振を奪えるキレがある。ドミニカ共和国のカープアカデミーから成り上がってきたフランスアと共に、リーグ4連覇に向けてカギを握る存在になりそうだ。

さらに、昨季は最下位に沈みながら、今季は矢野燿大(やの・あきひろ)新監督の下で上位争いを繰り広げる阪神。その躍進を支えているのが、新入団右腕のピアース・ジョンソンである。28試合の登板で19ホールド、防御率0.64の圧倒的な成績を挙げている。

かつてはカブスからドラフト1巡目指名を受けたエリートも、MLBでは通用せず。働き場を日本に求めて阪神に加入すると、開幕から16試合連続無失点と大活躍。守護神のラファエル・ドリスにつなぐセットアッパーの大役を担った。130キロ台で鋭く曲がり落ちる「パワーカーブ」を駆使し、配球のほとんどはストレートとカーブが占める。

夫婦そろって親日家で、わさびにも順応。愛用のグラブにはカタカナで「ピー ジェー」と刺繍(ししゅう)されている。6月7日にリフレッシュの意味合いで1軍登録を抹消されたが、阪神が優勝を狙うには不可欠の戦力になるだろう。

現時点で下位のチームにも、頼もしい助っ人が多い。まずは、今季リーグワーストタイ記録となる16連敗を喫したヤクルト。先発投手陣が軒並み不安定ななか、登板数が増えているのがデーブ・ハフ、スコット・マクガフの中継ぎ外国人コンビだ。

来日2年目のハフは日韓を股にかけて球団を渡り歩いた苦労人左腕。カットボールで右打者のインコースを攻められるため、打者の左右に関係なく抑えられる。昨季序盤は先発を務めていたが、登板予定日に雨が続き、球団から「Rain man」とプリントされたTシャツが緊急発売されたことも。今季はここまでリーグトップの31試合に登板している。

一方のマクガフは、最速157キロを計測する力強いストレートが魅力の剛腕。ハフに次ぐ29試合登板という酷使がたたってか、防御率3.97と成績が下降気味なのは気になるところだ。日本の高温多湿の夏場を乗り切れるか、ここからが正念場になる。

中日は自身がリリーフ投手だった与田剛新監督が就任。基本的にリリーフに4連投はさせない方針を掲げている。とはいえ、セットアッパーを務める来日2年目のジョエリー・ロドリゲスは、すでに27試合に登板。サイドに近い角度から強烈な腕の振りで、昨季はNPB左腕最速(当時)の159キロを計測した。

さらに外国人野手が不調という背景もあり、身長193cm右腕のライデル・マルティネスも登録。アーム式のダイナミックな腕の振りで真上からボールを叩き落とし、独特の存在感を放っている。

DeNAには来日4年目のエドウィン・エスコバーと来日3年目のスペンサー・パットンの"左右両輪"が、これまでチームを支えていた。ところが、今季は共に不安定な投球に終始。球団は急遽、身長196cm、体重114kgの巨漢左腕であるサミー・ソリスを補強した。アンガス牛を彷彿(ほうふつ)とさせる外見とプレースタイルから、愛称は「ビッグ・アンガス」だという。

最後に、球団ワーストタイとなる4年連続V逸中の巨人について。クリストファー・メルセデス、テイラー・ヤングマンと先発投手に外国人枠を割いていることもあって、他球団のように外国人中継ぎ投手は目立っていなかった。

だが、頼れる男が帰ってきた。来日8年目のスコット・マシソンが、故障、病気のリハビリから復帰したのだ。過去7年間で393試合登板、166ホールド、53セーブの実績があるマシソンも、昨季8月に左膝を手術。さらに感染症に冒され闘病生活を強いられた。そこから交流戦開幕の6月4日に1軍に復帰し、早くも大事な場面で起用されている。

新旧の役者がそろった感がある外国人中継ぎ投手たち。彼らの奮闘が、リーグの優勝争いを左右するかもしれない。

取材・文/菊地高弘

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