堂安に正念場? 久保と三好の出現で激化する日本代表右サイドMFの争いに宮澤ミシェル「日本サッカーは楽しみな時代を迎えている」

堂安に正念場? 久保と三好の出現で激化する日本代表右サイドMFの争いに宮澤ミシェル「日本サッカーは楽しみな時代を迎えている」

日本代表の右サイドMFについて語った宮澤ミシェル氏


サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第104回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したこと、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、日本代表の右サイドMFについて。森保ジャパンでは堂安律で不動のポジションだった右サイドMFだが、久保建英や三好康児の活躍で「堂安が結果を出せなければ、その座も危うくなるかも」と宮澤ミシェルは語る。

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堂安律は「うかうかしていられないぞ」って気を引き締めているんじゃないかな。

東京五輪世代を中心にしたメンバーで臨んだ南米選手権で、日本代表はチリ、ウルグアイ、エクアドルと対戦して2分け1敗。得失点差で決勝トーナメント進出は逃したけれど、20年ぶりに出場した大会で爪痕は残してくれたね。

戦前は日本代表のメンバー構成を見て、「日本は南米選手権を舐めている」と報じていた現地メディアが、日本代表への評価を改めていた。サッカーを見る目が肥えている南米の人たちに認められたのは、今後に向けての明るい材料だよ。

東京五輪世代は、自国開催の五輪で、1968年メキシコ五輪での銅メダル以来となるメダル獲得に臨む。所属クラブとの兼ね合いで招集できるかわからないけれど、森保一監督は主力選手のひとりとして堂安律を計算していると思う。

だからこそ、昨年から堂安と冨安健洋をA代表に抜擢し、高いレベルの試合を経験させてきた。ふたりともその期待に応えるように成長を遂げ、いまではすっかり日本代表の攻守で欠かせない選手になっているよね。

ただ、堂安は3月と5月のテストマッチで空回りしていた。A代表として試合に出場し始めたばかりの頃は、怖いもの知らずでガンガン仕掛けていけたし、それで通用していた。だけど、今年になってからのテストマッチでは仕掛けてゴール前に切れ込んでも結果に繋がっていない。きっと本人も「あれ?」っていう感触だったんじゃないかな。

堂安にとってここからが正念場になるね。南米選手権では同じ東京五輪世代の三好康児がウルグアイ戦で2ゴールを決めた。堂安と同じ左利きでポジションも被る三好は、もともと東京五輪世代のなかでは常に中心選手として期待されてきた存在。

それが年齢でひとつ下の堂安に代表でも海外移籍でも先に行かれていた。三好にしたら、「俺もいるぞ!」っていうアピールを狙っていただろうし、そのとおりの結果が出せたよね。

堂安の影に隠れていた三好が存在感をアピールしたけれど、堂安のポジションでは久保建英もプレーできる。南米選手権やキリンチャレンジカップではトップ下で起用されていたけれど、FC東京では右サイドMFでプレーして攻撃を牽引していた。久保が右サイドMFに入ると、攻守両面で溜めがつくれるので落ち着きが生まれるメリットがある。堂安がいまのまま日本代表で結果が出せないでいると、その座は危うくなるかもしれないよ。

もちろん、そのことは堂安もしっかり理解していると思うんだ。だからこそ、得点という結果を欲しがって何でもかんでもゴール前に突っかけていってシュートを狙おうとしていたんだろうね。

でも、DFの目線で言えば、そういう選手は怖くはないんだよ。ドリブルで突っかけてきて最後はシュートだとわかっていたら、そういう対応を取ればいいだけのこと。最後の最後がシュートなのか、ラストパスなのかが読めないから、DFには迷いが生じ、一瞬だけ対応が後手を踏む。堂安に足りないのは、そこでの駆け引きなんだよ。

サッカー界的には東京五輪でのメダル獲得も大切だけど、やっぱりW杯が最大のイベントだからね。そこで勝てるかどうかが最重要なこと。堂安律、久保建英、三好康児の東京五輪世代の3選手が、2022年W杯カタール大会で華々しく活躍できるように、互いの存在を刺激材料にしながら大きくステップアップしていってほしね。

堂安が台頭した昨シーズンは、右サイドMFは堂安の不動のポジションかと思われたけど、それが久保や三好の出現で競争は激化する。サッカーはわからないものだし、いまの日本サッカー界には、1,2年後に大化けしても不思議ではない才能を持った若手が多い。右サイドMFに限らず、すべてのポジションで来年はスタメン最右翼の選手がガラッと変わっている可能性だってある。日本サッカーは楽しみな時代を迎えているよ。

構成/津金壱郎 撮影/山本雷太

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