日本代表に招集されずも、スペインで躍動する香川真司に宮澤ミシェル「いまはサラゴサでの地位を確固たるものにしてくれればいい」

日本代表に招集されずも、スペインで躍動する香川真司に宮澤ミシェル「いまはサラゴサでの地位を確固たるものにしてくれればいい」

香川真司について語った宮澤ミシェル


サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第117回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したこと、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、香川真司について。10月10日、15日のW杯アジア2次予選では日本代表に招集されなかった香川真司だが、今はサラゴサで確固たる地位を築くことが大事だと宮澤ミシェルは語る。

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日本代表は10月10日にモンゴル、15日にタジキスタンとW杯アジア2次予選を戦うけれど、そのメンバーに香川真司は招集されなかったね。

攻撃陣は1トップの大迫勇也を軸に、2列目には右サイドの中島翔哉、トップ下の南野拓実、左サイドの堂安律に加えて、右サイドでもトップ下でもプレーできる久保建英も台頭している。

サッカーは何が起きるかわからないスポーツだけど、対戦相手の実力や2022年W杯後を見据えれば若手主体で臨むことに異論はないし、それをできるだけのタレントが揃ってきているから妥当な判断だと思う。

でも、やっぱり香川の名前がない寂しさはあるよな。ただ、日本代表の看板を長年背負ってきた香川の力が落ちたかといえば、今シーズンのパフォーマンスを見れば、それは違うとはっきりわかるよ。

まあ、いまは新天地のサラゴサでのプレーに専念してもらって、クラブでの地位を確固たるものにしてくれればいい。それで前回W杯ロシア大会のときの乾貴士のように、予選は日本代表に絡まなくても、本番直前になったときに「必要だ!」と思われる存在であってくれることを期待しているんだ。

それにしても、サラゴサに香川がいて、岡崎慎司がウエスカにいて、柴崎岳もデポルティーボ・ラ・コルーニャにいる。スペインのリーガ2部は日本代表の顔と言える選手たちがプレーしているんだから、贅沢というか、リーガ1部のレベルの高さがわかるというか......。

ひとつ言えるのは、日本人選手にとってスペインのサッカーは魅力的に見えるってことだよな。ドイツの1部リーグでプレーするとなおさらで、これは乾も言っていたけれど、スペインには自由があるように思えるんだよ。

実際にはスペインだって他国のようにフィジカルのぶつかり合いは激しいし、規律も求められる。だけど、それが目立たないくらいリーガの選手たちはテクニックが優れている。そうした舞台で自分も勝負したいって思うのは、選手としては自然なんだろうな。

香川や岡崎が2部リーグであってもスペインに移ることを望んだのは、そうした思いに加えて、乾の影響もあるようだね。3選手はすごく仲がいいから、乾が「スペインはおもしろいぞ」と盛んに言ったことに触発された部分もあるんじゃないかな。

日本でもドイツでも"ドリブル小僧"として独自のプレースタイルで地位を築いた乾が、スペインでも存在価値を認められるまでになった。その乾の姿を見て、香川や岡崎が「俺も!」と思ったとしても不思議はないよ。

今季はリーガ2部とはいえ、香川はトップ下で存在感を発揮して、すでにチームに不可欠な存在になっている。サラゴサは今季5位(10月7日時点)だけれど、昨季も入れ替え戦にまで進んだから、順調に行けば来季は1部の可能性だって見えるよ。

岡崎もリーガ2部で3位につけるウエスカで1トップとしてスタメンを張っている。シーズン前にゴタゴタがあってキャンプに合流できなかったけれど、そのなかでもポジションをしっかり獲っているのはさすがだよ。

ただ、両選手にとって本当の勝負は来季だよな。まずはチームを1部に引き上げるために戦うんだけど、昇格したらポジションを争う新たなライバルが入ってくる。監督が代わる可能性だってあるからね。

香川にとって難しいのは、リーガ1部になると、トップ下を置く布陣で戦うクラブが激減するということ。香川がもっとも輝くのはトップ下なのは間違いないからね。だからこそ、香川は来季に向けて、サラゴサでトップ下としての存在価値をさらに高めなければいけないんだ。

日本代表のトップ下でプレーする香川も見たいけれど、来季はリーガ1部で香川がトップ下として輝くのを待っているから、いまは日本代表の香川は我慢するよ。若い選手たちの活躍に目を奪われがちだけれど、ベテランの域になっても挑戦を続ける香川からも目を離さないでほしいな。必ず香川の力が日本代表に必要となる日が来るからね。

構成/津金壱郎 撮影/山本雷太

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