小島慶子の今週の気になるコト――"札幌五輪"開催ならお台場の海も...。東京開催は無理がある?

小島慶子の今週の気になるコト――"札幌五輪"開催ならお台場の海も...。東京開催は無理がある?

「日常生活でも十分疲れる東京が、世界規模のお祭りの中心になることは憂鬱でしかない」

IOCのトーマス・バッハ会長が「IOC理事会は札幌市に移すことに決めた」「これは相談事ではない。この案で」などと、来夏の東京オリンピックのマラソン、競歩のコースを札幌に移すことを断言した。

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に思うあんなこと、こんなこと。

* * *

IOCの急な決定で、来年のオリンピックのマラソンと競歩は札幌開催になったというので今年の8月の札幌の気温を見てみたら、確かに東京よりかなり涼しい......。

東京の厳しい夏に向けて調整してきた選手たちにしたら、せめて今年の夏前に決めてくれたらよかったのに!という思いだろうけど、9月から10月に行なわれた世界陸上ドーハでも夜間にもかかわらず暑さで棄権する選手が相次いだし、ここは観客やスタッフの健康も考えればやむなしかも。しかしもはや東京オリンピックではないな......。

こうなるとトライアスロンなどの会場、お台場の海も気になります。同じ東京都でも、新島で開催すればめちゃめちゃきれいな海で泳げるよ!という意見もありますよね。いいと思うんだよなあ。船を増便して実現できないものか。

ていうか、もう東京にこだわらなくていいなら、お隣の神奈川県はもちろん、日本中にきれいな海はあるのだし、わざわざ大腸菌が気になるお台場でやらなくてもという気がますますしてきました。

1年の3分の2ほどを東京で暮らしている私にとっては、正直言うとオリンピックは脅威でしかありません。交通渋滞はどうするんだとか、どこへ行っても混雑している東京がいっそうカオス化するのではないかとか......。

電車の乗り換えなんて、住んでいる私でも毎度迷うんだから、ここに海外から大量の観光客が来たらどうなるんだろう。東京駅で乗りたい電車のホームがどこにあるのかと頭上の矢印をあてに歩いていると、急に表示が消えるトラップとかありますよね? それにあの驚異的な量の人がほとんどぶつかることもなくすごい速さで移動している構内。あれを見るといつも「この街では立ち止まったら死ぬんだ」と"東京砂漠"を実感します。

そんな人波のなか、行き先を定めて流れを乱さないように歩くのはかなり技術が必要。しかもみんな急いでいるから、もたもたすると殺気立つんですよ。おもてなしの国だと思って来た観光客が駅で迷って邪険にされることがないといいな。

渋谷駅なんて工事中だから行くたびに乗り換えルートが変わっててもはやアトラクション化しており、さあ今日はどこを歩かされるのかな?と毎度ドキドキです。アクロバティックな迂回(うかい)ルートでとんでもない時間がかかったりするし。まああれはオリンピックまでには完成する予定らしいけど。

とにかく、日常生活でも十分疲れる東京が世界規模のお祭りの中心になることは、私にとっては憂鬱(ゆううつ)でしかない。

そういやマラソンの札幌開催決定で「オリンピックの間は札幌に避難しようと思っていたのに!」と嘆く声もあったなあ。この分だと開催までにまだまだ珍事が起きそうな予感です。

●小島慶子(こじま・けいこ) 
タレント、エッセイスト。テレビ・ラジオ出演や執筆、講演とマルチに活動中。現在、日豪往復生活を送る。対談集『さよなら!ハラスメント』(晶文社)が好評発売中

関連記事(外部サイト)