宮澤ミシェルがCB・植田直通に期待し続ける理由「あのスケールの大きさを本物へと昇華させてもらいたいんだよ」

宮澤ミシェルがCB・植田直通に期待し続ける理由「あのスケールの大きさを本物へと昇華させてもらいたいんだよ」

植田直通について語った宮澤ミシェル氏


サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第121回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したこと、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、ベルギーリーグのサークル・ブルッへに所属する植田直通(うえだなおみち)について。10月15日に行なわれたW杯アジア2次予選のタジキスタン戦では、CBでスタメン出場した植田。そんな彼を、かねてより強く推してきた宮澤ミシェルがその魅力を語った。

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日本代表は11月14日にアウェーでW杯アジア2次予選のキルギスン戦、11月19日に大阪吹田でベネズエラとの親善試合に臨むけれど、この連載で何度か触れている植田直通が日本代表に招集されることを期待しているんだ。

植田は10月のタジキスタン戦に右CBでスタメン出場して、なんとかそつなくプレーしてくれてひと安心したんだ。最前線に楔(くさび)を入れようとしてミスパスになるケースもあったけれど、いまの植田にとっては代表戦でピッチに立ち続けることが大事だからね。

冨安健洋(とみやすたけひろ/ボローニャFC)の台頭ですっかり影が薄くなっているけれど、植田はユース年代から期待されてきた選手で、リオ五輪ではDFラインの核としてプレーしたし、2018年W杯ロシア大会の代表メンバー。ポテンシャルは誰もが認める選手には、やっぱりA代表で戦力になってもらいたいんだ。

昨夏から移籍したベルギーリーグのサークル・ブルッへは、今シーズンは守備が崩壊していて、1試合で3失点、5失点が当たり前。植田も常時スタメン起用されているけれど、心身ともにシンドイ状況だと思うんだ。

ただ、そういうチーム状況は、腐ろうと思えば簡単だけど、選手として成長の糧もたくさん転がっているんだよな。

富安がケガをしたり、昌子源(しょうじげん/トゥールーズ)がケガで本調子からほど遠いという理由もあったのだろうけど、10月の日本代表戦に植田が招集されたのは、そういうチーム状況でもしっかりサッカーに向き合う姿勢を森保監督が見ていたからなんだろうな。

植田が今後も日本代表として生き残っていくためには、まずはフィードの部分での判断力を高めていくこと。タジキスタン戦は前線の選手がマークされているときでも最前線にフィードするケースもあった。

「ボールを受けたら前へフィード」の意識に引っ張られてすぎているようにも見えたよね。前線の状況によっては、DFラインでゆっくり回してもいいんだから。

代表生き残りに向けてアピールしたい気持ちが、判断を狂わせた部分もあったのかもしれないね。ただ、こうした気負いは代表戦をこなしていけば、もう少し落ち着いて判断できるようになるから、あまり心配はしていないんだ。

植田が損しているのは、こうしたミスが目立ってしまうことにあるんだよな。動きが硬いせいなのか、あのいかり肩が目を引くせいなのか。とにかくミスすると印象が悪い。だけど、吉田麻也だってミスはしているんだから、植田はミスを恐れずに、自分のできるプレーを、ちゃんとやればいいんだよ。

もうひとつ気がかりなのが、切り返しへの対応。植田のフィジカルの強さは、日本選手でトップクラスだから心配はないんだけど、ピンチになるほど相手を一発で止めようとして、簡単に切り返しでかわされるケースがあるんだよな。

タジキスタン戦ではGK・権田修一のファインセーブに救われたけれど、植田も吉田麻也も相手の切り返しに翻弄されてシュートに持ち込まれるシーンがあった。切り返しに強い富安なら、ああいうシーンにならなかった気がするからね。

彼が代表内でのプライオリティーを上げていこうとしたら、切り返しへの対応力を高めることが必要だし、粘り強く守備する引き出しを持ってもらいたね。

どうして僕が植田を強く推すのかと言えば、やっぱり不器用な選手ほどかわいいんだよ。彼が高校生の頃から見ているし、あの才能がありながらも、いまひとつブレークスルーできない歯がゆさもある。まあ、植田に起用さがあったら、彼が漂わせているスケールの大きさはない気もするし、あのスケールの大きさを本物へと昇華させてもらいたいんだよな。

日本代表CBの候補には吉田麻也、富安、畠中槙之輔がいて、昌子や三浦弦太、槙野智章という代表経験者のほかに、板倉滉などの若い選手たちもいる。過去の日本代表と比べても、選手層の厚さという点では1、2を争うほどの高いレベル。

そうしたなかで、ケガにせよ何にせよ、植田にスタメン出場のチャンスが回ってくるのも、植田はやっぱり何かを持っているのかもしれないなって思うんだ。もしかしたら森保監督にも、どうにかして植田を育てたい気持ちがあるのかもしれないね。

現時点のCBは、経験でも技術でも抜群の吉田麻也が軸で、そのパートナーは富安がファーストチョイス。でも、3年後の2022年には吉田は34歳。サッカーは年齢でやるものではないけれど、スピードなどを考慮すれば不安がまったくないわけではない。だからこそ、植田にはもっと成長して、代表CBのスタメン争いに加わってもらいたいと思っているんだ。

構成/津金壱郎 撮影/山本雷太

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