「得点を奪うパターンをもっと増やすこと」宮澤ミシェルが語った、W杯アジア2次予選のキルギス戦で浮き彫りになった課題

「得点を奪うパターンをもっと増やすこと」宮澤ミシェルが語った、W杯アジア2次予選のキルギス戦で浮き彫りになった課題

W杯アジア2次予選のキルギス戦について語った宮澤ミシェル氏


サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第123回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したこと、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、W杯アジア2次予選のキルギス戦について。11月14日にアウェーで行なわれたキルギス戦。宮澤ミシェルはこの試合を振り返り、「勝ち点3をとったことは素晴らしいが、課題も見つかった」と語った。

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W杯アジア2次予選の年内最後となったキルギス戦で、日本代表は2対0で勝利。アウェーならではの独特の雰囲気や、デコボコのグラウンド・コンディションを考えれば、きっちり勝ち点3を上積みしたことは素晴らしかったね。

キルギスに決定的なシーンを何度かつくられはしたものの、無失点に抑えられたのが大きかった。観客のほとんどがキルギス代表サポーターだったから、1点でも失ったら相手の勢いが倍加するのは目に見えていたからね。

相手の攻撃を最後の最後で防ぐことができたのは、日本代表の「失点しない」という意識の高さと、グループ力にあったといえるんじゃないかな。

ケガで招集外の冨安健洋に代わって2試合目の先発起用となったCBの植田直通は、落ち着きが出てきて、安心して観ていられたよ。彼にとってはキルギス代表が、自分の土俵であるフィジカル勝負だったのも追い風になったね。

ファインセーブを見せたGKの権田修一は、所属クラブで出場機会に恵まれていないことで、試合勘を不安視されることもある。だけど彼は、森保一監督やチームメイトからの信頼感を力に変えていた。

会社員だって同じでしょ。上司や同僚から信頼されていると感じられなかったら、働くことへのモチベーションは低くなる。権田も日本代表チームからの厚い信頼を、意気に感じているんだよな。

攻撃面は左サイドに原口元気、右サイドMFに伊東純也を起用して、ワントップの永井謙佑を含めたスピード重視の布陣を組んだ。でも、そのために前線でタメがつくれないことのデメリットが表れていたな。

相手DFラインの裏にボールを蹴って、前線の選手たちのスピードで相手守備網を打開しようとした。前半は何度か崩してフィニッシュに持ち込んだけど、時間が経つにつれて互いがカウンターを仕掛けるだけのオーソドックスな展開になってしまったよね。

スピードに頼りすぎたせいか、日本代表の持ち味のコンビネーションや、3人目の動きも消えた。それで相手が守りやすくなってしまった部分もあった。

なにもスピード勝負が悪いっていうわけではないよ。ただ、攻撃が一本調子になれば、相手に読まれて対応されるのは当たり前。前線に攻撃のタメをつくれる大迫勇也が不在だったとはいえ、状況に応じてスピードとタメを使い分けられるようになってもらいたいね。

キルギス代表は確かに力を伸ばしているチームではあるけれど、W杯アジア最終予選を想定すれば、勝利したことを喜んでるだけじゃ駄目。最終予選の対戦国のレベルはキルギスよりももっと高くなるのだから。

そこに向けて万全の準備を進めるために、キルギス戦で課題が浮き彫りになったのは、収穫だったよ。ここからステップアップさせていく時間は、まだ残っているからね。

今回のキルギス戦は大迫勇也や堂安律、久保建英、冨安健洋といった選手たちが不在だったけれど、最終予選でも主力選手の彼らを何人も欠く可能性はある。

それこそ最悪のケースを想定すれば、キルギス戦ではPKを獲得してW杯アジア2次予選4試合連続ゴールを決めた南野拓実も、大迫や堂安とともに欠場するかもしれない。

そうした時でも日本代表がしっかり勝利を引き寄せるために、得点を奪うパターンをもっと増やすこと。これが来年の日本代表の課題になる。

キルギス戦の伊東純也は、コンディションの調整が難しかったのか、精彩を欠いていたけれど、彼がモンゴル戦で見せたパフォーマンスなら頼りになるはず。左サイドMFで先発した原口元気が、フリーキックを直接ゴールに決めたのも収穫と言っていい。

だけど、それだけでは、まだ足りないんだよ。主力選手が不在でも、相手守備陣を崩せる攻撃のバリエーションをどうつくるのか。鎌田大地をはじめ候補はいるから、彼らをどう組み合わせて、それぞれの持ち味を生かしながら攻撃パターンを構築していくのか。

そこを試行錯誤するだけのアドバンテージは、W杯アジア2次予選の前半4試合でつくったよね。だからこそ、来年3月から再開されるW杯アジア2次予選で、森保監督がどんな采配をするのかいまから楽しみだな。

日本代表はまだまだ成長できる伸びシロがたくさんあるし、来年の東京五輪が終われば、そこを経てグッと伸びてくる若手もいるはずだからね。来年もみなさんと一緒に、日本代表をしっかり見守っていきますよ!

構成/津金壱郎 撮影/山本雷太

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