ACL準優勝の浦和レッズが大槻毅監督に続投要請。宮澤ミシェルがその裏側を読む「『要請』の段階で報じられることに、どこか別の意図を感じてしまう」

ACL準優勝の浦和レッズが大槻毅監督に続投要請。宮澤ミシェルがその裏側を読む「『要請』の段階で報じられることに、どこか別の意図を感じてしまう」

浦和レッズについて語った宮澤ミシェル氏


サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第125回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したこと、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは浦和レッズについて。リーグ戦では苦戦が続いたものの、ACLでは準優勝に輝いた浦和レッズ。そんな浦和レッズが、大槻毅監督に続投要請をしているというニュースが出てきたことが気になると宮澤ミシェルは語る。

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浦和レッズには2年前の再現を期待していたから、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の決勝で栄冠に届かなくて残念だったよ。

ACLの決勝で、アルヒラル(サウジアラビア)を相手にアウェーでの第1戦を0対1で落とし、ホームでの第2戦も0対2で敗戦。3度目の優勝はお預けになってしまったね。

日本勢は一昨年に浦和、昨年に鹿島アントラーズがACLを制覇しているけれど、アジアのレベルも確実に上がってきているなかで、決勝に進んだのは立派だった。来シーズンに出場するJリーグクラブがやり返してくれるのを期待しているよ。

そのACL決勝の後日、浦和は大槻毅監督に続投要請をしていることが報じられた。

大槻監督は今季5月に成績不振で解任されたリカルド・オリヴェイラ前監督のあとを受けてチームを託されて、リーグ戦では思うように勝ち点が積み上げられずに苦しんだけれど、ACLでは決勝まで導いた。

決勝トーナメントでは準々決勝で上海上港、準決勝で広州恒大の中国勢に勝利。世界的なタレントをかき集め、中国代表も数多く揃うチームを相手に、蜂の一撃をバシッと決めたのは最高だったよ。

あの戦いぶりは、大槻監督がシーズン頭からチームを任されたら、どんな手腕を発揮するのかを見たいと思わせたし、来季への期待感も抱かせてくれたよね。

ただ、気になるのが、『決定』ではなく、『要請』の段階で報じられること。だって、要請しても、受諾してもらえるかは別問題だからね。

野球にしろ、ほかの競技にしろ、監督は正式決定してから発表されるのが一般的。敢えてオファー段階で情報を出すのは、どこか別の意図があるのかなと思っちゃうよ。

これは浦和に限ったことではなくて、Jリーグではけっこうあることなんだ。今年も川崎フロンターレで契約最終年の鬼木達監督について「続投要請」が報じられたんだよね。

こうした情報は意図的にクラブ側がメディアに出していることが多いから、普通に受け止めれば続投要請は、額面通りと見ていいのかなとは思う。

でも、裏読みすれば、断られた場合のポーズだったり、時間稼ぎだったり、チーム作りが後手にまわっていることへのエクスキューズに見えちゃう部分もあるよな。

リーグ戦の終盤っていうのは、クラブにとっては目の前の一試合に集中しながら、すでに来季に向けてのチーム作りは始める時期だからね。リーグ戦が不本意な成績だったクラブはなおさらのこと。来季に向けて監督続投か交代かを早めに判断して、監督の目指すサッカーのスタイルに合う選手の補強に動かなくちゃいけない。

だけど、浦和のようなシーズンを送った場合、監督の評価が難しいよ。大槻監督はシーズン途中での監督就任という難しさがあったなかで、リーグ戦はイマイチだったけど、ACLは決勝まで勝ち上がった。しかも、浦和の場合は編成部門が来季から一新される。評価の基準がどこにあるか見えにくくなっちゃうんだよな。

プロ野球のようにペナントレースがあって、その先にCS、日本シリーズと一直線にタイトルが並んでいたらわかりやすいのにって思うよ。

Jリーグの場合はリーグ戦があって、リーグカップ戦があって、天皇杯があって、しかもACLでしょ。各クラブでどのタイトルを重視するかは変わる。まあ、普通に考えたらリーグ戦があって、ACLの順なのかなとは思うよ。

新シーズンに向けた合宿などが1月下旬にスタートすることを考えれば、12月の時点では来季のチーム構想が決まっていないとシンドイ。それなのにシーズン終盤まで、リーグ戦やACLや天皇杯で勝ち進んでいると、決断が遅れてしまうのもわかる。

すべてのタイトルでダメなら大改革もしやすいけど、あっちは好成績でも、こっちはサッパリってのは本当に難しいよ。だけど、そこでどう決断するかもクラブの実力でもあるからね。編成面で新体制を築いた浦和が、リーグ戦に専念できる来季に向けてどんなチームをつくるのか興味深いよ。

構成/津金壱郎 撮影/山本雷太

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