プロ野球各球団のキャンプで存在感。今季に飛躍しそうな若手選手たち

プロ野球各球団のキャンプで存在感。今季に飛躍しそうな若手選手たち

昨年のドラフト会議で3球団が競合した中日の石川。左肩を痛めたという情報も流れたが、1年目から1軍で力強いスイングが見られるか

春季キャンプはルーキーたちの見本市だ。今年の目玉は"令和の怪物"佐々木朗希(ロッテ)であり、「総合力では佐々木以上」と評判の奥川恭伸(ヤクルト)だが、昨年のドラフト会議でもうひとり、複数球団がドラフト1位で競合した高校生ルーキーが株を上げている。中日の石川昂弥(たかや)だ。

右打ちの強打の内野手。ドラフト抽選で外したソフトバンクの王貞治球団会長に「みんな佐々木(を指名する)と思っていただろう? だましてでも獲(と)りたかった」と悔しがらせたほどの逸材である。

キャンプは2軍スタートだったが、2月7日の練習試合で"デビュー"を果たすと右越え二塁打をマーク。高校生ルーキーがこの時期に流し打って外野の頭を越す打球など、そうお目にかかれない。

翌日のフリー打撃では60スイングで23本の柵越えを放った。2月12日のDeNA戦で初めてプロの投手と対戦した際は3打数無安打に終わったが、「結果は期待していなかった。いい経験になった」と堂々としたもの。その負けん気にプロ向きの根性を見た。

プロの世界で1年間もまれると、10代の選手は見違えるほど成長する。2月8日の沖縄・石垣島。ロッテが台湾・楽天モンキーズを相手に20−4と爆勝した試合で、2年目の藤原恭大(きょうた)が輝きを放った。

9回、豪快なフルスイングから放たれた打球は、右翼席後方にある防球ネットの上段に突き刺さった。この一発にすぐさま反応したのがダルビッシュ有。自身のSNSで「ロッテ藤原選手のホームラン凄くない? しかもまだ高卒2年目って。。」と驚嘆した。

藤原は大阪桐蔭高時代に主力として春夏連覇に貢献。昨季は開幕スタメンに抜擢(ばってき)されるも、プロのパワーとスピードに対応できず6試合出場、打率.105と苦しんだが、もうその頃とは別人だ。ロッテ外野陣はFAでソフトバンクから福田秀平が加入し激戦必至ではあるものの、確かな存在感を示すに違いない。

同じくプロ2年目で注目したいのが、DeNAの伊藤裕季也(ゆきや)だ。こちらは大卒で現在23歳。昨季は8月に1軍デビューを果たすと、2日後にプロ1号、2号と2打席連続アーチをかける離れ業を演じた。

21試合出場、57打席と少ないが、長打率.596、OPS.929は立派な主砲クラスだ。DeNAは絶対的主軸だった筒香嘉智がメジャー移籍し、攻撃力ダウンが懸念される。その穴を埋める一番手候補は新主将の佐野恵太だが、伊藤もその素質は十分兼ね備えている。

同じくメジャー移籍で秋山翔吾が抜けた西武では、少しタイプは違うが、やはり左打ちの外野手である川越誠司を推したい。

北海学園大から入団5年目。もう若手とはいえないかもしれないが、もともと投手で、野手として戦うのは2年目だ。昨秋、台湾でのウインターリーグに参戦すると3本塁打、21打点で打撃二冠。吉田正尚(オリックス)や村上宗隆(ヤクルト)もかつて獲得したMVPに輝いた。「ポスト秋山」として恥ずかしくない実績を積み、今季に臨む。

巨人は、昨季に15勝を挙げた山口俊がブルージェイズに移籍したため、先発ローテーションに穴ができた。その穴を埋めるべく最速158キロのサンチェスを獲得したが、活躍は未知数。そこで4年目右腕、高田萌生(たかた・ほうせい)の台頭に期待がかかる。

創志学園高の頃から「松坂2世」の異名を取った才能の持ち主。過去3年間で1軍通算3試合、勝利ゼロとくすぶっているが「新しいことに挑戦したい」と、今年1月の自主トレではアスリートコンサルタントの鴻江寿治(こうのえ・ひさお)氏が主宰する合宿に参加した。

そこにはチームの先輩である菅野智之も参加。同氏の指導に基づき新フォームに挑戦中で、大きな話題を呼んでいる。鴻江氏が提唱する骨幹理論では、人間の体は「うで体」「あし体」の2種類に分類される。その体に合った動かし方をすることで潜在能力を呼び覚まし、故障防止にもつながるという。

高田は、菅野と同じ「うで体」で、最高のお手本が近くにいるのは心強い。また、合宿中に一緒に練習をした千賀滉大(ソフトバンク)を「去年の日本シリーズで巨人の投手の球を見たけど、トップクラスの強さ。なんで投げなかった?」と驚かせた。今年はファンを驚かすだろう。

剛速球といえば、ソフトバンク4年目左腕の古谷優人も楽しみだ。昨年5月の3軍戦で日本人左腕初となる160キロを叩き出し話題を呼んだ。

しかし、1軍実績はゼロ。「球は速いがノーコン」という典型的な例だった。だが、今年は制球難を克服。キャンプで猛アピールをしている。「力の抜き方を覚えた。また、ストライクゾーンの中で暴れればいいと、いい意味で開き直れたのもプラス」と自信の笑みを浮かべる。

その古谷とドラフト同期の長谷川宙輝(ひろき)は、新天地ヤクルトで勝負。昨年まではソフトバンク育成だったが、規定上で自由契約となったところで声がかかった。「相当悩みました」と明かしたが、少年期はヤクルトファンだったこともあり移籍を決断した。

高田と同様に1月は鴻江塾に参加。フォームがまとまり、150キロに迫る快速球も披露。高津臣吾監督から「まだ見せたくない。秘密兵器のままにしておきたかった」との言葉が出るほどだ。ツバメの救世主として先発ローテ入りを狙う。

キャンプは終盤。これからはオープン戦が本格化する。開幕1軍サバイバルが激化するなか、スター候補生たちは生き残りをかけて必死にアピールする。

取材・文/田尻耕太郎 写真/小池義弘

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