セルジオ越後がサッカークラブ経営陣へ「クラブを守るため、給与カット以外にも、あらゆる手段を講じてほしい」

健康でいれば、必ずサッカーができる日が来ると語るセルジオ越後氏

新型コロナウイルス問題が、サッカークラブの経営にも深刻な影響を及ぼし始めている。バルセロナは中断期間中の選手の給与70%をカット。ユベントスも監督、選手の3〜6月分の給与をカット。英プレミアリーグでは全選手に対して年俸の30%カットが提案された。

当然、選手に責任はない。でも、コロナの感染が拡大し、試合をいつ再開できるかわからない現状にあって、選手は受け入れるしかない。クラブの収入でスポンサー料の次に大きい入場料が入ってこない状態が続けば、運営は難しくなる。財政破綻するクラブも出てくると思う。

海外に限らず、Jリーグでも同じことが言える。先日、J1札幌の全28選手が今季の給与減額を総意としてクラブに申し入れたという。驚いたけど、選手たちが考え抜いての結論だし、応援したい気持ちになった。もっとこのニュースを拡散したい。また、Jリーグの村井チェアマンが賞金と配分金の見直しによる各クラブの「共存」を表明しているのも心強いね。

僕はアイスホッケーのH.C.日光アイスバックスというチームのシニアディレクターを務めているので、Jリーグ各クラブの不安や大変さを少しはわかっているつもりだ。

アイスホッケーも今はシーズンオフとはいえ、やはりコロナの影響を受けている。3月上旬には選手、スタッフを全員集めて「コロナの影響でスポンサーも苦しんでいる。選手も来シーズンの契約がどうなるかはわからない。でも、今まで出資してくれたスポンサーに恩返しをするつもりで、皆でこのピンチを乗り越えましょう」という話をした。

これから大変になるのは容易に想像がつくけど、誰も文句を言わなかったし、なんとか皆で頑張れればと思っている。

いずれにしても、クラブを潰さないためにはあらゆる手段を講じなければいけない。話題をつくってサポーターを巻き込むのもあり。以前、アイスバックスが潰れそうになったときには、ファンの皆さんが自然発生的に募金を始めてくれて、そのお金でシーズンを乗り切ったことがあった。今でも本当に忘れられないし、感謝している。

プロ野球でもかつて広島が経営難に陥ったとき、球場前に大きな樽(たる)を置いて「樽募金」を行なったと聞く。

経営陣だけでなく選手、スタッフ、サポーター、スポンサーがそれぞれアイデアを出し合うこと。今はSNSもあるし、募金に限らず、きっといいアイデアが出てくるんじゃないかな。

スタジアムはサポーターの憩いの場。例えばシーズンシートを持っていれば、近くの席の人と親しくなって、時には仕事につながったり、恋愛に発展したりすることもある。そういうつながりをつくれる場を提供することもスポーツの大事な役割だと思う。

僕は日本に来て2度、チームの廃部を経験している。それは本当に寂しいものなんだよ。だから、札幌の選手たちの行動もサポーターに届いてほしい。

そして選手たちが今やらなければいけないことはたったひとつ。不要不急の外出を控えて家にいること。Jリーガーがお手本にならないといけない。サポーターは待っているよ。皆、一日も早くスタジアムに行って応援したくてたまらないんだからね。

その日のために、今は我慢するしかない。健康でいれば、必ずサッカーができる日が来るのだから。

構成/渡辺達也

関連記事(外部サイト)