再開したJリーグで宮澤ミシェルが気になった選手は?「一番驚いたのは、仙台のジャーメイン良」

Jリーグで気になった選手について語った宮澤ミシェル氏
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第160回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したこと、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、今季のJリーグで気になった選手について。新型コロナウイルスによる中断を経て、7月に再開したJ1リーグ。再開後の1ヶ月だけでも、多くの選手が目に留まったと宮澤ミシェルは語る。

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Jリーグが再開して1ヶ月。横浜FCのFW斎藤光毅、サガン鳥栖のFW松岡大起、名古屋の右SB成瀬竣平、仙台のGK小畑裕馬などの久保建英世代の10代選手たちが、次々と頭角を現している。

その一方で、遅まきながらプロの世界で生き残ろうと必死にアピールしている選手たちもいて、個人的にはそういう選手たちに自然と目が行っちゃうんだよな。

そのなかで今季一番の驚きと思っているのが、ベガルタ仙台のジャーメイン良。

今年で25歳になったFWで、今シーズンは右サイドのアタッカーとして使われているんだけど、すごく躍動していて印象に残るプレーを見せているよ。

昨年までは2トップの一角としてグラウンドの真ん中にいることが多かったけど、そこでは存在感を発揮できなかったんだよね。正確性を求めて「丁寧にやろう」「手堅くやろう」としていたと思うんだけど、もともとテクニックがあるタイプじゃないから、どうしたって「雑」な印象しか残らなかった。だから試合にも使われたり、使われなかったりした。

だけど、使われるポジションが変われば、「雑」にしか思えなかった選手が、「荒々しく」て頼もしく感じるんだから、おもしろいもんだよな。

ピッチ中央とサイドのポジションで、何が一番違うかといえば、視野だよね。ピッチ中央でプレーする選手は360度の全方位に気を配らなければいけない。でも、サイドの選手はサイドラインを背負えば、180度の視野でピッチ全体が見渡せる。この違いによってジャーメインは、ボールをもらう前の動きが良くなったように思うよ。

相手の立ち位置をちゃんと認識してボールを受けられるから、大胆にもなれるんだろうな。試合を重ねるごとに自信を深めているから、さらに大胆になって縦へもガンガン仕掛けられる。いまは何をやってもうまいこと転がっているように見えるな。

ヴィッセル神戸の古橋亨梧(きょうご)も、脂が乗っているね。スピードや強さ、フィジカルでは日本人離れしている選手なんだけど、何がいいって縦にボールが出た時の反応の鋭さと、そこからのドリブルの切れ味に迫力を感じるんだ。彼も25歳か。まだまだ伸びしろはあるよね。

たまたま観た試合ではいいパフォーマンスをしたのに、他の試合では使われない選手ってのも気になるんだよな。それが柏レイソルのFW呉屋大翔(ごや・ひろと)。

関西学院大からガンバ大阪に進んで、一昨年は徳島ヴォルテスで7試合1得点だったのが、去年はVファーレン長崎で36試合22ゴール。その活躍が認められて今季は柏に完全移籍し、ネルシーニョ監督のもとで彼がどう化けるのか興味があるんだ。

今季は、第3節の横浜FC戦はスタメンで起用されて1ゴール。第4節の川崎フロンターレ戦は後半からオルンガに代わって投入されて1ゴール。だけど、第5節は後半31分から出番を与えられたけど、第6、7節と連続してベンチに座ったまま試合終了を迎えた。

もっと彼を使ってもいいんじゃないかと思うんだ。川崎F戦なんてオルンガが全然ダメで、呉屋が入ったことで柏の攻撃が生き返ったからね。なによりピッチに立っているだけで、どことなく得点の臭いがする選手っていうのは貴重だよ。

ネルシーニョ監督ほどの経験を持つ人が、そこに気づかないわけがないからね。いまは呉屋がチームにフィットする時間をつくっているだけなのか。それとも彼に足りない部分があるなどの他の理由かもしれない。いずれにしろ、呉屋は今後も注目していきたいね。

浦和の汰木康也(ゆるき・こうや)も注目選手だよ。山形から浦和に移籍して1年目の昨季は、リーグ戦8試合のみだったけど、今シーズンは左MFのレギュラーの座をつかんだ。

183cmとフィジカルに恵まれているし、足元のテクニックもしっかりしていて、速さもある。観ていて楽しめるプレーをする選手だね。今季の浦和の攻撃は、左SBの山中亮輔とこの汰木のふたりがカギを握っていると思うよ。

この汰木も25歳。海外なら20歳前後にしてレギュラーを張るケースが目立つけど、Jリーグの場合は25歳前後でようやく一本立ちするケースが多いね。昨シーズンも開幕時点で26歳だった仲川輝人が大ブレイクしたでしょ。

成長が少し遅い気はするけど、才能の花を開かせることなくプロの世界から去るよりは全然いいよ。やっぱり「ここで頑張らないとプロの世界で生き残れない」という必死さが伝わってくるから、彼らのプレーに目が行くんだろうね。

構成/津金壱郎 撮影/山本雷太

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