海外クラブに所属する日本人選手が増えた現状にセルジオ越後「海外挑戦が当たり前になった時代。大事なのは人数ではなく中身だ!」

プロは試合に出てなんぼと語るセルジオ越後氏

オランダ遠征(カメルーン戦、コートジボワール戦)に臨む日本代表メンバーを見て、感慨深い気持ちになった。何しろ25人全員が海外組だからね(その後、岡崎、長友が辞退)。

今回は新型コロナウイルスの影響で国内組を招集できない事情があったとはいえ、海外組だけで日本代表を組む日が来るとは。海外挑戦がまだ珍しかった時代を思えば、隔世の感がある。

ただ、海外のクラブに所属している選手が増えたからといって、その数に比例して日本サッカーのレベルが上がったということではない。

今は海外にパイプを持つ代理人も増えたし、選手の青田買いの傾向も強まるばかり。日本企業が出資しているクラブもある。だから、Jリーグで実績を残していない選手、世間に顔と名前を覚えられていないような選手でも海を渡れるようになった。そして、クラブやリーグのレベルを問わなければ何シーズンも海外で過ごせてしまう。

思えば、昔は日本代表の主力クラスになってようやく海外移籍が実現する感じだったよね。例えば、1999年にヴェネツィアに移籍した名波。前年にヒデ(中田英)がペルージャで大成功を収めたこともあり、同じく日本代表の中心だった彼への期待も大きかった。

でも、デビュー戦でシュートがクロスバーを直撃する不運もあったりして、思うように出場機会を得られず、結局、1シーズンで日本への帰国を余儀なくされた。

ただ、その後、磐田で圧倒的なプレーを見せ、日本代表でもアジア杯優勝などに大きく貢献したのはご存じのとおり。今、欧州でプレーしている選手たちと比べて、彼が劣っているとは誰も思わないよね。たらればを言っても仕方ないけど、当時世界最高峰のセリエAではなく、少しレベルの落ちるほかのリーグであれば問題なく活躍できただろう。

過去にはほかにそういう選手が何人もいた。名波と同じくセリエA(メッシーナ)に挑戦した小笠原などもそうだ。そう考えると、今の選手たちは恵まれている。

ただし、そのなかで継続的に結果を残し、チャンスをモノにできている選手はどれだけいるだろう。"助っ人"としての役割を果たし、レベルの高いクラブに引き抜かれ、そこでもレギュラーとして安定した活躍をできた選手はひと握り。例えば今回の日本代表でも長友、岡崎、吉田、酒井宏、冨安あたりに限られる。

以前、ヒデと食事をしたとき、彼はこんなことを言っていた。

「海外に行きたいなら、どんな形でもエントリーすべき。スポンサーの力に頼るのも悪いことじゃない。でも、そこでチャンスをつかんで試合に出なければ意味はない」

自分で道を切り開いてきた彼の言葉だけに説得力があるし、僕もまったくもって同感だ。

海外に挑戦しやすくなったのはポジティブなことだけど、プロは試合に出てなんぼ。満足な出場機会を得られないのであれば、すぐに移籍するなり、日本に戻るなりすべきだ。

セイコーよりロレックス、トヨタよりメルセデス・ベンツ、サッカーもそれと同じで、日本人は海外組というブランドだけでありがたがることが多い。でも、大事なのはその中身。今後、選手の海外志向はますます強まるだろうけど、そこはプレーする側も見る側も忘れてはいけない。

構成/渡辺達也

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