圧倒的な強さでJ1を制覇した川崎Fに宮澤ミシェルも拍手「今シーズンの川崎Fの強さは、やっぱり守備にあったと思うんだよ」

川崎Fについて語った宮澤ミシェル氏
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第177回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したこと、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、川崎フロンターレについて。圧倒的な強さで今年のJ1を制した川崎F。攻撃力がフォーカスされがちだが、その強さの根底にあるのは守備だと宮澤ミシェルは語る。

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いやぁ、強かった。川崎フロンターレが2年ぶり3度目のJ1優勝を達成したけど、今シーズンの彼らの戦いぶりは、「強かった」以外の言葉がなかなか見つからない。それくらい圧倒的な存在だったよな。

J1優勝を決めたのは過去最速記録でしょ。まだJ1リーグは終わっていないけど、勝ち点だってすでに、川崎Fが過去最多の記録の更新をすることは決まっている。

新型コロナ禍での中断期間があって、ようやく再開できたけど過密日程でさ。そのなかで記録づくめでの優勝だからね。この優勝は日本サッカーの歴史のなかで先々まで語り継がれていくだろうね。

今シーズンの川崎Fの強さは、やっぱり守備にあったと思うんだよな。

30試合で79得点という攻撃に目が奪われるんだけど、その根底にあるのは守備だからね。30試合で25失点という数字には表れない、すごさが彼らにはあるんだよ。

相手陣でボールを奪われると、川崎Fの選手たちはすぐさま守備に切り替えて、ボールホルダーへプレッシャーをかける。それで奪い返しちゃうし、高い位置でふたたび奪い返すから、攻撃のチャンスも広がる。そうした好循環のなかで得点シーンが増えていったんだよな。

去年までだって、前線からの守備はやっていたよ。だけど、今年は守備時の圧力をかけるスピードや強さが一段、二段くらいは高まっていたね。これは交代枠が5人になったことで、選手たちがガソリン切れを心配せずにできたっていうのもあるだろうね。

選手層も交代枠5人になったことで、川崎Fはいっそう厚みを増したよね。普通、優勝するチームっていうのは主力メンバーが固定されていて、交代枠は3枚しかないから、それ以外の選手たちがなかなか試合経験を積めない。だから、主力と控えの間の力の差が広がっちゃう。

それが鬼木達監督は、前半と後半で選手を大胆にガラッと入れ替える試合が少なくなかった。試合に出る機会があることで、若い選手や新戦力の選手たちが、どんどん力を伸ばしていったよな。

脇坂泰斗、三笘薫、旗手怜央、宮代大聖、田中碧など、名前を挙げたらキリがないくらい若手が台頭してきた。きっと中村憲剛は心置きなく引退できるんじゃないか。

ボールをポゼッションするスタイルで、攻守の切り替えが速くて、さらにはメンバーが充実している。これだけ揃っている川崎Fは、来年もJ1リーグの優勝争いの主役になるのは間違いないだろうね。

今シーズンの戦いぶりを見ていると、現状では来季フロンターレのライバルになれそうなクラブを見つけるのは難しい。寂しいことなんだけどさ。

それだけに興味が向くのが、川崎Fが自分たちのスタイルを貫いて、来シーズンこそアジア・チャンピオンズリーグのタイトルを獲れるのかってことなんだよね。

これまでガンバ大阪、浦和レッズ、鹿島アントラーズがACL王者になっているけれど、自分たちが試合の主導権を握って王者になったのはG大阪くらいで、浦和も鹿島もリアクションサッカーでの優勝だった。

外国人選手を補強できるクラブ同士の戦いになると、中国や中東にはとんでもないスペシャルな外国人選手を擁しているクラブがある。そういうクラブに勝とうとしたら、まずは自分たちの良さを出すよりも、相手のいいところを消すことから入るケースがほとんど。

だからこそ、川崎Fには自分たちのスタイルで相手を翻弄する姿を見せてほしいんだ。彼らはJ1リーグに敵のいないクラブだからね。

Jリーグを制したスタイルを貫いてACLを取るためにも、まずはJ1とその後にある天皇杯が終わったら、しっかり英気を養ってもらいましょうよ。そして、きっと来シーズンは今季のような強さをアジアの舞台で見せてくれるんじゃないかな。

構成/津金壱郎 撮影/山本雷太

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