横綱昇進後の勝率が史上最低、試練と向き合う稀勢の里

稀勢の里が7場所連続休場 横綱になってからの成績は史上最低で「引退目前」と指摘も

記事まとめ

  • 稀勢の里は7場所連続休場で、横綱昇進後の勝率が5割4分1厘と史上最低の数字に
  • いつ引退となってもおかしくないといい7月場所は進退をかけた"勝負"を強いられるとも
  • 千代の富士は貴花田(現・貴乃花親方)に敗れ場所中に引退を表明し引き際を称賛された

横綱昇進後の勝率が史上最低、試練と向き合う稀勢の里

横綱昇進後の勝率が史上最低、試練と向き合う稀勢の里

試練にどう立ち向かうか(時事通信フォト)

“第二の黄金期”といわれながら、平幕に連敗するとスパッと引退を決めた第44代横綱・栃錦。18歳だった時の貴花田(現・貴乃花親方)との初対戦で寄り切りで敗れ、場所中に引退を表明し鮮やかな引き際だと賞賛された第58代横綱の千代の富士。かつての大横綱たちの引き際は、今とは比べものにならないほど潔かった。翻って、今の横綱たちはどうだろうか。

 日本人横綱としての期待を集める稀勢の里は、途中休場も含め7場所連続休場に。そして、今年初場所で横審から立ち合いの「カチ上げ」「張り手」について自重を求められ、結果、平幕の北勝富士、嘉風に連敗して5日目から休場に追い込まれた白鵬。春場所は全休し、休場明けとなった今場所の初日、立ち合いで張り手を見せた。

「相手は同じモンゴル人だが、ガチンコ力士として知られる玉鷲だった。対戦成績は10勝0敗と圧倒しているので、一気に決めるつもりだったのでしょう。ただ、中継解説を務めた北の富士さんはそれを見て『やっぱり張ったか』『背に腹は代えられないんだろう』と嘆いていました。

 初日の支度部屋では自らデザインしたという新しい浴衣を披露。赤地に白文字で『白鵬』『2020』と書かれ、さらに五輪マークまで入っている。五輪開会式での土俵入りという野望を改めてアピールした格好です。2020年まで現役を続けるためには、横審に苦言を呈された“禁じ手”の解禁だってやる。そういうことではないのか」(協会関係者)

 もちろん、引き際の美しさに絶対的な基準があるわけではない。それだけに、問われるのは一人ひとりの横綱の「美学」ということになろう。

 稀勢の里の師匠でもあった第59代横綱の隆の里は、“千代の富士キラー”として知られたガチンコ横綱の代表格だが、苦しみ抜いた末の引退だった。

「糖尿病を抱えながらの現役生活で、当時では珍しいウェイトトレーニングを導入するなどして、なんとか克服して現役を続けていた。苦労を重ね、30歳過ぎてから昇進を果たし、“おしん横綱”と呼ばれました。

 ただ、横綱になってからの15場所で95勝42敗75休(優勝2回)の成績は、決して満足のいくものではなかったでしょう。1986年1月場所初日に保志に敗れ、引退を表明していますが、その直前7場所のうち、6場所を休場している。土俵人生は、どうしても稀勢の里に重なって見えてくる」(ベテランの相撲記者)

 稀勢の里は、横綱昇進後の勝率が5割4分1厘(26勝22敗57休)と史上最低の数字となっている(3月場所終了時点)。いつ引退となっても、おかしくない。

 運命の分かれ目となる次の7月場所は名古屋開催で、例年、連日30度を超す酷暑となる。

「体調管理に苦労する力士が多く、上位陣が序盤から黒星を献上する展開が名古屋ではよく見られる。平幕優勝が過去に5回と最も多い(全体で17回)のもその証拠。稀勢の里は、そんな厳しい環境のなかで進退をかけた“勝負”を強いられることになった」(前出の若手親方)

 協会や横審が日本人横綱ということで甘やかすことにも限界があるだろう。それは大横綱たちがプライドを懸けて築いてきた大相撲の歴史に泥を塗ることに他ならない。稀勢の里は試練にどう立ち向かうか。

※週刊ポスト2018年6月1日号

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