プロ野球「苦手」と「カモ」の存在がチーム戦略を左右する

プロ野球「苦手」と「カモ」の存在がチーム戦略を左右する

大投手・金田氏にも苦手な選手はいた

 球界では、常に「億」を稼ぐスター選手が活躍するとは限らない。エースが平凡なバッターに打たれたり、4番打者をカモにする“キラー”がいたりする。こうした「苦手」と「カモ」の存在は、時にチーム全体の戦略をも左右する。

 昨年11勝をあげ、現役外国人選手では最多勝利数を誇る阪神のメッセンジャー(36)は、広島のマツダスタジアムが鬼門だ。

 今季もここまで9勝をあげている(7月4日終了時点、以下同)が、対広島の登板は4月12日に甲子園で対戦した1試合だけ。しかも、2回に判定を不服として審判に暴言を吐いて退場処分に。今季の対カープ防御率は27.00である。

「とにかくメッセンジャーの苦手意識は深刻で、菊池涼介(28)を中心に徹底的にカモにされている。ただ、優勝を目指すには首位・広島との試合にエースをぶつけて勝つしかない。せめて敵地・マツダではなく甲子園での対戦で登板させるべくローテーションを組み直すなど、色々と面倒が増える」(球団関係者)

 西武のエース・菊池雄星(27)も同様で、もともとロッテにいたデスパイネ(32)を通算打率.385と苦手としていたところ、昨年、デスパイネがソフトバンクに移籍。

「菊池はソフトバンク戦で毎回のように打ち込まれていて、一昨年は防御率9点台、昨年も7点台。デスパイネが加わり、首脳陣もぶつけられないと考えたのか、今季はまだソフトバンク戦の登板が一度もない」(前出・広尾氏)

 エースをぶつけるのに支障がある、となれば「相性」が、優勝争いにも影響してくることになる。

 興味深いのは、どんな名選手にも“苦手”が存在していることだ。400勝投手の金田正一氏にとっては“牛若丸”の異名を取った阪神の名遊撃手・吉田義男氏だった。金田氏はこういう。

「(167cmと小柄な)あいつがバットを持ってしゃがむんだ。ストライクゾーンなんか、ありゃせん。ワシの真っ直ぐはホップするからボールになる。カーブを投げると、吉田がそれを待っていて上手く打ちよるんじゃよ」

 17年間のキャリア通算打率.267の吉田氏は、対カネやんでは.310。しかも通算66本塁打のうち8本が金田氏からだ。

「あいつは、巨人・阪神のOB戦でも甲子園のラッキーゾーンに放り込みやがったよ」(同前)

 これから激しさを増すペナントレース。そうした“苦手意識”が波乱を巻き起こすか。

※週刊ポスト2018年7月20・27日号

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