創志学園・西純矢は「新元号最初の怪物」に成長できるか

創志学園・西純矢は「新元号最初の怪物」に成長できるか

新元号最初の怪物になれるか(共同通信社)

 夏の甲子園大会、2回戦までの全40試合の中で、大会最速の151キロを記録したのは大阪桐蔭の背番号「1」柿木蓮だった。だが、それ以上に聖地にインパクトを残したのが、秋田の公立校・金足農業の吉田輝星と、創志学園(岡山)の西純矢の両右腕だ。

 吉田は2試合連続ふた桁奪三振を記録し、母校を23年ぶりのベスト8に導いた。MAX150キロという直球のギアを上げ下げして打者を翻弄し、スライダーやカットボール、カーブにフォークと球種も多彩だ。

 吉田は初回と最終回のマウンド上で、片膝をついた居合いの“侍ポーズ”で気合を入れ直す。一方の西は、1回戦で16三振を奪い、マウンド上で雄叫びをあげてど派手なガッツポーズを繰り返した。西は言う。

「気合が入ると、自然と出てしまう。ガッツポーズしようと思って、やっているわけじゃないんです(笑)」

 だが、西のこの行為は自分の身を崩し、大きな波紋を呼ぶこととなった。2回戦では、初回先頭打者から三振を奪うと、咆哮して右の拳を突き上げた。この回を終え、ベンチに帰ろうとする西に対し、主審が「必要以上にガッツポーズをしないように」と注意したのだ。高校野球のルールに「ガッツポーズ禁止」の項はないが、礼節を欠く行為が目に余ったということだろうか。

 だが、以降も西はガッツポーズを繰り返してしまう。

「何回か注意されるうちにリズムを崩し、審判と戦ってしまった。精神面の弱さが出てしまいました」

 相手打者よりも、ガッツポーズをしないように自制することに神経を使ってしまったという。そして2点リードで迎えた9回表。既に149球を投げていた西は逆転を許して敗退した。被安打はわずか「3」ながら9四死球を与え、投球数は179球に達していた。

「砂は持ち帰らない。来年、もう一度、戻ってきたい」

 吉田が“平成最後の怪物”なら、西には来夏、新元号最初の怪物に成長した姿で聖地に帰って来てほしい。

●取材・文/柳川悠二(ノンフィクションライター)

※週刊ポスト2018年8月31日号

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