伝説の騎手・藤田伸二氏、藤田菜七子の客寄せパンダ化を批判

伝説の騎手・藤田伸二氏、藤田菜七子の客寄せパンダ化を批判

先輩からの”愛のムチ”?(時事通信フォト)

 競馬界で「菜七子フィーバー」が止まらない。8月19日、藤田菜七子騎手(21)がJRA女性騎手史上初となる1日2勝を挙げ、通算34勝を達成。2016年のデビューから3年目で女性騎手のJRA最多勝利記録に並んだ。

 翌20日には北海道帯広市で、鉄ソリを引く「ばんえい競馬」に初挑戦。帯広競馬場には2000人の来場者が押し寄せた。すでにGIレースの騎乗条件である31勝をクリアしており、「この秋にもGIデビューか」と、期待は高まるばかりだ。

 アイドル的人気だけでなく、実績も着々と積み上げつつあるが、そんな彼女を「あいつがGIに乗れるわけねーだろ」とぶった切る「藤田」がいる。元JRA騎手の藤田伸二氏(46)だ。

 1991年にデビューし、2015年の引退までに歴代8位(当時)となる通算1918勝をマーク。武豊に次ぐ21年連続重賞勝利、ダービーを含む重賞通算93勝(歴代8位)など数々の記録を持つ伝説のジョッキーだ。

 2013年には現役でありながら競馬界を痛烈に批判する『騎手の一分』を著し、大反響を巻き起こした。

 2015年に引退後、札幌市内でバー経営に携わる藤田氏は、同姓の後輩女性ジョッキーについてどうしても黙っていられないようだ。

「140人くらいGIレースの騎乗資格を持つ騎手がいる中で、実際に乗れるのは18人。たった34勝しただけで乗れるほど甘い世界じゃない。菜七子と同期でもっと勝ってる騎手はいっぱいいるのに、なんで菜七子だけ乗れるわけ? オーナーが話題作りで乗せる可能性はあるけど、本当にそんなんでいいのか。経験不足で取りこぼしも多い。オーナーも馬を出す以上は勝ちたいから、少なくとも有力馬は回ってこないと思う。デビュー直後から芸能事務所に所属してたり、オレにはJRAの客寄せパンダにしか見えないんだよ」

 激しい口調で語る藤田氏。菜七子がたびたびテレビ出演し、“アイドル扱い”されていることも気になるという。

「『炎の体育会系TV』(TBS系・6月23日放送)って番組に菜七子が出てたんだけど、その時『天才ジョッキー』って紹介されてたんだよ。3年目でやっと30何勝挙げたばかりの騎手が、なんで天才なわけ? オレだったら打ち合わせの時に、『すごい諸先輩方がたくさんいるので、そういう言葉を使わないでほしい』って言うよ。あるいは天才って紹介されたら、『自分なんてまだまだです』ってコメントすべきでしょう。菜七子には、他の騎手にどう思われるかが見えていない。

 周りにチヤホヤされて、それに乗っかってるだけで、競馬への真摯な姿勢が見えてこない。このままだと流されて、単なる“時の人”で終わってしまう。もっと気を引き締めてほしい」

 藤田氏が菜七子の“姿勢”に苦言を呈するのは、騎手は落馬などで命さえ落としかねない危険と背中合わせの仕事だからだ。

「オレはフェアプレー賞を19回も貰ってるから言う権利はあると思うけど、フワフワした気持ちで競馬をしていたら、自分がレースで怪我をする可能性があるし、他の騎手を巻き込んで怪我させる危険性もある。芸能人になりたいのなら今のままでもいいけど、本気で騎手として勝負したい、GIを勝ちたいと思ってるなら、もっと自覚を持ってほしい」

 昨年8月には、同期ジョッキーと「未成年飲酒騒動」(本人は同席していたが飲酒はせず)を起こして騎乗を“自粛”するスキャンダルも。この一件についても藤田氏は「JRAは過保護すぎる」と断じた。

「菜七子のことに限らず、競馬界のあり方はおかしいよね。いまはエージェント(騎乗依頼仲介者)が幅を利かせて、いい馬を持ってる厩舎を囲っている。そんなエージェントとベッタリくっついている騎手に優先的に強い馬があてがわれるのでそいつらばかり勝ち星が増える。

 意外かもしれないけど、ユタカさん(武豊騎手)もそのあおりをくらってる。エージェントと距離があるからいい馬が回ってこず、今年は成績も上がってない。それでいてJRAはマスコミ受けする騎手ばかりをプッシュする。こんな状況じゃ騎手だって面白くないよ」

 伝説のジョッキーの憂慮の声は競馬界、そして菜七子に届くか。

※週刊ポスト2018年9月7日号

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