高校球児を狙う「プロ彼女」 エリートもかくして翻弄される

「プロ彼女」のターゲットに甲子園で活躍する高校球児も 一部学校はSNS禁止令

記事まとめ

  • 芸能人や有名スポーツ選手の“彼女になるプロ”という意味で使われた「プロ彼女」
  • 高校球児もターゲットにしており、対策のために選手たちにSNS禁止令を出す学校も
  • 金足農業高校のエース・吉田輝星投手はツイッター開設も、投稿はすべて削除された

高校球児を狙う「プロ彼女」 エリートもかくして翻弄される

高校球児を狙う「プロ彼女」 エリートもかくして翻弄される

甲子園での人気者はSNS使用にも細心の注意が必要

 容姿端麗で性格も良く非の打ち所がない、有名人の交際相手や妻に対して使われていた「プロ彼女」という呼び方。その言葉が乱発されるに従って、いまでは芸能人や有名スポーツ選手の“彼女になるプロ”という意味で使われることが多くなった。その広義での「プロ彼女」のターゲットには、甲子園球場で活躍する爽やかな高校球児も入っているという。プロ彼女対策に奮闘する高校野球関係者の苦労について、ライターの森鷹久氏がレポートする。

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 今年も大いに盛り上がった夏の甲子園大会。惜しくも準優勝だったが、秋田県勢としては実に103年ぶりに決勝に進出した県立金足農業高校の活躍が話題を呼び、同校の不動のエース・吉田輝星投手(三年)の人気もうなぎのぼりだ。大会終了後、ネット上で話題となったのが、この吉田投手が「ツイッター」にアカウントを開設した、ということだ。スポーツ紙記者が振り返る。

「学校によっては球児に“SNS禁止令”を出しているところもありますが、やはり若者。SNSで独自に心情を吐露している子もいて、記者は逐一チェックしています。吉田投手がツイッターを開始したとなれば大ニュース。最初は“成りすましか”とも言われていましたが、どうやら本当だったようです」(スポーツ紙記者)

 開設後数時間で、数万のフォロワーがついた吉田投手のツイッターアカウントだったが、その日のうちに投稿はすべて削除され、「やめます」という宣言のみ残された。金足農業の他の選手によるツイッターアカウントも存在していたが、すべて同日に投稿が削除されている。

 アカウントを開設してすぐに削除といった慌ただしい動きの裏には、どういった事情があったのか? 吉田投手が個人的に「世間にお礼を言いたかった」ため、との見方もあるが、さる高校野球関係者は、そこに高校球児を狙った「プロ彼女」ともいうべき人々の存在が関係しているのではないかと指摘する。

「高校球児はとにかくモテます。甲子園期間中、選手の宿舎の周りにはたくさんのおっかけ女性ファンが待っていて、選手の出入り時にプレゼントを渡したり手紙を渡したりする。最近ではSNSで懇意の選手を見つけ、メッセージを送ったりする女性もいるほど。マスコミの取材や慣れない声援を受けて選手が舞い上がらないよう気を付けている教員側からするといい迷惑なんですが……」(高校野球関係者)

 高校野球関係者から見た「プロ彼女」とは、たいてい選手たちより少し年上の女性たちだ。何年も続けて高校球児たちを追いかけているので、高校生男子の好奇心につけこんで選手と直接、コンタクトをとり、関係をもつほど親密になる術をよく心得ている。同世代の中では大人っぽくみえる甲子園球児だが、経験を積んだ彼女たちの手にかかれば、たいていは思い通りに操られてしまう。人生を左右するかもしれない大切な決断をくだす時期に、誰かに簡単にコントロールされる状況におかれるのは、望ましいことではない。だから、彼女たちが接触しづらいように関係者は常に配慮している。

 そういった配慮のひとつとして、高校球児に「変な虫」が付かぬよう、選手たちにはSNS禁止令を出している学校もある。吉田投手に関しても、関係者が吉田投手にSNSの自制を促したのでは? という見方である。もちろん、SNSを利用していたがために他の無用なトラブルに晒される危険性だってある。

 たとえば、同級生の交際相手と撮った写真を過去にアップしていれば、その名前、住所といった情報があっという間に特定される。もし、過去に掲載した写真にたばこや酒が写っていようものなら、それがたとえ本人のものではなくとも、学校などへ「通報」され、大きな騒動になってしまう。

 いまは甲子園が終わり国体、そしてドラフトに向けて、球児たちにとって大切な時期。変なトラブルに巻き込まれてはいけない、まして女性との交際など浮ついていては困るというのが指導者たちの本音だろう。

 かつて、そういった女性に乗せられるままに浮かれて、苦い思いを味わった元高校球児の話をきいた。春夏の甲子園出場経験者で、現在は某社会人チームに所属するX選手(三十代)も、かつて球児を狙った「プロ彼女」に翻弄された一人。

「夏の甲子園でベスト8まで進出しましたが、宿舎には連日ファンレターが届きました。中にはメールアドレスや電話番号と共に、プリクラや写真まで入っていることもあって、仲間と“かわいい”とか“会いたい”とか盛り上がりました(笑)。大会中はさすがに会えませんでしたが、秋の国体の時も、宿舎の周りに追っかけの女性がたくさん来て、ファンレターをくれた女性と会いました(笑)。女性経験なんてほとんどなかったので、国体終わった後にすぐその女性と関係を持ちました」(X選手)

 こうした出会いがきっかけで結婚したりする例もあるというが、X選手にファンレターを送った女性はかなり違っていた。

「別の甲子園出場チームの知人も、その女性と会うどころか付き合っている、と言っているのを耳にして驚きました。“え、お前のところにも?”みたいな。今は笑い話ですが、当時は相当へこみましたね……」(X選手)

 自分にだけ好意を寄せてくれていると思っていた女性が、他校の選手にも同じように近寄って関係を持っていたのだ。ところが、話はそのときだけで収まらない。プロ彼女のバイタリティーは、X選手の想像を超えていた。というのも翌年、後輩が甲子園出場を決め、応援に赴いたところ、また件の女性が、別の学校の宿舎の周りをうろついていたのである。

「ビックリしたというよりゾッとしました……。聞けばかなり前から“高校球児喰いの女”ということで有名な女性らしく……。社会人チームに入ってからも、その女性の名前を出すと“あー知ってる!”と盛り上がることもあるくらい(笑)」(X選手)

 やはり甲子園経験のあるYさん(二十代)も、プロ彼女にまつわるほろ苦い思い出がある。

「ツイッターでいきなり“ファンです”っていうダイレクトメール(DM)が来ました。まあ……そういう出会いを期待してDMを開放していたんですけどね(笑)。当時高校生ですから、積極的な年上女性からの誘いに舞い上がり、大会期間中も気になってしょうがない。チームは二回戦で負けて帰郷したのですが、それ以来彼女とは音信不通に。その後ベスト4に残ったチームの選手と付き合っていることが発覚し、死ぬほど落ち込みましたね」(Yさん)

 前出のスポーツ紙記者も続ける。

「吉田投手はネームバリュー、実力ともに超一級で、ドラフト会議でも上位指名は間違いないでしょう。このタイミングで女性問題に巻き込まれては、高校の監督さんも、プロ野球のスカウト陣もたまったもんじゃない。SNSをやらせない、というのは確かにかわいそうかもしれませんが、彼は日本野球界の宝ですから」(スポーツ紙記者)

 甲子園の大舞台に立ち、連日テレビや新聞に自分の一挙手一投足が報じられ、道行く人からも声をかけられる。いくら心身ともに鍛えられた高校球児とはいえ、いきなり国民のアイドルのように扱われれば、舞い上がってしまうのは仕方ない。そこにやってくる「プロ彼女」と呼ばれるような女性たち。ファン心理は理解できなくもないが、彼女たちの存在が球児の心を乱し、選手たちの将来に影響を及ぼさないとも限らないのだ。

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