松木安太郎氏解説を検証、本当に危ない「おい!」の見分け方

松木安太郎氏解説を検証、本当に危ない「おい!」の見分け方

ベトナム戦後半43分には「おい! おいおい! ハンドじゃないか!」(松木安太郎氏)

 サッカー日本代表は、2月1日23時(日本時間)キックオフでカタールとのアジア杯決勝戦に挑む。今大会の決勝トーナメントはいずれもテレビ朝日系列で中継されており、決勝戦の解説は松木安太郎氏と中山雅史氏が務める。

 松木氏といえば、試合中に何度となく「おい!」と叫ぶことでも知られている。視聴者は、松木氏の「おい!」をどう受け止めればいいのか。松木安太郎研究家でライターの岡野誠氏が、松木氏の「おい!」を徹底解析する。

 * * *
 試合中、松木安太郎氏が頻繁に発する言葉の1つに「おい!」がある。まずは、決勝トーナメント1回戦のサウジアラビア戦、準々決勝のベトナム戦、準決勝のイラン戦で何度叫んだかを挙げてみよう。

 なお、あくまで言葉の中に「お」と「い」が入っている場合に限る。よって、「おおー」「おおう!」などは除く。「おおい!」「おいっ」などは含む。ベトナム戦後半43分の「おいおい!」は、ひとかたまりで1カウントした。

【対戦相手/前半/後半/合計/試合結果/日本のボール支配率】
サウジ/15回/17回/32回/1対0/23.7%
ベトナム/8回/16回/24回/1対0/68.2%
イラン/7回/4回/11回/3対0/52.7%

 3試合で、実に67回もの「おい!」が飛び出した。

 その内訳は接触プレー5回、相手エリア内で原口が倒れたベトナム戦後半12分の「おーーい! おい!」の2回を除き、大方の予想通り、全てピンチもしくはピンチになりそうな場面であり、そのほとんどはペナルティエリア(以下、PA)内か付近で放たれている。

 さらに、試合中のスコア別に「おい!」を分類すると、以下のようになる。

【スコア/サウジ戦/ベトナム戦/イラン戦】
0対0/4回/8回/9回
1対0/28回/16回/1回
2対0/―/―/1回
3対0/―/―/0回

 決勝トーナメントで1点を先制した後、松木氏は必ず「0対0のつもりで」と日本代表に呼び掛けている。その言葉通り、1点取っても松木氏は気を緩めることなく「おい!」を発しているとわかる。

 一方で、2対0になると松木氏の気持ちに余裕が出るのかもしれない。イラン戦はサウジ戦やベトナム戦と比べてピンチが少なかったことも挙げられるが、2対0となって以降、「おい!」と叫んだのはわずか1回。サッカーは「2対0が危険なスコア」とよく言われるが、2対0になると松木氏に若干の余裕が見られた。

 この現象を読み解く鍵は、サウジ戦前半12分のやり取りにあった。

実況:松木さん、先制点の持つ意味はこの決勝トーナメントは違いますもんね。
松木:決勝トーナメントと今までのグループリーグでは全く違いますね。決勝トーナメントの1点というのは、相当疲労に繋がるんでね、1点返すには。

 トーナメント戦では1点の重みが違うため、2対0になると松木氏も一安心してしまったのかもしれない。

 時間帯別で分析すると、以下のようなデータが出る。

●前半
【対戦相手/~15分/~30分/~45分+α】
サウジ/4回/0回/11回
ベトナム/1回/1回/6回
イラン/1回/4回/2回

●後半
【対戦相手/~15分/~30分/~45分+α】
サウジ/2回/6回/9回
ベトナム/2回/5回/9回
イラン/2回/1回/1回

「試合開始から30分まで」「後半開始から15分まで」「2点差以上リード」のいずれかの条件下では松木氏もやや穏やかなだが、それ以外では少なくとも3分に1回は「おい!」と叫んでいる計算になる。

 松木氏が「おい!」と叫ぶ時はたしかにピンチなのだが、1試合に20~30回も叫ばれ、その度に気を張っていては視聴者も疲れる。視聴者が本当に身を乗り出して、テレビを注視すべき「おい!」の見分け方はあるのだろうか。

 実は、松木氏は特に危険な場面では「おい!」を繰り返す傾向がある。決勝トーナメント3試合で、3連発以上出たシーンを振り返ろう(いずれも自陣ゴール前。「」内は松木氏の叫び)。 

【おい!4連発】ベトナム戦前半37分 0対0の場面
 DF吉田麻也がGK 権田修一にバックパス。権田がゴール前の吉田に戻す。「おい。危ないよ!」
 吉田のトラップが大きくなる。「おい!」
 混戦からこぼれたボールをベトナムがシュート。権田が弾く。「おい!!」
 そのボールをベトナムが拾い、センタリング。20番がヘディングシュート。「おい!」

【おい!3連発】ベトナム戦後半43分 1対0の場面
 縦へのロングボールがベトナム10番に通る。「おい! おいおい! ハンドじゃないか!」
 笛は鳴らず、10番がシュート。「おい!」
(※間を置かずに「おいおい!」と叫んだので、ひとかたまりとして1カウント)

【おい!3連発】サウジ戦前半34分 1対0の場面
 右サイドのPA付近から19番がドリブルで侵入。「おい!」 
 こぼれたボールをPA付近で27番がシュート体勢に。「おい!」
 シュートは打てなかったが、またボールがこぼれ、11番がシュート「おおーーい!」

【おい!3連発】サウジ戦後半35分 1対0の場面
 相手の縦へのロングボールを酒井宏樹がヘッドでカットも、ボールはPA内を転々。
「おい!おい!おい!」相手に渡ってしまう。

「同点」もしくは「1点差」で、「前半残り15分」もしくは「後半残り15分」という2つの条件が重なった時、3連発以上の「おい!」が生まれている。

 逆にいえば、そのような条件下、一度の「おい!」のみで「危ない!」などの語句も続かなければ、松木氏の「おい!」にはそこまで気を取られなくてもいいかもしれない。

 幸か不幸か、決勝のカタール戦は日本時間23時のキックオフ。深夜24時台に眠たくなる視聴者もいる中で、終盤もつれた展開になれば、松木氏が「おい!」で目を覚ましてくれるに違いない。

●文/岡野誠:ライター・芸能研究家。研究分野は田原俊彦、松木安太郎、生島ヒロシ、プロ野球選手名鑑など。本人へのインタビューや関係者への取材、膨大な資料の緻密な読解を通して、田原俊彦という生き方を描いた著書『田原俊彦論 芸能界アイドル戦記1979-2018』(青弓社)が話題。

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