元関脇・逆鉾の死去で「横綱・鶴竜」の争奪戦が始まる

元関脇・逆鉾の死去で「横綱・鶴竜」の争奪戦が始まる

鶴竜の移籍先は(時事通信フォト)

 秋場所中の9月17日、元関脇・逆鉾の井筒親方(享年58)が死去した。現役時代は優勝こそなかったものの、三賞は殊勲賞5回、技能賞4回を受賞した人気力士だった。板井圭介氏(元小結・板井、2018年8月に死去)の盟友として知られ、支度部屋ではいつも隣に座り、所属部屋の一門が違うにもかかわらず、板井氏が井筒部屋の朝稽古に出向く姿も頻繁に見受けられた。生前の板井氏は、本誌・週刊ポストの取材に、井筒親方の人柄についてこう話していた。

「とにかく几帳面で、自分の部屋には子供の頃から集めていた相撲雑誌と相撲ビデオがきれいに並べてあった。雑誌は発売日の順番に並んでいないと気が済まないし、壁の絵が少しでも曲がっていると寝られないと、付け人を呼び出して直させさせていた。初代若乃花のファンで、『若ノ花物語』のビデオを何百回も繰り返して見ていたね」

 父は先代の井筒親方(元関脇・鶴ヶ嶺)で息子の三兄弟(長男=元十両・鶴嶺山、次男=元関脇・逆鉾、三男=元関脇・寺尾)が全員関取になった角界のサラブレッド。弟の元関脇・寺尾は、現在は錣山親方として阿炎(小結)ら人気力士を育てている。

 井筒親方も、弟子として横綱・鶴竜を育て上げたが、部屋の所属力士は鶴竜を含めて3人。師匠が不在となったため、力士たちは別の部屋に移籍するか、新しい親方が部屋を継承する必要がある。

 相撲協会は9月17日の正午に緊急理事会を開き、井筒部屋の力士たちを同じ時津風一門の「鏡山部屋預かり」とすることを決めた。秋場所中は井筒部屋の名称が残り、館内アナウンスなどでも井筒部屋所属の力士として紹介される。正式な移籍先などは場所後に協議することになった。

「移籍先として有力視されるのが、実弟が親方を務める錣山部屋です。しかし、錣山部屋は井筒部屋が所属する時津風一門を2017年に割って出て、無所属で貴乃花一門を支援する立ち位置を取った。その後、貴乃花親方の廃業に伴って、二所ノ関一門に合流しています。

 部屋間の移籍は一門内で行なわれるのが慣例。特に横綱・鶴竜が所属しているということで、一門外に出すことは考えづらい。関取が所属していれば協会から養成奨励金が支払われるうえ、横綱がいることでタニマチからの祝儀も見込める。大事な『米びつ(角界の隠語で“お金”の意)』ですから、時津風一門が手放さないでしょう」(協会関係者)

 時津風一門内での移籍の場合も、行き先はそう簡単には決まらなそうだ。

「先代の井筒部屋時代に逆鉾の兄弟子だった現・陸奥親方(元大関・霧島)の部屋に移籍するのが本来なら順当なところだが、逆鉾とは現役時代から手が合わなかったから可能性は低そう。陸奥部屋の部屋付き親方で、同じく逆鉾の兄弟子だった立田山親方(元前頭・薩洲洋)が一時的に井筒部屋を継承するやり方もあるが、横綱が常に出稽古をしていた時津風部屋か関取の多い追手風部屋が有力です」(同前)

 一門に横綱がいるかで協会内での親方衆の発言力も変わるという角界。関取たちにとっても同部屋になれば横綱との対戦がなくなる。横綱・鶴竜の移籍先がどこになるか、目が離せない。

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