巨人・鈴木尚広コーチ退団 各スポーツ紙はどう報じたか

巨人・鈴木尚広コーチ退団 各スポーツ紙はどう報じたか

一身上の都合により退団した鈴木尚広コーチ(時事通信フォト)

 日本シリーズを3日後に控えた10月16日、巨人の鈴木尚広外野守備走塁コーチが「一身上の都合」を理由に退団を申し入れ、球団が了承した。詳細は明らかにされていないが、その背景には17日発売の『週刊新潮』で取り上げられたダブル不倫疑惑があると見られている。

 このニュースは夕刊紙やネット媒体では大々的に取り上げられたが、日頃から巨人と付き合いの深いスポーツ紙はどこまで踏み込んで書いたのだろうか。

 まずは、翌17日付の各紙の見出しを並べてみよう。

日刊スポーツ 【鈴木尚コーチ「一身上の都合」巨人退団】
スポーツニッポン 【鈴木コーチ退団 Gショック 19日開幕日本シリーズ直前に…】
スポーツ報知 【尚広コーチ退団】
サンケイスポーツ 【巨人鈴木外野守備走塁コーチ退団「一身上の都合」】
デイリースポーツ 【鈴木コーチ退団 巨人激震 6年ぶり「日本シリーズ」直前に…】
東京中日スポーツ 【鈴木コーチ電撃退団 不倫疑惑 巨人に激震】

 記事の大小はあれ、全6紙が扱っている。この中で、オーソドックスな取り上げ方をしているのはスポニチとサンスポだ。

 退団理由が女性問題にあると匂わせた上で、鈴木コーチに代わって一塁ベースコーチは後藤孝志打撃兼外野守備コーチが務めると書き、読者が知りたい2つの情報を盛り込んだ。

 一方、日刊と報知は、退団理由について「一身上の都合」としか触れなかった。たしかに球団からの発表はその通りだ。女性問題を鈴木側が否定していることを考えれば、2紙のスタンスも理解できる。

 ただ、ネットを使わず、日刊や報知しか読まないプロ野球ファンも少なからずいるはずだ。その人たちからすれば、日本シリーズ直前の鈴木コーチの「一身上の都合」による退団は、あまりに不可思議で映るかもしれない。

 読売系列の報知からすれば、大きく報じたくない案件ではないだろうか。しかし、自社にとって不都合なニュースはある意味、新聞が試される時でもある。報知が今回の件にきちんと言及する姿勢を見せれば、読者からの信頼は高まるはずだ。

 今回のニュースに色めき立った様子が窺えるのが、阪神寄りのデイリー、中日寄りのトーチュウである。

 トーチュウは見出しに唯一“不倫疑惑”の文字を踊らせ、退団の前に“電撃”を付けている。前述の4紙と異なり、文章の最後に〈7年ぶりの日本一奪回を目指すチームへの影響は避けられそうにない〉との見解を綴った。

 デイリーは6紙の中で最も大きく紙面を割き、詳細に報じた。デカデカと【鈴木コーチ退団 巨人激震 6年ぶり「日本シリーズ」直前に…】と見出しを打ったかと思えば、【「鈴木コーチ不倫疑惑」デイリー新潮報じる】という囲み記事まで掲載。さらには、鈴木尚広の来歴を綴る【WHO’S WHO】というコーナーまで設ける力の入れ具合だ。

 文中では〈鈴木コーチの退団を知らされた各選手は、緊張ムードを漂わせながら調整した〉という他紙にはない独自の情報を盛り込み、文末では〈大塚球団副代表は「鈴木コーチが(若手を)育ててくれた部分がある」と話した〉と副代表のコメントまで記載。阪神記事並みの充実度を見せたのである。

“巨人・鈴木尚広コーチ退団”という同じ情報でも、スポーツ紙によって報じ方はこうも違う。そして意外や意外、デイリースポーツが巨人記事で群を抜くこともある。

●文/岡野誠:ライター・芸能研究家。著書『田原俊彦論 芸能界アイドル戦記1979-2018』(青弓社)が話題。同書では、1994年2月17日の田原俊彦の長女誕生記者会見前後のマスコミ報道を事細かに調べ、当初『ビッグ発言』が問題視されていなかったことや過剰なバッシングに至る詳細過程を綴っている。

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