織田信成の騒動で注目 フィギュアに女性指導者が多い背景は

織田信成の騒動で注目 フィギュアに女性指導者が多い背景は

渦中の織田信成(時事通信フォト)

 フィギュアスケート男子の元五輪日本代表選手が、女性コーチから“モラハラ”を受けた──そんな構図の騒動は、改めて考えてみるとやや奇異に思えるかもしれない。男子フィギュアスケートでバンクーバー五輪に出場した織田信成(32)を巡る騒動だ。

 織田は2013年に現役引退後、2017年4月から強豪として知られる関西大学アイススケート部の監督に就任したが、今年9月に突然、退任が発表された。その後、織田は自身のブログで退任の原因が〈嫌がらせやモラハラ行為〉にあったと記していたが、改めて『週刊新潮』の直撃取材に答え、〈僕は「関大の女帝」に排除された〉(10月31日号)との見出しで報じられた。記事で織田は、関大アイススケート部の濱田美栄コーチ(59)から〈度重なるハラスメント行為〉を受けていたと主張している。

 濱田コーチに限らず、フィギュアスケート界の有力指導者には女性が多い。長野・ソルトレークシティ・トリノの五輪3大会で監督を務め、現在は羽生結弦(24)が所属するANAの監督を務める城田憲子氏(73)や、伊藤みどり(50)、浅田真央(29)、宇野昌磨(21)らを育ててきた山田満知子氏(76)が知られる。関大アイススケート部でも、濱田コーチのほかに、引退まで織田のコーチを務めた織田の母・憲子氏(72)や、高橋大輔(33)の恩師として知られる長光歌子コーチ(68)が指導にあたっている。

 五輪スポーツを見渡すと、「女性指導者が男子トップ選手を指導する例」は珍しく、逆に女子の代表選手を男性監督・コーチが指導にあたるケースは数多い。女子バレーボール代表の歴代監督は16人中14人が男性で、女性は2017年に就任した元日本代表の中田久美氏(54)と1982年に就任した生沼スミエ氏(73)のみ。女子サッカーでは2016年に高倉麻子氏(51)が初めて女性として監督に就任している。

 だが、関係者からすれば「フィギュア界では当たり前の構図」なのだという。

「羽生選手のような金メダリストが出てきて最近でこそ男子も注目されていますが、もともとフィギュアスケートは、競技人口として女性が圧倒的に多かった。その中で実績を挙げた選手が、セカンドライフとしてコーチに就任してきた。フィギュア関係者はこう語る。

 自身も7歳からフィギュアを始め、インターハイ優勝、全日本選手権2位などの実績を残した山田(満知子)さんが、伊藤みどりの生活面も含めてすべての面倒を見て、1992年アルベールビル五輪で日本人として初となるメダル獲得に導いたのが代表例でしょう。2006年トリノ五輪で金メダルを獲得した荒川静香(37)も、いまや日本スケート連盟の副会長として後進の育成に尽力している」

 スポーツジャーナリストの折山淑美氏は競技の特性も影響している可能性があると分析する。

「フィギュアは、タイムを競う陸上競技や競泳、得点を競う球技などと異なり、技術だけでなく表現力も求められる。女性コーチのほうが精神面もケアも行き届いていて、好成績を残せる例が多かったのではないか」

 選手としても、指導者としても、女性が圧倒的に実績を上げてきたことで、フィギュア界に他のスポーツとは異なる構図が生まれたようだ。

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