高安の大関獲り 協会内でハードル下げる声もあった

関脇・高安の大関獲りが注目されるなか、協会では大関昇進のハードル下げる声も

記事まとめ

  • 5月場所では、関脇・高安の大関獲りが優勝争いとともに焦点となっていた
  • 協会では大関昇進に10勝が必要とされてきたが、9勝でも昇進させてはとの声も上がった
  • 高安は11勝4敗で場所を終え、大関昇進は確実となっている

高安の大関獲り 協会内でハードル下げる声もあった

高安の大関獲り 協会内でハードル下げる声もあった

土俵を沸かせた高安(右。写真:時事通信フォト)

 稀勢の里が横綱に昇進し、東西に正横綱・張出横綱がそれぞれいる四横綱体制となったことで、担当記者やファンが心待ちにしていることがある。四横綱によるガチンコ対決だ。ところが、稀勢の里が横綱となって以降、四横綱が完全に揃った本場所は実現していない。

●記者たちを落胆させた「鶴竜の休場」

 場所前、関係者の間で注目されていたのが「14日目の東の支度部屋」だった。番付では東の正横綱に稀勢の里、西の正横綱が鶴竜。そのため、西の張出横綱・白鵬は、鶴竜と対戦する日は東の支度部屋に移らなければならない。

「順当ならこの組み合わせになるのが14日目のはずだった。この日は東の支度部屋で白鵬が稀勢の里の下座に控えることになる。プライドの高い白鵬がどう振る舞うかが注目されていた」(ベテラン記者)

 ところが、鶴竜は4日目までに3敗を喫して早々に休場。鶴竜との対戦がなくなれば、白鵬が東の支度部屋に行くことはなくなる。「支度部屋を取材できる記者たちにとっては、鶴竜休場で支度部屋の“最大の見どころ”がなくなってしまった」(同前)のである。

●「大関獲り」のハードルが下がっていた?

 土俵上では、優勝争いとともに焦点となったのが、関脇・高安の大関獲り。協会内では大関昇進の目安は「直近3場所合計で33勝以上」だ。高安は前2場所で23勝。今場所10勝が必要とされてきた。

「ところが、6日目に土がつくと、協会内では『9勝でも昇進させていいのでは』という声が上がり始めた。やはりモンゴル3横綱1大関に囲まれ、稀勢の里が孤軍奮闘を続けられるのかという懸念があるのでしょう。終盤の大関・横綱同士の取組にガチンコの田子ノ浦部屋勢が登場すれば、春場所のような大逆転も起きやすくなる」(協会関係者)

 心配をよそに高安は12日目に10勝に到達。11勝4敗で場所を終え、大関昇進は確実となった。来場所、ガチンコ日本人横綱・大関の揃い踏みが実現すれば、土俵のさらなる盛り上がりが期待される。

●ガチンコ十勇士に負け越し続出のワケ

 ガチンコ勢には大声援が送られた。場所前、本誌は注目力士として、高安に加え、玉鷲(関脇)、御嶽海(小結)、嘉風(小結)、千代の国(前頭1)、正代(前頭5)ら幕内上位にズラリ並んだ「ガチンコ十勇士」を挙げた。

 ただ、高安とは対照的に千代の国、隠岐の海(前頭2)、大栄翔(前頭3)らは早々に負け越しとなってしまった。古参力士がいう。

「稀勢の里、鶴竜を相次いで破った嘉風も12日目で6勝6敗、照ノ富士、稀勢の里、豪栄道と1横綱2大関を倒した遠藤(前頭1)も5勝7敗と苦しんだ。上位ガチンコ勢は前半戦に横綱や大関と対戦する一方、お互いガチンコでぶつかり合って星を潰し合う。金星をあげても、平幕同士の一番で力負けしたりする。ガチンコ力士が上位を占めたことで、こうした展開が増える」

 4横綱時代で金星のチャンスが広がっただけに、熱戦が続いた。負け越しても際どい相撲を続けた平幕たちに国技館のファンは熱い声援を送り続けた。

※週刊ポスト2017年6月9日号

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