江川卓に投げ勝った元甲子園投手 早実清宮の試合の多さ懸念

江川卓に投げ勝った元甲子園投手 早実清宮の試合の多さ懸念

「最後の夏」を迎える清宮幸太郎(写真:時事通信フォト)

 実力だけでなくフィーバーぶりも超高校級の早稲田実業・清宮幸太郎(18)。その早実は7月8日に開幕する夏の甲子園・西東京予選まで残り1か月となっても試合が続く。

 6月3日は愛知県の刈谷球場で中京大中京と桜丘、翌4日は小牧市民球場で至学館、享栄と対戦する。いずれも昨秋の愛知県大会でベスト4以上に残った強豪チームだ。

「中京大中京には今秋のドラフト候補であるエース・香村篤史がいる。清宮は昨年の練習試合で抑え込まれましたから、成長を測る上でも重要な一戦になるでしょう。至学館には変則左腕・川口龍一がいる。左のプルヒッターである清宮が最も苦手にするタイプです」(清宮の取材を続けるスポーツ紙記者)

 6月10、11日は早実の王貞治記念グラウンドに強豪3校を招く。10日は長野県の強豪・佐久長聖と対戦。翌11日には九州学院(熊本)と桐光学園(神奈川)とのダブルヘッダーが予定されている。

「佐久長聖のエース・塩澤太規は昨夏の甲子園開幕戦で2年生ながらマウンドに上がり、6回3分の2を無失点に抑えた度胸満点の好投手。清宮との対決が楽しみです」(同前)

 こうして好投手との実戦を重ねる理由は、これまで清宮の前に立ちはだかってきた同地区(西東京)のライバル日大三高のエース・櫻井周斗を想定してのものだと見られる。

「昨年の秋季東京都大会決勝では、試合には勝ったものの清宮は櫻井に5打席連続三振という屈辱を味わいました。投手力に劣る早実が日大三に勝つには、清宮が櫻井を打ち崩すしかない。これだけ実戦を重ねているのは、レベルの低い投手からの大ホームランのためではなく、櫻井レベルの好投手に対応するためなのです」(早実関係者)

 だが、一方で早実の練習試合の多さを懸念する声もある。2年生だった1973年、夏の甲子園で作新学院の怪物・江川卓との投げ合いを制した銚子商の元エース・土屋正勝氏が当時を振り返る。

「江川さんに勝ったことで全国的に有名になり、2年秋から3年夏にかけて日本中から練習試合の招待が相次ぎました。呼んでくださった対戦校に失礼に当たるから、エースだった私はどんなに肘や肩が痛くても投げ続けましたよ。結果、酷使がたたり、3年夏の甲子園では電気治療器で痛みを和らげながら投げていました。

 清宮君は野手なので肘や肩を壊すことはないでしょうが、試合ばかりでは、走り込みなど基礎的な練習が不足しがちになるリスクがある。夏の甲子園予選まで1か月足らずとなった現在は一度追い込んだ方が良い時期。そこから予選に向けて調子を上げていった方がピークを迎えやすい。これだけ試合が多いと調整が難しいと思います」

 それでも清宮を目にする機会も多い方がいいというのもファンの本音。“高校生活最後の夏”は、本人だけでなく、ファンにとっても忘れられない夏となりそうだ。

※週刊ポスト2017年6月9日号

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