佐々木朗希育成計画は万全、ファンの疑問に井口監督が答えた

佐々木朗希育成計画は万全、ファンの疑問に井口監督が答えた

一挙手一投足に注目が集まる

 コロナ禍により延期されていたプロ野球が、いよいよ開幕した。待ちに待った野球シーズンの到来。優勝の行方とともにファンが最も関心を寄せるのが、千葉ロッテマリーンズのスーパールーキー・佐々木朗希の動向だろう。

 投手としての器だけなら大谷翔平以上と言われる逸材は、プロの舞台でどんな投球を見せてくれるのか。

 マリーンズ・井口資仁監督は、佐々木の長所を「スケールの大きさ」と評価する。

「昨年のドラフトで(佐々木)朗希を指名したのは、豪快な野球と言われるパ・リーグのチーム。緻密なセ・リーグ球団の指名は(もう一人のドラフトの目玉)奥川恭伸投手(東京ヤクルト)に集まった。そのことが物語っていると思います」

 才能の片鱗は、2月の石垣島キャンプ初日から垣間見られた。圧巻は練習仕上げのキャッチボール。投球フォームの力感は4、5割程度だったが、球速は優に140キロオーバー。多くの評論家が「投げることに関して直す点がない」と口を揃える実力は本物だった。

 注目は佐々木がいつ一軍デビューを果たすのか。登板までに、どのようなステップを踏む必要があるのか、球団は一切、明らかにしていない。ただ、井口監督は、「(佐々木の育成を一任している)吉井理人投手コーチからゴーサインが出たら起用する」と公言しているだけに、そう遅くない時期に一軍マウンドに立つ姿を見られることだろう。

 実は昨秋、佐々木のマリーンズ入りが決定した際、一部のファンから「ロッテに育てられるのか?」と危惧する声が上がった。一つ言えるのは、佐々木は良い時期にマリーンズに入団したということだ。

 2017年オフに就任した井口監督は、「常に優勝争いができるような黄金期を迎えるため」に、抜本的なチーム改革に乗り出した。若手選手育成法の見直しは、その柱の一つだ。

 特に力を入れたのが、フィジカル面の充実……つまりプロアスリートとしての体作りだ。管理栄養士がチームに帯同。本拠地のZOZOマリンスタジアムと埼玉・浦和の選手寮の食堂で若手選手の食事をコントロールする。本拠地と寮が離れているため、以前は寮住まいの一軍選手は試合後、ホテルに滞在だったが、昨年からは千葉でのナイター後もタクシーで浦和の寮まで帰るという決まりができた。また寮の選手が夜間外出の際には事前に報告するルールも設けられている。
 
「プロだから選手個々で体調をコントロールできればいい。ただ、そのためにはお金も時間もかかって若手選手には難しい。だったらチームでまとめて面倒を見る方が効率が良いだろう、と。夜間外出の報告ルールも、できるだけ寮で食事を摂ってほしいから。報告があれば許可をするし、門限もありません」(井口監督)

 また今季からチームとして順天堂大学と提携。シーズンを通して医療面のサポートを受けていく。順天堂大学では、学部の垣根を越えたマリーンズ特別サポートチームが結成された。

 附属病院の整形外科は、予防を含めたケガに関する問題を担当。不慮の負傷に備え、医師が24時間体制で病院に待機する。

 現在、選手には毎朝起床後、体温、体重、心拍数の計測、並びに睡眠時間の報告が義務付けられている。また月に一度のペースで血液検査も実施。内科は、それらのデータを基に管理栄養士と連携しながらコンディショニング調整をサポートする。

 またスポーツ健康科学部では、最先端機器で選手の筋力や骨密度を測定。動作解析も行ない、技術向上に役立ててもらう予定だ。

「野球チームとの提携は初めてですが、Jリーグのチームやラグビー日本代表をサポートしてきた経験があるので、それを活かしたいですね。データベースを積み重ねて、より野球に特化したサポート体制を作り上げていきたいです」(順天堂大学医学部附属浦安病院整形外科の糸魚川善昭医師)

 若手選手のフィジカル強化への取り組み方は、12球団トップと言っても過言ではない。現在のマリーンズには佐々木が成長するための環境が整っている。

「世界に羽ばたくような大投手になれるのか……それは朗希本人の努力次第。ただチームとして、そのためのバックアップはできるだけしていきたいと思う。どこまで大きくなるのか、僕自身も楽しみにしているんですよ」(井口監督)

 高校時代、全国大会に出場していない佐々木の実戦登板シーンを目にした者は少ない。その事実が野球ファンの妄想を掻き立てる。

 佐々木は、プロの打者を相手にどんな投球を披露するのか。スーパールーキーは間もなくベールを脱ぐ。

●取材・文/田中周治 撮影/本誌・藤岡雅樹

※週刊ポスト2020年7月3日号

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