馬券ネット購入「投票照会サービス」の履歴で浮かぶ騎手との縁

馬券ネット購入「投票照会サービス」の履歴で浮かぶ騎手との縁

買った馬券を検証すべし

 誰もが夢見るものの、なかなか現実にならない夢の馬券生活。調教助手を主人公にした作品もある気鋭の作家、「JRA重賞年鑑」にも毎年執筆する須藤靖貴氏が、「投票照会サービス」でわかった新事実についてお届けする。

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 ネットで競馬を楽しむようになり、自然の流れで「Club JRA-NET」に加入してみた。無料だし手続きも容易である。

 JRAに関するその週のトピックスなどを報せてくれるわけだが、最大の利点は「投票照会サービス」。ネットで購入した自分の馬券履歴を俯瞰することができるのだった。

 競馬場で馬券を買っていたときには、メモでもしない限り投票の履歴など忘却の彼方である。敗けた悔しさと騎手への呪詛、勝った歓喜に騎手への感謝。それのみが印象に刻まれる。記憶はいい加減なものだが、ネット上では正確に残っている。後ろを振り返っても詮ないものの、これが面白いのである。

 まず「投票内容照会」。過去60日の投票内容を確認できる。どのレースの何番、どんな馬券でいくら賭けたのかが分かる。さらに「投票成績照会」では、「開催別成績一覧」「競馬場別成績一覧」「騎手別成績一覧」「払戻金別成績一覧」に分類。

 中でも目を引くのが「騎手別成績一覧」だ。購入額と払戻額、そして回収率と的中率が一目瞭然。回収率と的中率は棒グラフで示され、回収率100%を越えると赤色グラフとなる(それ以下は緑色)。なんだか模試の結果を突き付けられたような受験生の気分になってくる。

 つくづく記憶は曖昧だ。自分では贔屓だと信じていた北村宏司騎手の欄には赤も緑もない。ゼロである。20レース以上、5万円強(金額も明示される)も買っているのにただの一度も馬券に絡んでいない。そういう事実がはっきりと分かる。おそらく掲示板に載るなどの見せ場はあったはずだが、しかしゼロとはあんまりである。走るのは馬だけど、「縁がないのか」とため息のひとつも出てくる。もちろん、私が買っていないときに北村騎手はちゃんと勝っていたりする。

 反面、贔屓ではないはずの騎手の回収率が400%なんて出てくる。藤田菜七子騎手の馬券は一度も買っていないと思い込んでいたが、馬連で手広く絡めているときに的中していたのだった。

 一発万馬券を取れば棒グラフは急伸する。先の北村騎手とも一気に復縁できる。ちなみに「払戻金別成績一覧」では開催地ごとに払戻金内訳の分布が示され、万馬券的中証明書なんて粋なものもある。ぜひとも欲しい。

「投票成績照会」は本年度と前年度の成績を振り返ることができる。加入したばかりなので本年度分しかないわけだが、今年の暮れには2020年の収支が出ちゃう。27日の有馬記念の後で、しみじみ回顧することになるのだろうか。

 それとも、競馬場の門が開くときがきて、集計などどうでもよくなっているのか。

●すどう・やすたか/1999年、小説新潮長編新人賞を受賞して作家デビュー。調教助手を主人公にした『リボンステークス』の他、アメリカンフットボール、相撲、マラソンなど主にスポーツ小説を中心に発表してきた。「JRA重賞年鑑」にも毎年執筆。

※週刊ポスト2020年7月3日号

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