三冠馬3頭の歴史的ジャパンC キセキの一角崩しを期待する

三冠馬3頭の歴史的ジャパンC キセキの一角崩しを期待する

2018年のJCのゴール前、アーモンドアイとキセキ

 いよいよ三冠馬が3頭揃うドリームレースのゲートが開く。競馬ライターの東田和美氏が分析した。

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 菊花賞であわやコントレイルを差し切るかと思われたアリストテレスは、新馬戦でヴィ―スバーデンという牝馬からコンマ3秒の2着に敗れている。ヴィ―スバーデンはロードホースクラブ期待のディープインパクト産駒で、今年2月にエルフィンSに出走したが、デアリングタクトから1.7秒離された9着だった。

 オークスでデアリングタクトからコンマ1秒差だったウインマリリンは、先のエリザベス女王杯でラッキーライラックからコンマ4秒離された4着。ラッキーライラックは、三冠すべてでアーモンドアイの後塵を拝している。

 皐月賞とダービーで2着だったサリオスは、毎日王冠で古馬を一蹴したものの、マイルCSでは5着。安田記念でアーモンドアイを破っているグランアレグリア、インディチャンプに及ばなかったばかりか、天皇賞(秋)で9着だったスカーレットカラーにも先着を許した。桜花賞で1番人気2着だったレシステンシアは果敢にハナを切ったものの8着に沈んでいる。

 もちろん距離適性や当時の体調、何よりその後の成長力などがあるので、他馬を「ものさし」にした予想など意味がないのは承知している。古馬混合戦の成績などによる世代比較も、この3頭を前にしては参考にならない。

? 土曜朝の時点で三冠馬3頭の3連複は3倍台前半。3連単はデアリングタクト1着の場合が20倍に届くかどうかといったところ。アーモンドアイの単勝が2倍以上つく・・・・というのはなかなか新鮮だが、この3頭を比較するより、「一角崩し」を検討したほうがレースを見る興味が増す。

 ただ草創期はともかく、日本馬中心になってからのジャパンカップ(以下JC)は比較的堅く収まっている。2000年以降の20年間で、1〜3番人気馬で決まったのが2回(勝ったのはいずれも3番人気馬)、1〜3番人気馬のうちの2頭で決まったのが9回で、1〜3番人気馬が1頭も馬券にからまなかったことは1度もない。馬連の万馬券はスクリーンヒーローが勝った2008年とショウナンパンドラが勝った2015年だけ。

 この間3着以内に入った日本馬は55頭だが、うち31頭は前走が天皇賞(秋)。その他菊花賞、秋華賞など46頭がGTからの参戦。また4番人気以下で馬券にからんだ日本馬は25頭しかおらず、19頭はやはり前走GTを走っており、そのうち11頭は天皇賞(秋)を使っている。前走がGTではなかった6頭の内訳は京都大賞典が4頭、アルゼンチン共和国杯が2頭。アルゼンチン共和国杯組の2頭はいずれも1着になってJCに駒を進めてきた。

 今回3強以外で前走GTを使っている馬は4頭。このうちワールドプレミアは昨年の有馬記念以来、マカヒキも3月の大阪杯以来。人気のあるなしにかかわらず、秋初戦がジャパンカップだった馬が3着以内に入ったことはない。

 ということで、前走天皇賞(秋)で5着に踏ん張ったキセキに一角崩しを期待する。これまで2度の海外遠征も含めて25戦、うちGTが13戦。勝ったのは3歳時の菊花賞だけだが2着が4回。2年前のJCではアーモンドアイに差されたものの、自身2分20秒台で駆け抜けている。前走のような瞬発力勝負は分が悪いかもしれないが、タフさでは引けを取らない。昨年の有馬記念ではアーモンドアイにも先着している。

 3強に次ぐ支持を集めそうなグローリーヴェイズ。前走京都大賞典ではキセキの追撃を振り切った。2016年のキタサンブラック、2017年のシュヴァルグランが同じローテーションで戴冠。この馬だって父と曾祖母が三冠馬だ。

 もう1頭、前走GTという条件を満たすのが外国馬ウェイトゥパリス。記録によれば4走前のガネー賞では今年の凱旋門賞馬ソットサスの頭差2着。その次のGTサンクルー大賞を勝っており、これがジャパンカップの褒賞金指定競走だとか。もし勝てば優勝賞金の他に、300万ドルが交付されるそうだ。2018年の凱旋門賞(19頭中11着)以外多頭数のレース経験がないが、鞍上のM・デムーロといえば2008年9番人気のスクリーンヒーローを思い出す。このレースはその年NHKマイルカップとダービーの変則2冠を達成したディープスカイ、天皇賞(秋)で宿敵ダイワスカーレットを破ったウオッカ、前年の有馬記念馬マツリダゴッホ、前走菊花賞を勝ったオウケンブルースリ、GT4勝で凱旋門賞帰りのメイショウサムソンなど、なかなかのメンバーが揃っていた。

 JCは1着賞金が3億円と国内レース最高。3着でもGU勝ちより高い7500万円だ。「一角崩し」にはそれだけの価値がある。とはいえ、あくまでも「一角崩し」。アーモンドアイはGT8勝という金字塔を打ち立てた後の引退レースで前走から中3週。コントレイルは陣営も認めるように2400mが適距離とはいえない。デアリングタクトは今年の3歳世代のレベルがどうなのか・・・・そんな疑念はぐっと抑え、このレースが行なわれる時代に競馬ファンであったことを喜びながらレースを見たいと思う。

●ひがしだ・かずみ/伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター。

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