インディープロレス界“希望の18歳”井土徹也「僕が勝つことで中高年に刺激を与えたい」

インディープロレス界“希望の18歳”井土徹也「僕が勝つことで中高年に刺激を与えたい」

井土徹也

GOING-UPプロレス
『middle edge シリーズ vol.2』
東京・王子BASEMENT MON☆STAR

 『中高年に元気を与えたい』がコンセプトのGOING-UPの旗揚げ3戦目が、台風が過ぎ去り暑さが蒸し返す北区王子のBASEMENT MON☆STARで行われた。

 第1試合では元・FMWの黒田哲広と、闘龍門出身のアミーゴ鈴木が中高年ベテランタッグを結成し、マスクドミステリー&若手の室田渓人と対戦した。黒田とアミーゴは若い室田を集中攻撃し、中高年ベテランタッグが勝利した。

 第2試合ではイケメン中高年、新納刃がヒートアップの若手イケメンレスラー飯塚優と新旧イケメン対決を繰り広げた。サンボ殺法を得意としている飯塚だが、新納のテクニックには通用せず。得意の蹴りも新納の前蹴りに遭い、吹っ飛ばされる場面があった。この試合も中高年の新納が快勝している。

 middle edge勢が連勝する中、第3試合ではバッファロー&渡辺宏志が登場。前日にヒートアップユニバーサル王座の2度目の防衛に成功した兼平大介と、GOING-UPの若い力を引っ張る大谷譲二が、旗揚げ戦以来のタッグを結成して対決した。中高年と新世代の真っ向勝負となったこの試合は中高年タッグに苦戦しながらも、譲二がスライディングDで渡辺から完全なピンフォールを奪い、新世代タッグが勝利を収めた。

 セミファイナルでは、IWA熱波軍の松田慶三が、ヒートアップ10.31とどろきアリーナ大会で引退する近藤“ド根性”洋史とシングル対決。同じ神奈川県出身の両者だが、松田が大和を、近藤が相模原を、とそれぞれ地元愛を背負って闘った。千両役者の松田は終始試合のペースを離さなかったが、近藤の諦めない気持ちが観客にも伝わり好勝負に。最後は慶三ロックボトムの前に散ったが、松田が称賛すると一緒に熱波パフォーマンス。松田がリングを降りると譲二が現れ近藤と対戦することを表明し、次回8.19王子大会での対戦が決定した。

 メインイベントは前回、藤原秀旺&松崎和彦のアライヴァルに敗れた“鬼将軍”ガッツ石島&“インディー希望の18歳”井土徹也が務めた。相手は松崎と、謎のマスクマン、秀・ザ・イルミナティ、スーパー・ドクター・秀の3人だった。2対3のハンディキャップマッチとなったこの試合で、序盤にドクターはガッツの口の中に何やら錠剤を押し込んだ。これを飲んでしまったガッツは松崎の垂直落下式ブレーンバスターを食らってKOされ戦闘不能に。井土が3人を相手にすることになってしまった。

 この日の松崎の動きは良かった。伝統芸能の呼び声も高いジャンピングネックブリーカードロップなどを惜しみなく披露。これにイルミナティの立体殺法や、ドクターの心臓マッサージ式フォールや聴診器を使ったチョーク攻撃を食らいまくったのだからたまらない。

 しかし「ワンチャン狙ってました」と井土は言う。ブレーンバスターから、打点の高いドロップキックで形勢を逆転すると、赤コーナーにもたれかかりながらガッツが蘇生した。タッチを受けたガッツはパワーファイトで3人を寄せつけない。最後はタッチを受けた井土がガッツのジャンピングハイキックから、きれいなジャーマンスープレックスホールドを決めてイルミナティから3カウントを奪った。

 前日のヒートアップ板橋大会でも6人タッグながら格上の伊東優作から3カウントを奪っており、井土の連夜の金星に王子はおおいにわいた。試合後に攻撃をやめないアライヴァルを見かねたミステリーが、ガッツ&井土の助っ人として登場。次回大会ではミステリーを加えたトリオを結成し、藤原、松崎、イルミナティと6人タッグマッチに臨むことになりそうだ。

 「GOING-UPは中高年に元気を与える団体ですけど、僕は勝ち続けることで、中高年に元気と刺激を与えられるようになりたい」と井土は力強く語る。「ガッツさんには練習も見てもらっていて、前よりもドッシリとした試合ができるようになってきたと思います。藤原秀旺は僕が取らなきゃいけない相手。僕が勝たなきゃ意味がないんですよ。僕が上に行くためにも秀旺には絶対勝ちます」と井土は言い切った。

 井土には「将来はメジャーな存在になりたい」とビジョンを描いているだけに「この年齢で止まってる余裕はないんです」と言った。「インディーの希望」ではなく、「プロレス界の希望」と呼ばれるのが本望なのだろう。

 次回からこの抗争に入ることになったミステリーは「若いやつらが活躍してるところを見ると、負けられねぇなって気持ちになるんだよね」と井土や譲二の活躍が背中を押したことを認めている。

 またGOING-UPのプロデューサーでもあるガッツは「まだ所属になる前に徹也を見たとき、潜在能力があると思った。井土、兼平は体が大きいから、育ててみたいなと思ったんですよ。まさか本当に教える立場になるとは思ってなかったですけどね」と笑う。「譲二みたいに中高年と闘うことで、元気を与える方法もあるけど、きょうの徹也はオレが眠ってた間、1人でチームを守ってくれたわけでしょ?だから18歳の徹也が中高年と組んでも、元気になるというか、刺激を受けたり、勇気をもらったり、助け合う気持ちが芽生えたりもするんですよね。GOING-UPは譲二と徹也の競争の場でもあると思うので、そこも楽しんでもらえたら嬉しいです」と満足げ。若い力への期待感を口にした。

 この団体のキーマンは中高年ではなく、大谷譲二や井土徹也なのかもしれない。2人がこの団体で目指す方向性は同じだが、ガッツが話するように、ベクトルは違う方向なのが面白い。どちらが先に中高年ファンの心をつかむのか見守っていきたい。

取材・文 / 増田晋侍
写真 / T-サモハン

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