大関・貴景勝インタビュー「“無心”でつかんだ優勝の裏側」
2021年01月08日 06時00分日刊大衆

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2021年の大相撲が、1月10日に初日を迎える。白鵬は新型コロナ感染で休場、鶴竜の復活も気になるが、初場所の目玉は、昨年11月場所で2度目の優勝を果たした、大関・貴景勝の「綱取り」だ。その貴景勝に、初場所にかける意気込みを聞いた。
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ーー新しい年が明けました。改めまして、11月場所の優勝、おめでとうございます。優勝を決めた後のインタビューでは、涙ぐんでいるようにも見えましたが……。
貴景勝(以下、貴) ありがとうございます! そんなふうに見えましたか(笑)? (19年夏場所で)大関に上がってから、あまりいいことがなくて、精神的にもうひと踏ん張りしないといけないと思っていました。「大関として優勝する」ことは一つの目標だったの
で、良かったなぁ……とホッとしたし、あのときはとにかくうれしかったですね。
ーー千秋楽は照ノ富士関に星の差1つをつけて、結びの一番に臨みました。けれども、本割では、組み止められた後、浴びせ倒されて黒星。2敗同士の優勝決定戦になりましたね。
貴 ハイ。もちろん、本割一発で優勝を決めたいという気持ちでしたし、自分の中で作戦を練っていたんです。でも、結果は照ノ富士関に押し潰されてしまった。ホンマ、もう情けなくて、悔しくて……。決定戦は前に一度経験しているんですが(19年秋場所)、一度、支度部屋に戻って、決定戦までの時間は12分くらいしかないんですね。「短い時間の中で、適正な判断ができるのかな?」と考えてみたんですけど、それは難しい。それだったら、無心になって、これまで自分がやってきたことを全部、出せばいい。負けたら来場所、出直せばいいという気持ちに切り替えたんです。挑戦者として、新弟子の頃から強くなりたいと思っていた純粋な気持ちを相手にぶつけようと思ったんです。
ーー「無心」でつかんだ優勝だったわけですね。
貴 でも、自分一人では優勝できなかった。19年は大関昇進の場所で右膝を痛めて、途中休場。翌場所は全休して、大関から陥落した。そこから、なんとか復帰しましたけど、調子が悪いときでも、どんなときでも、師匠(常盤山親方=元小結・隆三杉)や、おかみさんが懐で守ってくれた。部屋のみんなや、ふだんからサポートしてくれる方々の力もあります。とにかく、みんなに感謝の気持ちしかないですね。
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