3人のいまの「メンタル状態」は? 〜東京五輪・陸上 男子マラソン代表 中村・服部・大迫がレースに向けての思いを語る〜

東京オリンピックの男子マラソンは大会最終日の8月8日(日)に北海道・札幌市で午前7時より行われる。日本からは2019年9月のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)で優勝した中村匠吾選手(富士通)、2位の服部勇馬選手(トヨタ自動車)、3位の大迫傑選手(Nike)の3名が出場する。

<上>中村匠吾(富士通)、<左>服部勇馬(トヨタ自動車)、<右>大迫傑(Nike)

<上>中村匠吾(富士通)、<左>服部勇馬(トヨタ自動車)、<右>大迫傑(Nike)

オンライン記者会見

大会の締めくくりにもなるレースを前に、 大迫選手は8月4日、中村選手と服部選手は8月5日、オンラインによる記者会見でレースに向けた想い、調整の過程、暑さやコースの印象などを語った。 以下、各選手の主なコメント(要旨)を紹介しする。

【男子マラソン日本代表選手コメント(要旨)】

中村匠吾(富士通)

中村匠吾(富士通)

◎中村匠吾(富士通)

MGCで優勝して代表に内定してから約2年間の準備期間があった。やるべきことを一日一日積み重ね、精いっぱいやってこれたと思う。あとはしっかり調整して、万全の状態でスタートラインに立って、今までやってきたことをすべて出し切りたい。

この2年間、オリンピックが延期になったり、コロナ禍があったり、正直大変な面もあった。だが一日一日やるべきことに専念してこられた期間でもあった。今振り返るとあっという間だった。(コロナ禍の中で)大会を開いていただけることに感謝し、ここまで支えてくれたトレーナーさんやスタッフ、応援してくださる方に恩返しができるようないい走りをしたい。オリンピックへ賭ける思いを強く持ってきたつもりなので、そういうところをすべて出し切りたい。

本来なら今年2月のびわ湖毎日マラソン、5月のテストイベント(札幌のオリンピックのコースを使用したハーフマラソン)に出場する予定だったが、故障が少し長引いた。だが、テストイベントを欠場した後は、足も順調に回復してしっかり調整することができた。6月1日から8月4日まで約2か月間は、長野県の菅平で高地トレーニングを積み重ねてこられた。菅平で、距離とスピードをバランスよく取り入れ、継続して練習ができたのは自信になった。最後の2〜3週間は質を上げて状態も上げてこられた。これまでマラソンを何回かやってきたが、そのデータも取りながらしっかり練習を詰めた。あとは気を抜かずスタートラインに立ち、万全の状態で(積み重ねを)出し切ることを大事にしたい。

今日(5日)も午前中に練習したが、気温が非常に高いという印象を受けた。当日の気象状況は読めないが、暑くなれば私には強みになる。スローペースでもハイペースでも、揺さぶりやペースの上げ下げは必ずある。冷静に自分自身の体と相談しながらしっかり対応して、勝負どころで本来の持ち味であるスパートができるようにしっかり持っていきたい。(レース後半に3度通る)北海道大学の中のジグザグが続く所は、仕掛けどころや細い道も続くのでポジション取りをしっかりして、周りを把握しながら走りたい。

(同じ富士通所属の鈴木健吾選手が2月のびわ湖毎日マラソンで2時間04分56秒の日本記録を樹立したことについて)びわ湖の前も一緒に練習していた。日本記録や日本初の(2時間)4分台を出して少しずつ世界に近づいている選手が身近にいることは、すごく刺激になった。正直、焦りもあるが、そういうチームメイトと練習が一緒にできたことで自信になったところもある。刺激し合いながら高めあえる環境はすごくいい。そういうところを日曜に(本番で)しっかり発揮したい。

服部勇馬(トヨタ自動車)

服部勇馬(トヨタ自動車)

◎服部勇馬(トヨタ自動車)

目標としては、今までやってきた練習の成果を100%出し切ることが一番だと思う。(2013年に)東京オリンピックの開催が決まってからこの舞台に立ちたいと思っていた。支えていただいた本当にたくさんの方々、応援していただいた方に恩返しのレースが見せられたらいいなと思う。

(2019年9月のMGCから今まで)ものすごく長かった。その分、代表としての自覚や覚悟ができ、個人的には特に精神面で成長できたと思う。2年間やってきたことをしっかり発揮できるようにやりたいし、今後の自分の競技力や人間性も磨いていきたい。

冷静に、いつも通りにいようと心がけてはいるが、けっこう緊張しているかなと思っている。不安はどのレースにもあり、MGCよりは緊張していないし、ずっと夢に見た舞台なので、そこに対しての喜びも、もちろんあるが。オリンピックの陸上以外の競技も見たりして、マラソンがある大会最終日がどんどん日にちが迫ってくるにつれて、高揚感ではない、少しプレッシャーも感じている。何に対して緊張しているのか僕自身もわからない。しっかり結果を出したいという思い、不安というよりプレッシャーですかね。

5月から長野県の菅平で合宿を続けていた。5月のテストイベントの前にけががあり、普段のマラソンより少し急ピッチに作った感じなので、これまでのマラソンとは違う形でトレーニングをやってきた。まずはオリンピックが大事だが、これから先のマラソンのトレーニングの幅も広がるようなトレーニングができた。5月の札幌でのテストイベントに比べれば、かなりいい状態で挑めるのかなと思う。

練習の基本的なところはこれまでのマラソンの時とあまり変わっていない。ジョグの動きと(1kmあたり)3分ペースの動きを同じようにしていく、ということは変わらない。冬場ほどレースのペースが上がらないと思うので、(1kmを)3分02〜03秒のペースでしっかり押していけるように考え、あまりトップスピードを上げるトレーニングはしなかった。

最後の1カ月くらいは(弟でトーエネック所属の)弾馬と一緒に練習をやらせてもらった。弾馬も(トラック種目で)オリンピックを目指していたので一緒に舞台に立てなかったのは悔しかったが、 弾馬から思いを引き継ぎ、一緒にトレーニングしていて気持ちが高まるところもあった。いいメンタルの状態でオリンピックの舞台に立てるのかなと思っている。

コースはテストイベントで一度走らせてもらい、頭の中にけっこう入っているので、他の選手に比べて把握できていると思う。前半はそこまでハイペースにならないと思うので余裕をもってついていきたい。後半、(1周約10kmの)小さいループの、広い直線道路が続くところはテストイベントでも長く感じたので、気持ちを切らさず自分のリズムで淡々と走りたい。 曲がり角が続く北海道大学のところは入念に準備してきたので、いい走りができると思う。

大迫傑(Nike)

大迫傑(Nike)

◎大迫傑選手(Nike)

アメリカでずっとトレーニングしてきて、非常に順調で充実した練習ができている。あとは落ち着いて自分の力をしっかり出したいと思っている。

最後の2〜3か月はフラッグスタッフ(アメリカ・アリゾナ州の高地)でやってきた。いつも言っているが、特定のところを強化するというより、全体にバランスよくトレーニングしてきた感じ。レース前は常に不安というか、辛さと直面しなければならないが、準備に関しては充実したものができたのではないかと思う。

(マラソンを)やっている人たちにとっては結果と同じくらい、プロセスも、競技だけでなく人生に枠を広げても大事だ。自分自身が大きな大会に直面して、 少しずつ成長できている部分に喜びを感じているというか、充実感をもって準備できている。順位も結果も大切だが、それ以上に、レースを終わった後に自分が頑張りきれたと思えるレースになるといいなと思う。

(このオリンピックを競技生活の最後のレースにする、とYouTubeを通じて表明したが)きれいな言葉で出すというか、引退という言葉に魅力を感じなかった。(決めたのが)いつかというのは置いておいて、今はこういうことを感じながら競技をしているんだということを皆さんに知っていただきたい。この1年をかけてしっかりとやってきた部分を100%出せればいいなと思う。

結果としてここ(東京オリンピック)をゴールとしているが、(これまで出場したレースの)それぞれが特別なレース。今回、何か取り組みが変わるということはない。初マラソンも特別だったし、東京オリンピックも母国開催で、同じように特別だと思う。いろいろな感情があるが、そこを客観視して見られているところはある。冷静さや「いつも通り」を心がけて当日まで過ごしたい。

※コメントは、 代表共同取材における各選手の発言をまとめた。 より明確に伝えることを目的として、 一部、 修正、 編集、 補足説明を施している。

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