日本フェンシング協会会長・武井壮 フェンシングを普及させるための壮大な計画

黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(9月8日放送)に東京五輪フェンシング・男子エペ団体金メダリストの加納虹輝と日本フェンシング協会会長の武井壮が出演。武井氏が日本フェンシング協会の会長になった経緯とフェンシングの普及に向けた取り組みについて語った。

武井壮

黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。9月6日(月)〜9月10日(金)のゲストは東京オリンピック、フェンシング男子エペ団体金メダリストの加納虹輝と日本フェンシング協会会長の武井壮。3日目は、武井会長が語る日本フェンシング協会の会長になるまでの経緯とフェンシングの普及に向けた取り組みについて—

 

黒木)武井さんは2021年の6月に協会の会長に就任されて、そのときは前会長の太田さんからとにかくラブコールがあったというお話ですが、最初はお断りになっていたそうですね。

武井)最初はSNSのダイレクトメッセージで、「武井さん、協会の運営などにご興味はありませんか」とメールが来ていて、「ぜひ1度電話で話させてください」ということで、まず理事になって欲しいと。6月に太田会長ご自身が退任されるということが決まっていて、その後任をいま探している。理事になっていただいて、さらにその6月の段では、「会長候補として名前をあげさせてもらえないか」というオファーをいただいたのですが、「いや重すぎる」と3回、お断りしたのですが、私の家に5回やって来て、いろいろと説明していただきました。

黒木)5回もいらしたのですね。

武井)最終的に決め手になったのは、WEBミーティングで日本代表の皆さんに集まっていただいたときのことです。「今後、どのような競技人生を送りたいのか」、「私が会長をやるなら、このようなことを考えている」ということをお話しさせていただきました。

黒木)選手の皆さんと。

武井)それが「選手の皆さんの希望に沿う形なのか、そうでないのか」と聞かせていただきました。選手の皆さんも、もっとフェンシングの認知を高めていきたいし、多くの人に応援してもらえるような選手になりたいということだったので、それならば多少なりともお手伝いできるのではと思い、受けさせていただきました。

黒木)武井さんが会長になるということで、いろいろなところで驚きの声もありました。

武井)「大丈夫なの?」「武井壮でいいの?」と、ネット上でも相当言われましたね。

黒木)試合前はどのような声をかけていただいたのですか?

加納)団体戦の前にWEBミーティングで「頑張れ」という言葉をいただきました。「金メダルを獲ったら景品があるから」と言っていただいて、「よし頑張るぞ」という話を団体メンバーでしていました。

武井)日本の選手では、ベスト4に入った選手はいましたが、個人戦ではメダルが獲れなかったのです。なので、団体戦の前の1日空いている日に、選手たちとミーティングをして、「メダルを期待しています。メダルを獲った暁には、会長からビッグボーナスをプレゼントします」ということを言いました。いまそれを準備しているところです。

黒木)素敵ですね。

加納)最高ですね。

加納虹輝、武井壮

加納虹輝、武井壮

黒木)個人個人が強くても、フェンシングの普及につながらない。どのようにしたら普及につながると会長は考えていますか?

武井)フェンシングは参入障壁が高いのです。ユニフォームを持っていなければいけない、剣も持っていなければいけない、お面も持っていなければいけない。採点システムがないと、勝負がわからないと。「あまり見たこともないスポーツの道具を揃える」ということにまず障壁がある。さらにフェンシングができる場所が少ない。まずこれらの問題を解消していかなければいけないと思っています。

黒木)確かにそうですね。

武井)フェンシングに準ずる、フェンシングの 1歩手前の競技のようなものを開発して、誰もが簡単な装備でできるようなところからスタートして、それで遊んでくれる人たちを増やす。その上に、フェンシングの日本代表選手たちの技術があって、みんな遊んだことがあるから、彼らがどのくらいすごい技術を持っているのかがすぐわかるという状態にしてあげる。例えば、キャッチボールをして大谷翔平選手の球がすごいなと思うのと同じように、原体験があるとわかりやすいではないですか。子供でも大人でも、楽しく遊べる大会をつくると入りやすいだろうなと思うのです。

黒木)なるほど。

武井)そこに芸能人などもプラスして、みんなで遊べる楽しい遊びをつくってあげたら、触れやすくなるだろうなと思います。学校でも廊下1つあれば、放課後にできたり、家の廊下でもできたる。そうすれば、日常にも浸透するのではないかと思うのです。

黒木)そのようにいろいろと考えて、普及に尽力しているという会長でいらっしゃるのですね。

武井)徐々に地盤を広げています。

黒木)頑張ってください。

加納虹輝

加納虹輝(かのう・こうき)/ 東京五輪フェンシング・エペ団体金メダリスト

■1997年・愛知県出身。日本航空所属。
■2008年北京五輪のフェンシングをテレビ観戦して興味を覚え、小学6年生からフェンシング(フルーレ)を始める。
■高校時代に、遊び半分で出た「エペ」の大会で優勝し、「フルーレ」から転向。
■エペ選手としては小柄ながら、フットワークと素早い剣さばきを強みとし、2017年のワールドカップで3位。2019年にはワールドカップで優勝。世界選手権で6位など実績残し、東京オリンピックの代表選手に選ばれた。
■2021年に開催された東京オリンピックでは、フェンシング男子エペ団体に出場。(*ほかのメンバーは、山田優選手、宇山賢選手、見延和靖選手)
■東京オリンピックでは、準々決勝で世界ランキング1位のフランスを撃破。 42対44とリードを許し、あと1ポイントで敗戦というピンチに立ちながら、 アンカーである加納選手の粘りで、45対44と逆転勝ちを収めた。
■準決勝は韓国に45対38と勝利。決勝戦ではROS(ロシアオリンピック委員会)に45対36で勝利。加納選手は日本のアンカーとして最後のポイントを獲得した。この競技での金メダル獲得は史上初。歴史的快挙を成し遂げた。

武井壮

武井壮(たけい・そう)/ 日本(にほん)フェンシング協会・会長

■1973年生まれ。東京都葛飾区出身。
■大学3年で十種競技をはじめ、競技転向わずか2年半で日本陸上優勝。日本チャンピンオンとなった(十種競技100mのベスト記録は今も日本最高記録)。
■大学卒業後、陸上を引退し、アメリカにゴルフ留学。
■その後は、陸上・競輪・ゴルフ・プロ野球選手などの個人トレーナーとして活動。
■2005年には、萩本欽一氏が監督を務めた茨城ゴールデンゴールズにも入団。
■数々のスポーツの経験を活かし、「地上最強の百獣の王を目指す」と豪語。
■もちろん現在も日夜トレーニングを続け、世界マスターズ陸上などに出場し好成績を残している。2015年には世界マスターズ陸上の4×100mリレーの日本代表のアンカーとして出場し、金メダルも獲得。
■2021年6月19日、日本フェンシング協会の新会長に就任。

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