痩せてしまったためにW杯で失格となった小林陵侑の悲劇

黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」に国際スポーツジャーナリストの岩瀬よしふみが出演。スキージャンプの規定について語った。

小林陵侑、高梨沙羅

小林陵侑、高梨沙羅

黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。1月10日(月)〜1月14日(金)のゲストは国際スポーツジャーナリストの岩瀬よしふみ。3日目は、スキージャンプの規定について—

黒木)スキージャンプの世界では、板の長さやジャンプスーツの重さなど、細かく規定があるのですか?

岩瀬)あります。以前、長野オリンピックが開催された1998年ころは、ジャンプスーツはブカブカだったのです。飛んでいる最中に、首から空気が入ってしまうのです。そうすると背中や腰のあたりが膨らんで、極端に言うと風船みたいになるのです。それによって、距離が伸びる。

黒木)浮力がついて。

岩瀬)それがあまりにも甚だしくなったので、タイトにしてしまおうということになったのです。いまはボディから1センチくらいですかね。タイトにして空気が入るのを遮断しています。首回りが何センチと決まっています。

黒木)板の長さも?

岩瀬)1999年〜2000年ころ、日本選手が表彰台独占したのが何度もあり、身長の低い選手に有利な印象があったのです。ヨーロッパの身長が高い選手不利になるということで、「4センチスキーを切ります」ということになった。それは「日本叩き」と言われましたが、フィンランドの選手も切られていますし、「もう飛べない」と引退した選手もいました。ですから日本人叩きというわけではないですね。「公平にしよう」ということだったのだと思います。

小林陵侑

小林陵侑

黒木)「日本人選手が活躍するとルールが変化する」という噂があるようですけれども、小林陵侑選手が去年(2021年)、スーツ規定違反で予選失格になったという理不尽なことがあったということですが。

岩瀬)ベルトのところの余裕が通常4ミリという規定がありますが、このとき、小林選手は痩せてしまったのですね。ですから10ミリになってしまったのです。そこをチェックされて失格になってしまった。その前の試合で小林陵侑選手は2位に入り、15位のなかに4人の日本人選手が入ったので、「またチェック入れて日本人の足を引っ張るのだろうな」と思いました。

黒木)痩せてしまったのですか?

岩瀬)痩せてしまったのです。ロシアの大会でしたので、移動が長かったのと、やはり食事ですね。

黒木)それで失格になって、悔しかったでしょうね。

岩瀬)しかし、そのことで「なるほど、今シーズンはこういう流儀で行くのか。よしわかった。チームのみんな、結束しよう」となり、それで日本チームはまとまりましたし、また1段階、上に上がれるような準備をするようになりました。

黒木)それほど日本は強いということなのですけれども、育成方法は、昔とは変わっているのですか?

岩瀬)小林陵侑選手の前のコーチは、フィンランド人のヤンネ・バータイネンでした。フィンランドと日本は仲がいいのです。私も親しいフィンランド人のコーチや選手がいますが、人間的で北海道、北東北と気質が似ているのですかね。フィンランドの基礎技術を取り込んでいる日本選手もいますし、日本に来たフィンランド人のコーチも日本の技術を吸収して持ち帰っています。

岩瀬よしふみ

岩瀬よしふみ(いわせ・よしふみ)/国際スポーツジャーナリスト

■1959年生まれ。立正大学文学部地理学科卒業。
■スキー月刊誌・編集長を経て、スポーツジャーナリストとして活躍。
■1998年・長野五輪ではフィランドチームの公式プレスコーディネーター、2007年・札幌世界選手権でフォトコーディネーターを務めた。
■冬季五輪や世界選手権で何度も海外取材。スキーにおけるスポーツジャーナリストとして活躍する日本の第一人者。
■また夏場には大学野球と高校野球、ラグビーやアメリカンフットボールなどの取材活動も行っている。

 

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