ラグビー元日本代表・伊藤剛臣〜引退を撤回して釜石シーウェイブスへ移籍した理由

黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、ラグビー元日本代表の伊藤剛臣が出演。神戸製鋼での引退を撤回して釜石シーウェイブスへ移籍した理由について語った。

秩父宮ラグビー場の非公式黙認マスコット『なかぴー』『なかりん』(2016年9月25日撮影)(釜石シーウェイブス-Wikipediaより)

黒木)今週のゲストはラグビー元日本代表、伊藤剛臣さんです。ラグビーワールドカップが開催されましたが、ラグビーのワールドカップというと、ニュージーランドなどで開催されるイメージが強いですよね。

伊藤)そうですね。今回で9回目になりますが、日本は前回大会で3勝しました。それまでは1勝しかしたことがないのです。第3回の南アフリカで行われたワールドカップでは、ニュージーランド代表のオールブラックスに145対17で負けました。

黒木)大差ですね。

伊藤)僕はそれをテレビで見ていて、ショックでした。夢の日本代表が惨敗ですよ。僕は次の年から日本代表に選ばれました。

黒木)ワールドカップに2回出ていらっしゃいますよね。

伊藤)日本代表の誇りを取り戻すという気持ちで、みんなと戦いました。1999年、2003年と1度も勝てなかったのですが、そのあと後輩たちは2007年、2011年と世界の尻尾は掴んでいて、2015年に五郎丸選手、リーチ・マイケル選手たちが頑張ってくれて奇跡を起こしました。イギリスで行われた前回大会で、ワールドカップに2度優勝した南アフリカに勝ちました。イギリスのメディアが、世界スポーツ史上最高の番狂わせと報じていました。エリザベス女王が天皇陛下にお祝いの手紙を送ったらしいです。それくらいすごいことだったのです。

黒木)ますます今回のワールドカップが楽しみですよね。

伊藤)ワクワク、ドキドキしています。

黒木)伊藤さんは神戸製鋼で引退を考えていたけれど、もう1度やろうと、釜石シーウェイブスへ行かれました。

伊藤)そうですね。40歳まで神戸製鋼でお世話になって、引退すると思っていました。釜石でプレーしていた後輩が、「釜石で一緒にプレーしませんか? 釜石は東日本大震災で甚大な被害を受けた地域ですが、新日鉄釜石で7連覇した、鉄と魚とラグビーの町。ラグビーで町を盛り上げようと頑張っています。是非一緒にプレーしましょう」と言われて、その想いに共感しました。神戸製鋼時代、1年目で新日鉄釜石に並んで神戸製鋼も7連覇を達成したのですが、その2日後に阪神淡路大震災が神戸に来ました。ラグビーどころではないと思いましたが、会社がラグビー部の存続を決めてくださり、町も会社もラグビー部を応援してくれました。5年後に日本1位に帰り咲いたときは、みなさんの恩に対して報いることができたと思いました。その神戸時代のことを思い出したのです。当時41歳でしたが、初めてラグビーを知ったのは釜石ですし、原点でもあるので、現役最後の炎を燃やそうと思い入団しました。

黒木)阪神淡路大震災の経験があり、釜石からのお誘いもあってラグビーで元気を、勇気をという気持ちで引退を取りやめたのですね。

伊藤)そうですね。共感しましたし、力になりたいと思いました。

伊藤剛臣(いとう・たけおみ)/ ラグビー元日本代表

■1971年、東京都出身。
■法政大学第二高校時代、担任の勧めでラグビーを始め、高校代表に選出。法政大学3年時には大学選手権で25年ぶりに優勝をもたらした。
■卒業後、社会人ラグビーの名門・神戸製鋼に入社。1994年度の全国社会人大会、日本選手権7連覇に貢献。
■1995年、阪神淡路大震災が発生。神戸をラグビーで勇気付けたいという思いを胸に、1999年・2000年度の全国社会人大会・日本選手権にて連覇を果たす。さらに、トップリーグ開幕初年度の2003年にはチームを優勝に導いた。その後もチームの中心選手として活躍し、数々の栄冠を手にした。
■神戸製鋼の契約終了を機に、40歳で1度は引退を決意。しかし、2011年の東日本大震災をうけ、消えないラグビーへの情熱と、震災で被害を受けた釜石に神戸での思いを重ね、トライアウトを受ける。
■2012年、18年間所属した神戸製鋼から「釜石シーウェイブス」に移籍。
■ラグビー日本代表ではW杯に2大会出場。1998年のアジア大会では主将を務めるなど日本ラグビー界を長きにわたり牽引。代表キャップ62は歴代8位の記録(2018.5月当時)。
■2018年1月まで現役最年長記録選手として活躍していたが現役を引退。
■引退後は、ラグビーW杯2019日本大会のアンバサダー、また釜石シーウェイブスのアンバサダーを兼任し、ラグビーの魅力を伝えている。

ENEOSプレゼンツ あさナビ(9月18日放送分より)
FM93AM1242 ニッポン放送 月-金 6:43-6:49

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