東京五輪延期が追い風に ”侍ジャパン”入り狙う清宮

話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、3月24日に決定した東京五輪延期が、野球日本代表=侍ジャパンに及ぼす影響について取り上げる。

【プロ野球 日本ハム練習】打撃練習する日本ハム・清宮幸太郎=2020年3月9日 ZOZOマリンスタジアム 写真提供:産経新聞社

24日、IOC・バッハ会長と安倍首相の電話会談の結果、正式に決まった東京五輪・パラリンピックの開催延期。世界的に、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない現状では致し方ありませんが、東京五輪は「2021年夏よりは遅くならない時期に変更して開催」で合意しました。

各競技団体も、スケジュールの組み直しや、競技によっては代表の選び直しといった事態も予想されますが、プロ選手で構成され、金メダルを目指す野球日本代表=侍ジャパンは、延期によってどんな影響を受けるのでしょうか?

五輪延期が決定した段階で、NPBはさっそく、侍ジャパン・稲葉篤紀監督と連絡を取り、来年(2021年)までの契約延長を打診。正式決定はこれからですが、金子誠ヘッドコーチら現在のスタッフも同様に契約を延長する方針です。

首脳陣は変わりませんが、選手のほうはメンバーが大きく変わる可能性が出て来ました。まずは侍のエース格、巨人・菅野智之です。今年(2020年)のオフ、ポスティングによるメジャー移籍の可能性が伝えられていますが、もし移籍した場合、メジャー球団側が五輪出場を認めないことが予想され、来年の五輪出場は難しくなります。

他にも、今オフのポスティング移籍が噂される選手はDeNA・山ア康晃がいますが、仮に両者がともにメジャー移籍した場合、侍はエースと守護神を欠くことになりそうです。

その他の侍戦士たちも、今シーズンの成績が不振に終われば、メンバーから外されることに。裏を返せば、若手選手やルーキーにもチャンス到来、ということです。実績のない選手も今年ブレイクすれば、侍に招集される可能性は高くなりました。

その筆頭候補が、プロ3年目、日本ハム・清宮幸太郎です。今季は、昨年(2019年)秋に受けた右ヒジ手術の影響で出遅れましたが、24日、鎌ケ谷で行われた2軍の練習試合・西武戦に出場。今季実戦1号となる豪快なホームランを叩き込みました。

25日にも同じカードに「4番・一塁」で出場。初回、昨季7勝を挙げた西武・今井達也から先制タイムリーを放つ活躍を見せています。試合後、五輪延期について聞かれた清宮は、こうコメントしました。

「(五輪開催までの)期間も延びましたし、その分、可能性も広がると思う。その可能性にしっかりと挑戦したい」

実は、清宮は過去に1度、侍ジャパン(トップチーム)に招集されたことがあります。2019年3月9日〜10日に行われたメキシコとの強化試合で、稲葉監督はヤクルト・村上宗隆とともに、清宮をメンバーに選びました。

この時点では、清宮も村上も所属チームでレギュラーを獲得していませんでしたが、招集理由について聞かれた稲葉監督は、「2020年以降のトップチームでの活躍を期待し、経験を積んでほしいと思った選手も呼んでいます」。

それだけ、ファイターズの後輩・清宮に対する稲葉監督の期待も高かったわけですが、残念ながら清宮は、強化試合直前のオープン戦で右手首を骨折。出場を辞退することになったのです。

清宮は東京出身、地元で行われる五輪には格別の思いがあるだけに、せっかくのチャンスをフイにした悔しさは、察するに余りあります。

昨シーズンの清宮は、打率.204、本塁打7本と成績を残せず、オフに行われた国際試合「プレミア12」には呼ばれませんでした。

右ヒジ手術明けのため、今年の春季キャンプは2軍スタートになりましたが、もし今年、プロ野球も五輪も通常通り開催されていれば、前半戦でよほど目覚ましい成績を残さない限り、清宮が侍に選ばれる可能性は低かったでしょう。

ところが、シーズン開幕も五輪も延期になったことで、調整期間もその分延び、清宮にとっては“追い風”が吹きました。

「自分のなかでは、感覚は悪くない。(その感覚を)失わないように、いい形の打席をたくさん増やせればと思います」(清宮)

清宮だけでなく、今季の活躍次第では、プロ2年目の小園海斗(広島)・根尾昂(中日)・藤原恭大(ロッテ)・吉田輝星(日本ハム)、ルーキーの佐々木朗希(ロッテ)・奥川恭伸(ヤクルト)といった甲子園のスター組が、来年、五輪の晴れ舞台に立っているかも知れません。

五輪延期によってめぐって来た、千載一遇のチャンス。いい目標ができたのではないでしょうか。それを活かせるかどうかは、彼ら次第です。

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