【ラグビー日本代表、躍進のカギ】(中) 吉田義人氏「あうんの呼吸磨け」

【ラグビー日本代表、躍進のカギ】(中) 吉田義人氏「あうんの呼吸磨け」

第2回ラグビーW杯のジンバブエ戦でゴールに向かって突進する吉田義人(中央)=1991年10月14日

 ラグビーワールドカップ(W杯)に1987年の第1回大会からすべて出場している日本。前回の2015年大会で歴史的3勝を挙げるまで、1991年大会でジンバブエを52−8で破ったのが唯一の白星だった。この試合で2トライを決めた元日本代表WTBの吉田義人氏(50)は「あうんの呼吸が完成していた」と振り返る。

 この大会で日本はアイルランドとも対戦。16−32で敗れたが、吉田氏の70メートル独走からSO松尾勝博を経由してフランカー梶原宏之が決めたトライは、大会のベストトライの1つとされた。平尾誠二、朽木英次の両CTBとの連係も抜群で、「どういうタイミングでボールが来るか、イマジネーションがぴったり合っていた」と吉田氏。宿沢広朗監督の下、当時のアジア太平洋地区予選を勝ち抜く中で力を磨いていったという。

 ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチが率いる現代表もSO田村優(キヤノン)の正確なキックを生かし、鮮やかな連係からトライをもぎ取る攻撃力が強みだ。この戦術を吉田氏は高く評価し、「防御が発達した現代ラグビーでは、キックを織り交ぜて相手の防御を崩すのが当たり前」と指摘。

 前回W杯の1次リーグでは、B組で南アフリカ、スコットランドと並ぶ3勝を挙げながら、1試合4トライ以上で得られるボーナスポイントの差も響いて1次リーグ敗退に終わっており、トライ量産が期待できる現在のスタイルを磨き上げることで、目標の8強入りに近づくと予想する。

 田村は明大監督時代の教え子で、「安定した実力をコンスタントに出せる選手に成長してくれた」と目を細める。自身と同じポジションのWTB福岡堅樹(パナソニック)に対しても「前回W杯ではトライに導く『引き出し』が少なかったが、今はすごく多いし、コース取りもいい」と期待をかける。チームに求めるのは「宿沢ジャパン」同様の成熟した連係。特に7〜9月に行われるテストマッチ4試合には、W杯予選のような気構えで臨むべきだと提言する。「ここで負けたら(目標とする)W杯の決勝トーナメントに行けないくらいの気持ちで全力で戦うことで、ワンランク上で成長できる。熟成してロシアとのW杯開幕戦を迎えてほしい」と力を込める。

■吉田義人(よしだ・よしひと) 1969年2月16日生まれ、秋田県男鹿市出身。WTBとして秋田工高で活躍。明大4年時には主将を務め、全国大学選手権を制した。卒業後は伊勢丹、フランス1部リーグのコロミエ、三洋電機(現パナソニック)などでプレー。19歳で日本代表入りし、1991、95年W杯に出場するなど30キャップを獲得。世界選抜にも3度選ばれた。指導者としては2008年に横河電機(現横河武蔵野)ヘッドコーチとしてトップリーグに初昇格させ、12年には明大監督として14年ぶりの関東対抗戦優勝に導いた。現在は7人制男子チーム「サムライセブン」代表兼監督。

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