【バスケット通信】八村だけじゃない 進む有望株発掘、202センチの16歳や196センチの秀才プレーヤーも

NBAドラフト会議で八村塁がウィザーズから1巡目指名 八村同様にNBA入り狙う有望株も

記事まとめ

  • NBAドラフト会議で、ウィザーズから日本人初の1巡目指名を受けた八村塁(米ゴンザガ大)
  • 若手主体の日本代表育成合宿では、八村同様にNBA入りを狙う有望株が猛アピール
  • 育成合宿には太田敦也や山之内勇登、榎本新作、シェーファー・アヴィ幸樹らが参加した

【バスケット通信】八村だけじゃない 進む有望株発掘、202センチの16歳や196センチの秀才プレーヤーも

【バスケット通信】八村だけじゃない 進む有望株発掘、202センチの16歳や196センチの秀才プレーヤーも

練習で競り合うテーブス海(左)と田中力=14日、東京都北区(奥村信哉撮影)

 ニューヨークで20日(日本時間21日)に行われた米プロバスケットボールNBAのドラフト会議で、米ゴンザガ大の八村塁(21)が日本人初となる1巡目(全体9位)でウィザーズから指名された。西アフリカのベナン出身の父親と日本人の母親の間に生まれた203センチが「運命の日」に羽織ったのは、自身のルーツとなる両国にちなんだ柄を裏地にあしらったジャケット。実は日本のバスケット界で両親のいずれかが海外出身のホープは多く、13〜23日に東京都内で行われた若手主体の日本代表育成合宿では、八村同様に代表での活躍や将来のNBA入りを狙う有望株が猛アピールを続けた。

 育成合宿に招集されたのは20人。代表生き残りのため、参加を志願した35歳の太田敦也(三遠)の姿もあったが、平均年齢22・1歳というフレッシュな顔ぶれが並んだ。特に注目を集めたのがテーブス海(20)。八村のゴンザガ大と同じ全米大学体育協会(NCAA)1部に属するノースカロライナ大ウィルミントンに通う188センチの大型ガードだ。

 父はカナダ出身で女子Wリーグの強豪、富士通を率いるBT・テーブス監督。日本育ちのテーブスは高校2年で米国に渡り、今季は大学1年ながら司令塔、ポイントガード(PG)のレギュラーとして活躍した。育成合宿では「195センチくらいのPGを相手に守れてきたことを出し、代表に入れるようアピールしたい」と懸命にプレー。合宿を指揮した日本代表のエルマン・マンドーレ・コーチが「国際レベルで競争するには身長がすごく大事」と各ポジションのサイズアップを掲げる中、貴重な長身PGとして存在感を示した。

 20人中、最年少の16歳で参加したのが米ロサンゼルスのリベットアカデミーに通う山之内勇登。まだ線は細いものの、202センチの長身を誇る。

 米国人の父親はアメリカンフットボールの経験者で、5歳からバスケットとともに、身体的接触を禁じたアメフットの派生競技「フラッグフットボール」を始めた。7歳で父に「どちらか選べ」と聞かれ、バスケットを選択。ハワイに移り住んでいた中学2年の夏、180センチ台後半だった身長が一気に伸びたことで「バスケットで何かできるかも」とさらに真剣に取り組むようになった。

 日本協会には昨年、福島に住むという祖母から山之内の存在を知らせる連絡があり、その後父親と接触できたことで、今回の選出につながった。「国のため、代表の一員として招集を受けて、わくわくしている。東京五輪に参加できるかもしれないと毎日考えているし、合宿が終わってカリフォルニアに戻ってもチャンスがもらえるよう努力したい」と意気込む。

  ■  ■  ■  

 米国での名前はティム・コストランスキー。196センチの小川春太(18)は柔らかなシュートタッチが特長だ。米ミネソタ州のデ・ラ・サル高校で活躍し、今秋から名門中の名門、マサチューセッツ工科大に進学する秀才プレーヤーだ。母親が日本出身で、日本語も十分に話せるが、うまく表現が見つからないと「あー、やっぱりここは英語で話します」と切り替える律義な選手でもある。昨年はU−18(18歳以下)代表候補に選出されるも、アジア選手権のメンバー入りは果たせなかったが、日本協会の東野智弥技術委員長は「昨年とは比べものにならないほどいい選手になった」と成長に目を細める。

 テニスの錦織圭(日清食品)も留学した米フロリダ州のIMGアカデミーに通う田中力(ちから)(17)は17年10月、史上最年少の15歳5カ月で日本代表候補に選ばれた。父親が米国人の187センチはバスケットの本場でもまれた1年間を「楽しかったし、いい経験になった。シュートを我慢してパスしたり、ガードとしていい判断ができるようになった」と振り返る。

 参加メンバーにはこのほか、八村とともに17年のU−19(19歳以下)ワールドカップ(W杯)に出場した榎本新作(21)=イースタンニューメキシコ大=やジョージア工科大を休学して現在A東京でプレーするシェーファー・アビ幸樹(こうき)(21)も。八村の存在は彼らの大きな発奮材料で、「誇りに思う」(テーブス)「尊敬している」(山之内)「言葉が出ないくらいすごい」(田中)と畏敬の念がにじむ。

 長く低迷していた男子代表は八村や昨年グリズリーズでNBAデビューを果たした渡辺雄太(24)、帰化選手のファジーカス・ニック(34)=川崎=らの活躍もあり、今年2月に自力では21年ぶりとなるW杯出場権を獲得。3月には開催国枠での20年東京五輪への44年ぶりの出場が認められた。日本協会は男子代表の躍進を一過性で終わらせないため、日本国籍を有して海外でプレーする選手の発掘にも力を入れ、早い段階で代表合宿に呼ぶことで、向上心や代表への愛着を醸成させようとしている。「彼らにBリーグというバスケットを仕事にできるチャンスがあることを伝えたり、逆に日本の若い選手が(彼らと触れ合うことで)米国に行くきっかけにもなるのではないか」と東野技術委員長。八村に続くNBAプレーヤー誕生も、そう遠くないかもしれない。(運動部 奥村信哉)

関連記事(外部サイト)