ラグビーW杯まで1カ月 定着するか「サービス付き」高額チケット

 9月20日の開幕まであと1カ月に迫ったラグビーのワールドカップ(W杯)日本大会で、高額のチケットの売れ行きが好調だ。試合観戦と飲食などのサービスを組み合わせた「ホスピタリティパッケージ」と呼ばれる商品で、商用を中心に人気を集めている。来年の東京五輪でも今月下旬から同様の商品の販売が始まる。欧州では定着している観戦スタイルだが、日本でも根付くか。関係者は「W杯と五輪が2年連続で行われるのを機に、浸透させられれば」と意気込んでいる。(浜田慎太郎、久保まりな)

 ホスピタリティパッケージは試合観戦だけではなく、食事や飲み物、元選手らによる試合解説などが付いた商品で、ラグビーW杯では2007年から始まった。今回はこれまでの大会などで実績がある英旅行会社STHグループとJTBが専門会社「STH Japan」を設立し、日本大会の販売を担っている。

 会場によって異なるものの、パッケージは約10種類と豊富で、価格は5万円台から。最も高価な「ウェブエリス・スイート」は1人199万3500円。日産スタジアム(横浜市)で行われる全7試合をカテゴリーAの席で観戦し、会場そばに設けられる専用個室で飲食を楽しめる。

 試合開始の数時間前から、高級レストランのような食事を楽しみ、試合開始時間になれば会場に移動して観戦。その後、また個室に戻り、飲み物を飲みながら試合の感想などを話題に談笑する−というのが過ごし方の一例だ。同社によると、主に商談や接待用で需要があり、「ウェブエリス・スイート」は18年2月の販売開始から約半年で売り切れたという。そのほかのパッケージも好調な売れ行きで、当初目標としていた5万セットをすでに販売し、前回15年イングランド大会の7万7千セットに迫る勢いだ。

 来年の東京五輪でもこうしたホスピタリティパッケージの販売が8月下旬から開始される。パッケージは全5種類で、試合観戦とともに高級料理などを楽しめるサービスが付き、価格は9万円から635万円。最も高価なものは、開閉会式や陸上男子100メートル決勝、同400メートルリレー決勝など人気競技11枚の観戦チケットが含まれる。大会組織委によると、全販売枚数の約1%を割り当てるという。

 「ホスピタリティパッケージ」は英国などで定着しており、スポーツイベント開催の際の収益源の一つになっている。筑波大の高橋義雄准教授(スポーツ社会学)は「もともと、欧米ではスポーツが社交の場になっており、文化として根付いていることが背景にある」と語る。

 スポーツを社交場ととらえる傾向が強くない日本だが、近年は多様な観戦スタイルが広がりつつある。プロ野球の巨人は今季、本拠地の東京ドームにパーティールームを新設。1日2組限定で、室内には大型モニターもあり、15人定員の部屋は飲食付きで30万円。20人定員の部屋はさらにテレビゲームやダーツなどが付いて50万円。今季の予約はすでにいっぱいという。

 サッカーJリーグでも、ガンバ大阪が運営・管理し、16年に開業したパナソニックスタジアム吹田には法人向けの「VIPフロア」が設けられ、商談をしながら観戦できるラウンジや個室がある。「Sky G−VIPラウンジ」は豪華な料理に飲み物がついて、1人1試合2万円(税別)。個人にも対象を広げられないか検討中だ。

 早大スポーツ科学学術院の原田宗彦教授は「スポーツ観戦はこれまで公平な“エコノミークラス”が主流だったが、高額な“ビジネスクラス”がターゲットになりつつある。キーワードは『高付加価値』。令和はスポーツホスピタリティの時代になるかもしれない」と話している。

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