「28歳力士死去」「五月場所中止」、コロナ禍で遠のく白鵬の「五輪土俵入り」

白鵬

 新型コロナウイルス性肺炎による多臓器不全のため、高田川部屋の三段目力士・勝武士さんが28歳の若さで5月13日に亡くなっていたことが明らかになった。このニュースは角界のみならず、日本全国に驚きをもって伝えられた。

「改めて新型コロナウイルスの怖さを知らしめる結果となりました。相撲界ではすでに五月場所の中止が発表されていますが、この訃報に誰もが胸を痛めていると思います。そしてこの新型コロナウイルスをもっとも恨めしく思っているのは何を隠そう、横綱・白鵬ではないでしょうか」(角界関係者)

 白鵬が、幕内最高優勝回数44回を誇る稀代の横綱であることは衆目一致するところ。仮に東京五輪が開催されていれば、開会式での「土俵入り」で全世界に晴れ姿をアピールできたかもしれないのだ。

「白鵬が五輪での土俵入りを熱望するようになったのは、まだ角界入りする前にテレビで見た長野五輪(1998年)の開会式。当時、横綱だった曙が幕内力士とともに華々しく土俵入りして、歴史的な式典に華を添えています。なお、同じく横綱だった貴乃花は土俵入りに姿を見せませんでした。『精一杯務めたい』と、この土俵入りへの意気込みを見せていたものの、直前の一月場所を原因不明の体調不良によって途中欠場。この開会式も欠席せざるを得ない状況に追い込まれたのです」(相撲専門誌記者)

 実は貴乃花の優勝回数は白鵬の半分の22回。連勝記録以外の主だった記録は白鵬が塗り替えたが、やはり「日本出身」ということで、この2人を比較した際にはどうしても多くの相撲ファンは貴乃花を贔屓にしがちだ。とくに2001年五月場所において、満身創痍ながら優勝を果たし、人気絶頂の小泉首相が「痛みに耐えてよく頑張った。感動した!」と名言とともに賜杯を渡したシーンは、今も多くの日本人の記憶に焼きついている。

「白鵬にしてみれば結果がすべての勝負の世界で、貴乃花に評価で遅れを取るのは受け容れ難いようです。かつて貴乃花が角界にいた頃は、何かと水面下で2人の“衝突”がささやかれていましたが、すでに大記録を更新した白鵬は、人々の記憶のなかでも貴乃花を超えたいという思いが強い。それが現役にこだわる最大の理由と言っていいかもしれません」(前出・相撲専門誌記者)

 そこでアテにしていたのが東京五輪の土俵入りだ。日本での人気が貴乃花に及ばなくても、その“歴史的偉業”はスポーツ史に深く刻まれることとなる。東京五輪の開会式のプログラムに「土俵入り」が組み込まれるかどうかも未定だが、マスコミ対応の良さでは貴乃花の現役時代を遥かに凌ぐ白鵬のこと。外堀を埋めることに怠りはないという。

「スポーツ紙の番記者もネタとしてはそこそこ美味しいだけに『熱望』という形で記事にするしかありません。しかし、そもそも開会式のプログラムは極秘中の極秘ですから、メディアで饒舌にアピールしているのは、まだオファーが届いていない裏返しとも取れます。また、大会組織委員会の森喜朗会長は4月にスポーツ紙の取材に応える形で、来夏に延期となった東京五輪に触れて、経費削減のために開会式をパラリンピック大会と合同で行う可能性について触れていました。現段階で、東京五輪の開会式で土俵入りが行われるかどうかはまったく読めないのが現状です」(角界関係者)

 古来より、相撲は「神事」とされ、土俵入りは邪気をはらう儀式とされてきた。ならば来年、大横綱の土俵入りで、新型コロナのような世界的な災厄が二度と起きないようにしてもらいたいものだが…。白鵬が急に五輪土俵入りについてしゃべらなくなったら、「悲願」達成は近いということかもしれない。

(鷹太郎)

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