NPB「6・19開幕」なら阪神が「のびのび野球」で開幕ダッシュしそうなワケ

矢野燿大

 新型コロナウイルスの影響で開幕の遅れているプロ野球。NPB(日本野球機構)は最速で6月19日の開幕を目標に動き出している。そのような動きの中、球界でもファンの熱狂度では随一と言われる阪神タイガースの親会社、阪急阪神ホールディングス(以下、阪急阪神HD)の株主総会が6月17日に開かれる。野球ファンにはなじみが薄いかもしれないが、同社の総会では毎年タイガースに関する質問が行われるのが恒例だ。

「スタートダッシュに失敗した年は、特に総会で厳しい質問が飛びます。追及の声は、監督の采配や戦略にまでおよび、『なんであんな選手を獲得したんだ』といったように、選手個人名まで挙げて激しくバッシングが行われることもあります。過去には監督のお気に入りと噂された不調のベテラン選手を総会の前に2軍に落としたんです。2軍で結果を出していないにもかかわらず、総会を乗り切ったところで1軍に再合流。株主総会対策だったのではないかとささやかれました」(週刊誌記者)

 今年はいまだ開幕していないためこのような質問が飛ぶことはないと思われるが、阪神ファンの怒りの矛先は思わぬ方向に向くこともある。

「2017年の株主総会では阪神電鉄の所有する”電車”に批判が起こりました。同社が運行する急行列車の車両カラーが、宿敵であるジャイアンツのチームカラーと同じオレンジであっため『乗っていて気分が悪いので変更してほしい』との意見があがったのです」(前出・週刊誌記者)

 ネット上では同社の株主総会を”阪神ファンの集会”や”阪神ファンのガス抜き大会”などと揶揄する声もある。また、阪急阪神HDの総会に出席したいがために、わざわざ株を購入する熱狂的なタイガースファンも少なくないという。株主の質問や追及に対して、会社の重役が「センターラインの守備」について触れるなど、大真面目に答えるのも見せ場のひとつと言われる。

 だが、実際はタイガースに関する質問の時間はほんの一部に過ぎず、大部分の時間は電鉄などの他事業に関する質問に割かれている。裏を返せばタイガースの野球に関する質問が多く出るということは同社の経営への不満が少ないということだ。しかし、今年のタイガースに関する質問は今までと違ったものになりそうだ。

「近年、阪急阪神HDは順風満帆な経営を続けてきました。しかし今年はコロナの影響を受け基幹事業である鉄道輸送事業や旅行事業は大打撃を受けています。仮にプロ野球が開幕しても無観客のため大赤字は必至です。また甲子園球場の来場者の7割ほどが阪神電車を利用するため、電鉄事業への影響も大きいはずです。今回の総会ではタイガースの選手起用よりも、現実的な経営問題について厳しく問われることになるでしょう」(経済誌ライター)

 阪急阪神HDはこの“コロナ危機”を乗り越えて阪神タイガースを応援する株主の期待に応えることができるだろうか。また、今年の阪神ナインは開幕から株主の目を気にすることなく、どんな“のびのび野球”を見せてくれるのか。開幕が楽しみでならない。

(浜野ふみ)

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