鷹の育成ドラ1・石川柊太のパワーカーブは“伝説のスライダー”から生まれた

工藤公康

 福岡ソフトバンクの育成出身、石川柊太投手(28)がプロ初完投初完封勝利をおさめたのは8月1日の西武戦だった。育成に定評があるチームらしい勝利だったが、石川の強さの秘密は、伝説の投手から引き継がれた“握り”にあった。いまや、彼の代名詞ともなっているパワーカーブだが、その球種の握り方は、伊藤智仁・楽天投手チーフコーチのスライダーに由来しているという。伊藤コーチは現役時代、その鋭角に曲がるスライダーで三振の山と一時代を築いた。

「2人には面識がありません。でも、石川の母校・創価大のコーチが伊藤コーチと全日本チームで一緒になり、スライダーの握り方を教わったそうです。創価大のコーチが石川に『伊藤のスライダー』の握り方を伝授したのす」(アマチュア野球関係者)

 しかし、石川のパワーカーブは大きな曲がり幅が特徴だ。鋭く曲がる伊藤コーチのスライダーとは軌道が異なる。同じ握り方、同じ腕の振りをしても同じ軌道をコピーできないものなのだろう。

「石川が大学の公式リーグ戦で投げるようになったのは、3年秋。遅すぎるくらいです」(前出・アマチュア野球関係者)

 この時点でも、伊藤コーチのスライダーはマスターできていなかった。「曲がり具合の大きいカーブ」のままで、石川は試行錯誤を続けていたという。そして、辿り着いた答えが、「自分は自分」、つまり、伊藤コーチのスライダーは習得できなくても、「軌道の大きなカーブ」として、自分だけの武器にしようと考え方を変えた。

 石川の飛躍が始まったのも、ちょうどその頃からだったという。

「一般的なカーブは、緩急をつけて打ち損じを誘うもの。しかし石川のパワーカーブはあまりに軌道が大きいため、バッターは球筋がまったく読めずに、翻弄されているのです」(スポーツ紙記者)

 近年、カーブを武器にする投手が少なくなった。もっともポピュラーな変化球はスライダーかもしれない。伊藤コーチの変化球を目指しつつも、オリジナルの変化球が出来上がることもあるようだ。

(スポーツライター・飯山満)

関連記事(外部サイト)